もしも、この世からいなくなってしまった偉大なアーティストが目の前に現れたら?そんなコンサートが話題となっている。亡くなってしまった生前のコンサート風景をホログラムとしてステージ上に投影して、あたかもそこにいるように演出する方法だ。この特殊技術を企画・運営しているのはEYELUSIONという会社。もちろん、その根底には「もう一度、あのアーティストの生の演奏が見たい!」と言うファンの熱い想いがある。EYELUSIONではないが、日本では「初音ミク」に代表されるヴァーチャル・アイドルのコンサートもホログラムを使っている。2014年、マイケル・ジャクソンもアメリカのビルボード・ミュージック・アワードで新曲と共に蘇った。近年、話題となっている演出方法である。
EYELUSIONという会社が手がけるのは、生のバンドと演奏者との共演である。2017年、レインボウや自身のバンドDIOで活躍したメタル界のさぶちゃんことロニー・ジェイムス・ディオをホログラムで復活させ話題になった。彼は2010年に亡くなっている。生前の彼の映像を、あたかもそこにいるようなホログラムに創り直しただけではなく、バンドと同期させるという新たな試みが行われている。バックの演奏には彼の友人たちが集結した。

第2弾として予定されているのは、ロック界の鬼才フランク・ザッパである。ディオと違い、複雑かつ緻密で知られるその音楽を再現するには、常に大所帯のバンドが用意された。今回もザッパ・バンドに関わってきたミュージシャンが多数参加するという。発表されたメンバーはレイ・ホワイト(G)、マイク・ケネリー(G)、スコット・チュニス(B)、ロバート・マーティン(Sax/Key)、ジョー・トラヴァース(Ds)がバンドとして参加し、スティーヴ・ヴァイ、ウォーレン・ククルロ、イアン・アンダーウッド、ヴィニー・カリウタ、ナポレオン・マーフィー・ブロック、アーサー・バロウ、エド・マンらがゲスト出演するという。凄まじいコンサートになることは間違いないだろうが、唐突なリズム・チェンジやフランク・ザッパのギター・ソロがどこまでシンクロするのか興味は尽きない。コンサート詳細の発表が待ち遠しい。この技術がどんどん進化すれば、そのうちプレスリーとジミヘンといったありえない共演も観られるかもしれない。
