夏の始まりを実感する強い日差しを避けながら、東急多摩川線下丸子駅の向かいにある大田区民プラザへ。
本日はこちらの大ホールで、ウクレレ奏者・鈴木智貴さんのスプリングツアー千秋楽公演が開催されます。

開場を待っているとファンの方に声を掛けられ、折りたたまれた赤い紙をいただきました。
「ある曲のときに、よかったら広げて振ってください!」
なるほど、あの曲の小道具ですね!ファンの皆さんの会場を盛り上げようという熱意に、毎度感動させられます。
ロビーに設置された寄せ書きパネルには、ファンの皆さんが代わる代わるメッセージを書き込んでいます。ライブ開始前にもかかわらず、すでにコメントでびっしり。公演後にはこんな感じに!

今日は完全ソロ公演のため、ステージ上はとてもシンプル。3本のウクレレが主人の登場を待っています。

ハッピーなSEが流れ、リズムに合わせて手拍子が起こると、大きな紫のハート柄のセットアップを着た鈴木さんが小走りでステージに登場。
大きな拍手と声援に迎えられ、丁寧にお辞儀をする鈴木さん。
「本日は鈴木智貴春ツアー、UKULELE POP 2026 東京公演千秋楽へようこそお越しくださいましたーー!」
軽快なトークが始まります。
3月から始まった春ツアーは、追加公演を含めた17公演を経て、ついにこの日千秋楽を迎えます。
「今日は思いっきり、皆さんと音楽そしてウクレレの音を楽しんでいきたいなと思ってます!」
鈴木さんが千秋楽1曲目に選んだのは、コブクロのカバー『蕾』。
静まる会場に、ポロンと高い音が響くイントロ。すうっとソロウクレレの世界に吸い込まれていきます。
演奏の盛り上がりとともに、少しずつ足されていく照明の光の筋。
歌うような息遣いで、全身を使ってウクレレを奏でる姿がとても印象的です。
毎年春ツアーを行っていますが、今年は少し意味合いが違うとのこと。それは、5年ぶりのニューアルバム『Garden』を引っ提げたリリースツアーであるということ!アルバムに収録された10曲は、すべて花や自然をイメージし、ウクレレ1本で録音されたそうです。
次の曲のイントロがポロンと鳴っただけで、自然と早めの手拍子が湧き起こります。
「千秋楽、盛り上がっていくぞー!」
始まったのは、ニューアルバムにも収録されている『U-topia』。昨年末に発表されたばかりの新曲にもかかわらず、お客さんとの息はぴったり!
「手拍子をそのまま頭の上に上げて~…そうすると、私がまるで人気のあるアーティストに見えてきませんかー!」
天才的な誘導に基づき、会場は2曲目にしてますますヒートアップ!

「次の曲も、新しいアルバム『Garden』よりお送りしていきたいと思います」
始まったのは、おかしくなってしまった世の中に物申す曲として作られた『So What?』。怒りを表すような赤い照明がステージを照らします。
「ヤモヤした気持ちを吐き出して、この会場に捨てて帰ってください!終演後に私が拾い集めて、ちゃんと燃えるゴミに出しておきます!」
伴奏しながら客席を煽ると、共鳴するように「ヒュー!」と声援が返ってきます。モヤモヤ…ありますよね。いっぱい。
「ウジウジしてる自分に!」\So What?/
「全身全霊で!」\So What?/
ウクレレの楽曲とは思えないファンキーなリズムに乗せて叫ぶ「So What?」。とっても気持ち良かったです(笑)。
「せっかく今日この場に来ていただいたんですから、会場を出るときに『ちょっとむくみが取れた?』と思うくらいの感じでスッキリしてお帰りいただきたく思っています」
キレッキレかつ愛に溢れた圧巻のMC。
「うちわとか作ってきたんだ~」「それ誰のうちわや~!」と和気あいあいとした客席とのコミュニケーションタイム。感謝を述べつつも隙あらばツッコむスタイルで、トークだけでも上質なエンターテインメントです。
続いての楽曲は、過去の作品から。
「何かを手に入れようとすると、それ相応の苦しみや痛みを伴う。そんな中でも手に入れたくて、必死にもがいてその場所に向かっていく様を思い浮かべながら作った曲です」
アルペジオに重ねて作品の背景を語る鈴木さん。
曲は『イストワール』。
葛藤する心情を表すような、静かで激しいサウンドが響きます。曲の後半ではルーパーを使い、さらに複雑に入り組んだ心の動きを表現していきます。

