サウンドハウスのある千葉県成田で、なにやら面白いイベントが行われていると聞いて成田HUMAXシネマズに行ってまいりました。そのイベントとは、映画「ボヘミアン・ラプソディ」のスタンディング応援上映!at IMAX®シアター!

(C)2018 Twentieth Century Fox
「ボヘミアン・ラプソディ」はご存知の通り、イギリスのロックバンド「クイーン」を題材にした大ヒット中の映画です。音楽伝記映画は数々ありますが、そのリピーター数、幅広い層からの支持、公開後右肩上がりの動員数など、異例のヒット作と言われ、TVでも公開後に特番などが多く制作されるほど。つい先日、興行収入も100億円を突破したばかり。特にクライマックスとなるウエンブリー・スタジアムにおけるライブ・シーンは公開当初より「憑依の演奏シーン」と話題を呼びました。さて、この映画、通常の上映からほどなくして、各地で発声OKの応援上映や爆音上映が開催されました。2018年12月末からスタートしたこのスタンディング上映(IMAX®では初!)。「大画面で、抜群の音響設備で、大声上げて楽しく鑑賞したい!」そんな声に応えるイベントとなっています。目玉はやはりスタンディング。それがIMAX®シアターで可能と聞いた時は正直驚きでした。大画面、高音質の環境だからこそ、座ってじっくり鑑賞したいのでは?そんな余計な心配を吹っ飛ばす映画鑑賞の進化がそこにはありました。

※開始5分前の客席の埋まり具合(最前列に空席があるのがコンサートとは違うところ)。
以下、満員状態となったスタンディング応援上映のレポートをお届けします。

1月の半ば、オスカーの前哨戦とも言えるゴールデン・グローブ賞の発表が行われ、「ボヘミアン・ラプソディ」は作品賞と主演男優賞(ラミ・マレック)の2冠を受賞しました。そのタイミングで訪れた週末のイベント(他の回は通常上映となっています)。予約購入したチケットを発券し、IMAX®シアターへ向かいました。成田のIMAX®は独立棟になっているので、チケットのもぎりの箇所に通路があります。(ここがちょっとした記念撮影コーナーになっています。その話は後で)「もぎりが搭乗口みたい」なんて思っていたら、まさに搭乗口となっていました。チケットを渡したところで、もう1枚、チケットをもらいました。な、な、な、なんだ?このチケットは!?手作りながら、手の込んだデザインに驚き!というか感激!

※行き先が1985年7月13日の土曜日、もちろん行き先はウエンブリー・スタジアム!クイーンが伝説のライブを行ったあの場所に行けるのです!鑑賞時の日付も印刷されているのでこれは素敵な記念アイテムとなりました。
他にも、ステッカーやサイリウムもいただき、観る前からなんか必要以上にワクワク。これらの提供は、映画配給会社や、成田HUMAXシネマズの取引先さまからだそうです。サイリウムに関しては毎回、もらえるわけではなく、あくまでも提供者様のご好意となっています。チケットもスタッフが制作したものではなく、企画担当者さまの映画仲間が担当しているとのこと。お出迎えするスタッフのみなさんも「行ってらっしゃいませ!」「楽しんできてくださ〜い!」と声をかけてくれていて、ワクワク気分を気持ちよく煽ってくださいます。なんか愛が満ち満ちてるよ〜〜。ちなみに、この日、年甲斐もなくプチ・コスプレしていったのですが「お客様のような方、待っていましたよ!」とまで言ってもらい、気分も上がりました。でも、もっと本気度の高いコスプレのお客様、わんさかいましたけど(笑)。

