名盤の影に日本あり!! DEEP PURPLE / LIVE IN JAPAN
いわずと知れたロック界の大名盤。またライブ・アルバムのタイトル「LIVE IN ○○」の流れを作ったオリジナルとしても有名。当時のロック・バンドのライブ盤を聴き比べた方なら、このアルバムがいかに良い音かがわかるはずだ。臨場感たっぷりの音は、まさにそこにいるような錯覚を覚える。バンド自体はアルバム制作とライブに忙殺され、健康状態と精神状態は最悪だったらしい。だが、張り詰めたバンド内の雰囲気は、鬼気迫る演奏に変換され、日本の観衆を圧倒した。1972年8月15日と16日、大阪厚生年金会館。17日には日本武道館でコンサートが行われた。この模様は12月に『Live In Japan』というタイトルで発売され、ライブ・レパートリーから「Smoke On The Water」がシングルカットされた。この曲はアメリカでもヒットし、Deep Purpleの名前を一気にスターダムに押し上げた。

前作『Machine Head』からわずか8ヵ月後のライブ演奏となるわけだが、ライブ・アルバムを先に聴いてしまうと、スタジオ・アルバムが実に大人しく聴こえてしまうのだ。音の良さにプラスして、テンションの高い演奏内容がダイレクトに聴き手を直撃するからだろう。バンドの初期衝動に近い勢いがある。得にシングルカットされたアンコールの「Black Night」の暴れっぷりは「ロックバンドとはこういうものだ!」と魅せつけてくれる。アルバム発売から30年。1993年には、『Live In Japan 完全版』なる3枚組CDが発売された。アルバムに収録されなかった他の演奏はいったいどうだったのだろう?さらに凄まじい演奏があったに違いない!と期待を膨らませて聴いてみたら「あれ?あれ?あれ?」なんか音も良くないし、演奏も荒い。こんなことってあるの?というわけで、聴き比べてみるとオリジナル盤収録曲のほとんどは大阪厚生年金会館での録音なのだ。もちろん、そっちはいい!大阪厚生年金会館はサンタナの『Lotus』など、ライブ名盤を生んだ場所だ。実はここ、当時レコーディング・コンソールの部屋が別に用意された唯一の会場だった。追加トラックが収録された日本武道館のミキシング環境とは一線を画するものだったという。そういった環境で録音された内容だけに、アーティスト側も納得の作品が出来上がったという流れだ。

Deep Purpleはこのアルバムを自国で発売する際、タイトルを変更している。
これは日本で作られた『Made In Japan』だと。
