こんにちは! “ギタリスト専門整体師”のフジオカタクトと申します。
今回はサウンドハウスさんの看板商品、「PLAYTECH ST250」を入手しましたので、こちらを細かーく見ていきたいと思います!
なんとこちらのギター、税込¥14,800
衝撃的な値段なこのギター。しかし値段があまりに安いと不安に思ってしまうこともありますよね。
やはり値段相応なのか?それともお値段以上なのか?
最初に結論を言いますと、「ナット調整・交換ができれば初心者にもおすすめできるコスパ抜群ギター」だと僕は思いました。
なぜこの結論に至ったか。実機の写真を見ていきながら、細かいところを紹介していきたいと思います。
今回購入したのは、ゴールドカラーのメイプル指板モデルになります。

写真だけ見ると1万円以下で買えるギターには見えませんね。

しかし早速残念ポイントが…!
カッタウェイ付近のボディとピックガードに結構目立つ感じの傷がついていました…。梱包はしっかりされていたのでおそらく検品前にはついていたものかと思われます。演奏には全く影響がないので僕は気にしませんがプレゼントや初めての1本に購入したりしてこの傷がついていたら少し凹みますね…。
まぁまぁ気を取り直して…上から順、ネックから見ていきましょう!

ネックは未塗装、かと思いきや着色されていないだけでトップコートがしてあるようです。薄めの塗装で手触りはサラサラしており、艶なしサテン仕上げです。ネックの太さは「THE普通」という感じで細すぎず太すぎずな感じで万能タイプの太さと言えるでしょう。
ナット幅は約42mmですがナット溝は41.5mm幅のピッチで切ってあるようです。
コードやアルペジオ、単音弾きも違和感なく弾きやすいです。

次はナット側の弦高を見ていきます。
ギターにとってコストカットされやすい場所の一つであるのが、「ナット」です。プラスチックで大量生産すればコストを抑えられるのですが、弦高調整がされていないものが多く、ローフレット側の弦高が高いものが多いです。

このギターも上記したように、ナットはプラスチック製で溝の深さが浅く、ローフレットでの弦高が高めです。測ってみると6弦側で約0.75mmでした。これくらい高いと1フレットを押さえた時に音程がシャープしてしまうため調整が必要になってきます。ここがうまく調整されていれば…非常に惜しいポイントでした。

ちなみにナットが入る溝は丁寧に処理されており接着剤ベタ塗りみたいなことはなく、比較的簡単に取り外せました。
この後、ナットはグラフテックに自分で交換しました。元のナットを捨てずに取っておけばいつでも元の状態には戻せるので、DIYが好きな人はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

ペグについては、ロトマチックタイプのものがついておりました。一昔前の安ギターでは亀の甲羅のようなブロックタイプの簡素なものが多かったのでここは進歩を感じます。
安ギターで良く言われるペグの回しにくさやチューニングのしにくさもなく安定しています。最初は交換前提で考えていましたがしばらくはこのまま使用していこうと思います。
こだわる人でなければ交換しなくても通常使用には全く問題なさそうです。
そしてフレットの状態を見てみましょう。この辺りが気になる方は多いのではないでしょうか。

フレットのタイプは所謂ビンテージタイプで高さが低めです。押弦した際に指板に指が触れてしまうくらいの高さですね。フレットの状態はピカピカではないですが、傷もなく弦が引っかかってしまうことはありませんでした。
驚いたのは、フレットエッジの処理がとても丁寧だということです。チクチクしたり手が引っかかることは全くないです。
また指板Rは16となっており、かなりフラットめ。個人的にはフラットな指板の方がチョーキングしても音詰まりがしにくく、弾きやすいと思います。
次にネックの接合部を見ていきます。

ネックとボディの間に若干の隙間がありました。
サイドの隙間はどうしようもありませんが、ネックとボディの隙間は一度ネックを取り外し、ネジを締め直すことで改善しました。最初の状態でもネックに角度がついてしまうほどではなかったので特に演奏に支障はありませんでした。

ちなみにネックを外した状態はこんな感じ。
先ほど見たようにネックとの間に隙間があったので念のため、ネックポケット部を軽く紙やすりで削り、平面を出しておきました。
では次にピックガードを外してアッセンブリを見てみたいと思います。

ボデイ内のザクリは所謂「弁当箱」でピックアップの載せ替えといった改造はしやすいかと思います。
しかし、木屑が残っていたりザクリが抉れている部分があったりしました。
演奏には直接影響しませんが、木屑がポットやセレクターに入り込むとガリやノイズの原因になるので綺麗にしておいた方がいいですね。
電装系パーツはコストカットされている印象はありますが、配線も丁寧にハンダ付けされていました。
セレクターは少し硬めな印象はありますがノイズやガリもなくバッチリです。またボリューム・トーンポットもスルスル動いています。
裏面も見ていきましょう。

ネックプレートは独自の規格のようで、他の製品との互換性がないようです。SCUDのネックプレート(右側)と並べると、わかりにくいですが微妙にネジ穴の位置が異なりました。パーツ交換を考えている人はネジ穴を開け直す木工作業が必要になるので注意が必要なポイントですね。

続いてバックパネルを外してみます。
塗装も綺麗でスプリングも錆などなくしっかり機能しています。ブリッジはベタ付けの状態でセットアップされています。僕は基本的にアームは使わないのでこのまま使用しています。
トレモロブロックは細めのものでした。
またブリッジのイモネジ以外は磁石がくっつきませんでしたので亜鉛ダイキャスト製のようです。
最後に“音”についても言及しておきたいと思います。
音色については求めるものが人により異なるので深掘りしませんが、キチンとストラトの音が出ていると思います。ストラト特有のハーフトーンもしっかり出ますし、センターピックアップが逆相なのかノイズも抑えられています。
正直、この値段でキチンとしたエレキギターが買えてしまうことが異常だと思います。細かいことは置いておいて、演奏自体を楽しみたい!という方には最高の1本かと思います。
しかし唯一、ナット側の弦高調整だけは不十分だったのでここだけは再セッティングが必要かと思います。
初心者にいきなりナット調整・交換は流石にハードルが高いかと思うので、ここさえ改善されれば本当に初心者にもおすすめできるコスパお化けギターになり得ると思います。多少値上げしてでもここは改善を願いたいですね。
もちろんDIY、改造ベースにも使えるかと思いますがパーツが独自の規格を使っている部分がありますのでそこだけ注意ですね。
とうとう「安かろう悪かろう」の時代は終わったと、このギターを弾いて思いました。
次はそれを使い、「何を生み出すか」という時代になったのだと思います。僕も初心に帰り、このPLAYTECHで1から練習したいと思います。
それではまたー!
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