※左より:成田ロジャ子さん、宣伝・企画担当 佐藤マイアミさん
すでに4回目の鑑賞となるこの日。私の隣にはお母さんとお嬢ちゃんの姿が。「よろしくお願いします!」「楽しみましょう!」と気さくに声を掛けあうこと自体、通常の映画体験とは明らかに何か違う感じがしました。上映に先立ち、成田HUMAXシネマズの宣伝・企画担当:佐藤広基さん(以下、佐藤マイアミさん)と成田ロジャ子さん(あのチケット制作)がMCを務めます。発声練習や、注意事項《演者の悪口を言わないなど(笑)》があり、会場全体が一気に和やかなムードに。そして「スタッフが映画内でのスタンディング箇所を率先して指示します」とお話しして、スタッフたちが客席に紛れ、映画がスタート。

スタンディングの箇所は5回。フライング気味でスタッフが立ち上がってくれるので、見事な一体感でした。私の席は前方だったのですが、後方から聴こえてくる歓声は、映画のものなのかわからないほどの臨場感でした。後方の席にいた方の話では色とりどりのサイリウムが映画と見事にシンクロし、とても綺麗だったとのこと。映画を観ている時に「あれ?この光景、どこかで観たことある」と感じたのですが、それは古い映画ですが「ニュー・シネマ・パラダイス」のシーン。生活の一部に映画があった頃、劇場で子供から大人までが泣いて笑って興奮して同じ時間を過ごす。そんな素敵な光景がまさに成田IMAX®シアターにありました。

映画が終わり、大きな拍手が起こる中、ゴールデン・グローブ賞を一緒に祝おうのコーナーが設けられ、お客様全員でおめでとうコール!楽しい時間はあっという間に過ぎました。
佐藤マイアミさんたちスタッフは会場のお見送りまで見事なおもてなしをしてくださいました。記念撮影も出来るフォトスペースは、ご覧のようにデコレーションされています。何から何まで「お客様に楽しんでもらおう」という主催者側の熱い思いと、イベント参加をとことん楽しもうというお客さんが「ボヘミアン・ラプソディ」という作品を通じて一体となっていました。もう色々な愛が、ぎゅうぎゅう詰めになって本当に贅沢な時間でした。

※写真スペースの佐藤マイアミさんと成田ロジャ子さん。ちなみにロジャ子さん(女性です)のコスプレは「I Want to Break Free」のロジャー・テイラーの女装を真似てます。靴下のズレ具合まで完璧!
終演後、感激のあまり、佐藤マイアミさんにご挨拶。後日、スタンディング上映の企画について、ヒアリングさせていただく機会を得ました。以下はそのインタビューの内容となります。
Q : スタンディング応援上映自体、とても珍しいと思うのですが(特にIMAX®での)、今回が初めての試みですか?
A : IMAX®における実績はございません。スタンディング応援上映を2018年12月28日(金)より世界初で実施しております。
Q : 実行までの経緯を教えてください。苦労した点、工夫した点などあれば、ぜひ伺いたいです。
A : 2018年12月15日に開催されたインド映画『マガディーラ』のマサラ式上映会(成田ロジャ子さん主催/応援上映+紙ふぶき等@都内劇場)に参加しました。インド映画では劇中、心情を表わすためダンスシーンが複数盛り込まれます。その際、お客様も一緒に踊るという企画が行われていました。ここでスタンディングの心地よさを体感し、スタッフのオペレーションなども学んだことで、本作「ボヘミアン・ラプソディ」でも取り入れようと企画を練りました。そして、本社番組編成及び成田劇場支配人の承諾を得、実施に至りました。実はスタンディングの上映に関しては、劇場によって実施の可否があります。
1)両隣のスクリーンに音が干渉しないこと
2)スタンディングしても後ろの席が見えるほどの傾斜が必要不可欠です。
成田IMAX®はシアターが独立棟になっていることと、高い傾斜(段差は50cm)という好条件が揃っていたので、後は実行あるのみでした。
苦労した点:毎回なんですが、前説ですね(笑)
工夫した点:前説及び後説付きのイベントにしたことです。応援上映はライブと同じです。その日参加するお客様全員で創り上げるものです。しかし、全員が最初から盛り上がれるかというと難しい物があると感じます。よって、前説段階から、“これからこういう事ができるんだよ!”“こうすれば楽しいんだよ!”というのを冗談も交えつつ、お客様にご案内しています。スタンディングの合図は、私の合図を基にスタッフが立つという原始的なものですが、参加しやすいのではないでしょうか。
Q : IMAX®でのスタンディング上映は実施開始から、瞬く間に注目を集めていますが、宣伝方法などはどのように行っていますか?
A : Twitter、公式HP、店内ポスターです。Twitterが一番の宣伝ツールとした理由は、上映スケジュールにあります。毎週火曜or水曜に、その週の金曜から翌週の木曜までの分が発表されます。これは土日の全作品の動員を加味し、各配給会社様、番組編成、劇場支配人が相談して決めるものになるので、ギリギリまで分かりません。『未定』という返答をすると、もったいぶらないで教えて!とお願いされますが、本当に未定なのです。そういった意味でも情報が早く解禁できるTwitterが一番の宣伝ツールとなっています。一旦IMAX®での上映が終わったら、再度上映するには社外のハードルが非常に高くなりますので、是非参加できるうちに参加いただければと思います。
Q : 先日の応援上映は圧巻でした。お客様の反応など、スタッフサイドから見てどんな印象を持ちましたか?
A : 企画者として、全上映に参加し、前説及びスタンディングの合図をとりました。応援上映は生ものです。その日参加されるお客様全員で創り上げるものですので、毎回異なる応援上映が生まれていました! この奇跡のような出逢い・巡り合わせが、映画を通じて劇場で生まれるような企画を実施できる事は劇場スタッフ冥利に尽きます。

