
吹奏楽部と言えばサックスやトランペットをイメージする人が多いと思いますが、実はトロンボーンも主役級にかっこいい楽器です。
誰もが一度は見たことがあるはずですが、どんな楽器なのかよくわからないという人も多いのではないでしょうか?
トロンボーンは吹奏楽だけでなくクラシックやジャズ、ポップスなどあらゆるジャンルで使われる金管楽器です。
今回は、そのトロンボーンの魅力をご紹介します。
吹奏楽部に入ろうと思っている人、なにか金管楽器を始めようと考えている人は参考にしてみてください。
■ トロンボーンとは?
まずはトロンボーンの特徴から見ていきましょう。YouTubeなどでもその音色は確認できますが、トロンボーンは様々な音色を出すことができるのでひとつの動画を見ただけでは魅力は伝わりきらないかもしれません。
○ 基本的な特徴
U字型のスライドを前後に動かすことで、様々な音色を出す楽器です。他の管楽器がピストンやバルブを使うのに対し、スライドを有しているのはトロンボーンだけです。(スライドトランペットという楽器もありますが見た目はトロンボーンです)
スライドの長さは約120cmで、伸ばすと約150cmにもなります。
そのため、マーチングの際にはスライドが当たらないようトロンボーン奏者は先頭に並んでいることが多く目立てるポジションでもあります。
マウスピース(口を当てる部分)からベル(朝顔のような部分)までの管の全長はなんと約270cmもあり、とにかく長いです。
○ どんな音が出るの?
主に、中低音を担当します。トランペットと共にメロディを奏でるときもあれば、ホルンやユーフォニウムと共にハーモニーを担当したり、チューバとともにリズムを刻んだりもするなんでも屋さんです。
音域によってバス、テナーバス、テナー、アルト、ソプラノと分けられていて一般的にはテナーが使われています。
教会で演奏するための宗教楽器が成り立ちと言われていて、成人男性の声に音域が近いです。
トロンボーン同士が織りなすハーモニーはとても美しく「神の楽器」とも呼ばれているほどです。
金管楽器としてハイトーン(高音)・ペダルトーン(基音、低音のこと)も出ます。
ハイトーンではトランペットの中音域が、またペダルトーンではチューニングB♭(シ♭)の2オクターブ下からさらに下の低い音も出ます。
○ 音の出し方
スライドを前後に動かして音程を調節します。初心者がまず驚くのはスライドに印がついていないことです。
フレットレスベースなどと同じで、演者は感覚でスライドを動かしています。
スライドには7つのポジションがあり、スライドを前へ伸ばすほど音が低くなります。
スライドを伸ばすことで連続的に音程が変わるので、クォータートーン(#や♭よりもさらに半音)を簡単に出すことが出来ます。
また、バルブが付いているトロンボーンもあり、左手の親指でレバーを押すと、通常6ポジションで出るC(ド)を1ポジションで出すことが可能になります。
トロンボーンはなんと言っても、音程が定まらないのが魅力でもあり難しさでもあります。
金管楽器は金属で出来ているので、気温や室温が高いとピッチが上がってしまいます。
その時、スライド位置を若干調節する必要があり、常に音程を合わせるのが良い音を奏でるポイントです。
言い換えると、スライドの場所を変えてしまえば、口で調節する手間が少し省けます。
また、他の楽器のように運指で音程をコントロールできないのも難しいポイントです。(5ポジションが1番やっかい)。
■ トロンボーンの有名な曲は?
実際に音楽を聴いてみると「こんな曲吹いてみたい!」となりますよね!そこでトロンボーンがカッコいい曲を3曲紹介します。
○ トロンボナンザ フランク・D・コフィールド
まず1曲目はこちら。タレントの故・谷啓さんが大好きだった曲です。
グリッサンドを多用する曲で、ラテン系で明るくユーモラスなサウンドとハーモニーがたまらない1曲。
トロンボーンと言えば、この曲をイメージする人も多いでしょう。
○ 76本のトロンボーン メレディス・ウィルソン
冒頭からトロンボーンの旋律で始まります。
マーチング曲としてもかなり有名なこの曲は他の楽器の出番も多いのですが、随所にトロンボーンの対旋律が散りばめられていて、耳を澄ますとあの独特な音色が聴こえてきます。
サックスやユーフォニウムの生みの親であるアメリカの偉大な作曲家・スーザが作曲した「星条旗よ永遠なれ」も途中でメロディに入っています。
○ 瞳 メインテーマ 山下康介
2008年上半期に放送されたNHK朝の連続テレビ小説「瞳」のメインテーマ。
プレイヤーは日本が世界に誇るトロンボニストの中川英二郎さん。
晴れの日の朝に似合う爽やかな1曲で、その優しい音色に心が癒やされます。
トロンボーンメインなので、ソロプレーの練習にもぴったりです。
■ トロンボーンは難しい?
トロンボーンは慣れるまでは時間がかかりますが、マウスピースが口の大きさと合いやすいので最初に音を出すのは意外と簡単です。管楽器はメロディを奏でる以前に、音を出す練習から始まります。
その時、マウスピースが小さいトランペットやホルン、反対にマウスピースが大きいチューバなどと比較して音が出しやすいので感動をいち早く体験することができます。
木管楽器と違い木のリードは不要です。
バジング(唇を震わせること)が出来ればすぐにトライできます。
また、トロンボーンは肺活量を多く必要としますが続けているうちに慣れてきます。
姿勢を正し、ロングトーン(一定の音量で長く出し続けること)の練習などで鍛えると成果があらわれてきます。
■ トロンボーンを始めるには?
さて、実際に吹きたい!と思ってもどこで吹いたらいいのか悩みますよね。学生なら学校の吹奏楽部やサークルなどで触れる機会があるでしょう。
社会人や学校に吹奏楽部がないという人は、お住まいの地域に吹奏楽団などがあれば問い合わせてみましょう。
演奏する場が決まったらあとは楽器です。
トロンボーンは安い楽器ではありませんが、PLAYTECHから発売されているプラスチック製のテナーバストロンボーンPTSL-110BKなら1万5千円ほどで購入できます。
PLAYTECH ( プレイテック ) / PTSL-110BK テナーバストロンボーン ブラック
「金属」で出来ているから「金」管楽器なのに、プラスチック製のものがあるなんて驚きですよね。カラーもブラック以外に複数カラーあるので注目度も抜群です。
金属製のものと比較し、軽く安価で吹奏感も金属製に近いとのことで、屋外演奏などで見る機会が増えてきました。
また、自室内で練習するときは「ミュート」が必需品です。
ミュートとはベルにはめ、音量や音色をコントロールする道具です。
おすすめはYAMAHAから発売されているサイレントブラスSB5Xで、サウンドをイヤホンで聴くことが出来ます。
これなら、室内でも思う存分練習することができます。
YAMAHA ( ヤマハ ) / SB5X サイレントブラス トロンボーン
屋外は場所を選びますし、カラオケボックスなどは楽器演奏が禁止されているところもあるので、サイレントブラスはスキルアップの力強いパートナーとなってくれることでしょう。※価格は2021年10月現在
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