間髪入れずに始まった情熱的なリズム。
「リズムや音に体を揺らしたりして、どんどん楽しんでいきましょう!」
定番の盛り上がり曲『情熱大陸』!
\ヒュー!/
まるでフィナーレのような大きな拍手が沸き起こります。
「今ずっと演奏していたのはセイレンというメーカーのウクレレで、『ムーさん』という名前を付けて一緒に活動してきたんですが…」
最近ボディに穴が空いてしまい、徐々に大きくなっているそう。
それでも「これからも一緒に旅を共にして、穴もどんどん大きくなっていくと思うので、会ったときには『大きくなって~』と可愛がってあげていただけると嬉しいです」と語る鈴木さん。
長年の相棒を労いながら、まだまだ一緒に戦うぞという意思表示。
そんなムーさんでもう一曲。
今回のアルバムはバラードやミドルテンポの明るい楽曲が多いそうですが、そんな中でも異彩を放つ1曲が『満ちてゆく森』。
いつもは様々な想いを音にして曲を作っているけれど、この曲はあえてメッセージ性を打ち出さずに作り出したそう。
「自分が今まで生きてきた時間や見てきた景色を、自分の中から引っ張り出して音にしてみたいと思って作りました。幼少期に過ごしていたオランダの景色も反映されているかも」
風の香りや自然の瑞々しさが、演奏の端々から感じられ、目を閉じればその風景の中にいるような気がしてきます。
ここでウクレレをLow-Gチューニングの『Sugarちゃん』に持ち替えます。
今回のアルバム『Garden』には、インスト曲ばかりにもかかわらず、8ページもの歌詞カードが入っているとのこと。そこには曲の説明や、録音に使用したウクレレなどが詳しく記載されているそうです。
時代の流れに逆行しているかもしれないけれど、ひとつのピリオドとして形に残るCDにこだわりたい——そんな鈴木さんの強い想いが詰まった仕様になっています。
続いて、アルバムの中からもう1曲、大切にしているバラードを披露。「またね」という言葉を思い浮かべながら作ったという『film』という曲。
「頭の中ではもう会えないとわかっていても、何年後、何十年後かにお互い元気な姿で会える気がしていて。願いにも似た、希望にも似た想いで『またね』と言ってお別れをしていきます。」
様々な想いを持って交わす「またね」という言葉を描いたこの曲は、切なさの中に一筋の光が見えるような温かさがあり、聴いているうちに会えなくなった人たちの顔が自然と浮かんできました。
鈴木さんの楽曲はテーマがとても繊細で、日常の中にある大切なものをたくさん気づかせてくれます。

「ずっと座ってると、腰のまわりがうずうずしてきたりしませんか?一旦立ち上がって伸びでもしてみませんかね?」
たしかに、とお客さんが立ち上がり伸びをしていると、突然始まる演奏。だまし討ちです。
「立ち上がったまま曲に行ってしまいましょうかー!」
\ヘーイヘイヘイヘーイヘイ!/ と始まったのは『学園天国』。
お馴染みの曲に、会場の皆さんも手拍子をしながらノリノリで口ずさみます。
大盛り上がりのあとは、再びウクレレを持ち替えます。
コロコロとしたウクレレらしい音色が特徴の、オールマホガニーのウクレレです。
「このツアーのために作った新曲を演奏したいと思います」
自身でも「いい曲だなー」と感じるほど、今大切にしたい楽曲なのだそう。
「二歩進んで一歩下がるような世界で、自分でも気づかないうちに何かを積み上げていっているんだと思います」
曲は『tiny tiny』。
「自分を追い詰めなくていいんだよ」というメッセージが込められた楽曲。高音の可愛らしい音色は、まるで天使が笑いながら「大丈夫だよ」と語りかけてくれているよう。
曲の後半ではルーパーを使用。音が重なっていく様は小さな力が少しずつ積み重なっていく過程を表しているかのようでした。
続いてのウクレレは、ボディが大きく深くて強い音が出る「バリトンウクレレ」。ミニギターのようなサイズ感です。今日は本当にたくさんのウクレレの音が聴けて楽しい!
スパニッシュな楽曲にもよく合うと前置きして演奏されたのは、前日の配信でも演奏したという『Libertango』。現代タンゴのスタンダード・ナンバーです。
深く息を吸い、静まり返った空間に響き渡る力強いメロディ。熱を発する孤高のステージに、客席全員が吸い込まれるように見入っています。
曲が終わると、爆発するような大きな拍手が。
「ナント次で最後の曲ですーー」
会場からは「えーーーー!」という力強い歓声が上がります。
「プレッシャーに負けないようにエールを送るために作った曲です!」
お客さんの日々のストレスを蹴散らすような、ファンキーでスリリングな演奏が魅力の『gravity』!

「東京ありがとーーーー!」
と叫んだ矢先に湧き起こる、会場全体の愛にあふれた「TO・MO・KI」コール。
2分ほどで鈴木さんがステージに舞い戻ります。
「自分が活動できる間に、ウクレレという楽器をもっと盛り上げて、もっといろんな人に知ってもらえるように頑張っていこうと思います」
熱い想いを語りつつ、そこから継ぎ目の見当たらない綺麗な流れで物販告知へ。買わずにいられない魔法のトークに、観客全員が笑顔で引き込まれていきます。
「今日でこのツアーが終わって、また新しい旅が始まっていきます」
ポロンとやさしい演奏がトークのバックで鳴り始めます。
会場に入る前にファンの方から手渡された“アレ”の出番では!?静かなトークに耳を傾けながら、カサカサと広げて作ったのは赤いペーパーフラワー。
「皆さん、いろんなことで頑張っていると思いますが、そのすべてが花開きますように」
始まった曲は『Bloom』。ステージから見渡す会場いっぱいに花が揺れます。ラストのサビでは全員で「ラララ」の大合唱。
「皆さんに出会えて本当に幸せです!最後はこの春ツアーの想いをすべて込めて演奏していきたいと思います!」
ラストを飾るのは、振りが楽しい『手を伸ばせ』
大きな拍手と声援に包まれ、最後はスタンディングオベーションの中で春ツアーは幕を下ろしました。

12月26日には、虎ノ門ニッショーホールでの公演が決定しています。日本人ウクレレ奏者として初の「単独公演1000人動員」を目指す注目のライブ!
ウクレレの未来を変えるこの公演に、ぜひ足を運んでみてください!
【公演概要】
鈴木智貴 ウクレレコンサート「Polaris」〜1,000人動員への挑戦〜
日程:2026年12月26日(土)
時間:開場14:00/開演15:00
会場:ニッショーホール(東京・虎ノ門)
詳細は 鈴木智貴さんオフィシャルサイト をご確認ください。







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