Q : 「ボヘミアン・ラプソディ」は異例のヒット作となっています。この作品の魅力はどんなところにあると思いますか?
A : まず、ストーリー性が挙げられます。史実とは異なる部分もあるとのことですが、メンバー自身もおっしゃっていたように、2時間にまとめる上で必要なことであり、更にクイーンや曲、事実を知りたいといった欲求に繋がる良い材料にもなっているのではないでしょうか。実際、劇場でCDやブルーレイ、書籍を入れても3日とせず完売しました(再入荷の度に完売)。老若男女問わず、映画を通じてクイーン熱が再熱!もしくはハマっていったのではないでしょうか。 また、映画の構成は、スタンディングしたらわかりますが、約15分の間隔でLIVEや歌唱パートが盛り込まれます。最後のライブ・エイド前だけは40分間を空けて、一気に爆アゲ!!(笑)するところの常習性や余韻に浸りながらエンドクレジットで本人映像を観るということも上映後の多幸感をより感じられますね。
Q : 佐藤マイアミさんは、クイーンはお好きですか?好きな曲を挙げるとすれば?また、その理由をぜひ。
A : 私はクラシック音楽が好きです。クイーンに関しては、他の映画やCMに使用されている曲を知っている程度でしたが、本作を見てから好きになりました。特にお気に入りは「Radio Ga Ga」です。小学校時代に合唱を免除されるほどの腕前の私でも唯一?歌えてノリノリになれます。歌う人以外にも手拍子で参加できるのも良いですよね。
どうもありがとうございました。

今回の「ボヘミアン・ラプソディ」IMAXスタンディング応援上映は「迫力ある映像を素晴らしいサウンドで!」だけではなく、「お客様同志が一体となって映画を楽しめる」という体験が出来、素晴らしかったです。さらに、イベントに携わるスタッフのみなさんによる、さまざまなおもてなしは、2時間ちょっとの上映作品をさらに大切な思い出として記憶に刻んでくれます。「映画上映はライブだ!」を実感したリピーターの声が拡がり、週末毎に全国から成田のIMAXシアターへ足を運んでくれるファンが後を断たないそうです。残念ながら、どの映画館でもそうですが上映期間は永遠ではありません。次の作品たちが新しい上映を待っています。今回の上映に参加し、「映画はやっぱり観れる時に映画館で観なくちゃ!」を改めて実感しました。興味のある人は、ぜひ!この会場の観客になれます。いや、ほんと。
成田HUMAX ホームページ
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