Cheena:今回はピックアップ回です。有名なのから珍しいものまで色々出していきますよ。
〜プロフィール〜
Cheena:とにかくハムバッカーが大好き。ベースにミニハムやギター用カバードハムを積んだものを複数使用している。タップはあまりしない派だが、4芯ハムバッカーのタップ/ハムキャンセルをシームレスに行き来できる回路を開発したりした。
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ネモト:とりあえずソープバー。あとリバースP。コイルタップやPUゲイン調整など細々としたギミックが好き。アクティブを愛している。
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ネモト:始まりました、ピックアップ特集。今回は大変素晴らしい記事になる予感がします。
どこからやろうかしら…。
Cheena:とりあえず市販品でコイルとマグネットがあるやつから始めましょう。
とは言ってもパッシブのピックアップの大半はそうですし、特に固有名を出すことはないかもしれませんね。
やっぱり基本はシングルコイルですかね?
これがないとハムバッカーもソープバーも出てこないので…
ネモト:そうだね。シングルが基本になってくる。
読者のために簡単にシングルとハムとスプリットの違いを解説しとこうかな。詳しい人は飛ばして下さい。
まずシングル。1列にポールピースが並んでいるタイプです。
次にスプリット。これは1、2弦用ピックアップと3、4弦用ピックアップの2つに分けられている(両方ともシングルコイル)ので、これをシリーズで繋ぐことによって大出力化。シングルだけどかなりのパワーを稼げます。構造上パラレルでも繋げますがマイナー。
最後はハムバッカー。これはシングルを2つ並べてニコイチにしたピックアップです。大出力でローノイズ。
Cheena:スプリットコイルはプレベユーザーの方々には馴染み深いピックアップですね。
一部のシングルコイルも内部でコイルが分割されていたり、2重にコイルを積み上げてハムバッキングさせていることがあります。
逆にハムバッカーの場合、片側からポールピースを抜いてハムノイズを解消しつつシングル風の音にしたり、コイル分割×ハムバッカーの4コイルタイプなどもあります。
この4コイルタイプは基本的にベース用ですが、ジャズべ的に全ての弦の音質差が少ないような出力もプレベ的なドンシャリ出力も可能です。
ネモト:セイモア・ダンカンのSTKシリーズはスタックタイプのシングルサイズハムだったかな。すげぇ音するんだよなあれ…。
Cheena:シングルサイズハム・スタックシングルはコンパクトさと大出力を両立したい時には有効ですよね。
DIMARZIO ( ディマジオ ) / DP217 WHITE HS-4
SEYMOUR DUNCAN ( セイモアダンカン ) / SL59-1n LITTLE '59 STRAT NECK White
DIMARZIO ( ディマジオ ) / DP188 WHITE PRO TRACK
ただ、スタックタイプ以外のシングルサイズハムはどうしても独特な見た目になります。
ストラトに積む時は注意が必要ですね。
ネモト:ほー、知らなかった。言い訳だけどいくつか使ったシングルサイズハムは神経質というかどこか金切り声のような鳴り方をするものばかりで今ひとつ使い辛いからきちんと調べたことはなかったなぁ。
Cheena:シングルサイズハムがハムでもシングルでもないのはシングルの中に2本のコイルを無理やり詰め込んでいるからなんですよね。ターン数も少なく、細目に巻き上げる必要があるのでタップしてもシングル的な鳴り方は期待できないんです。むしろ微妙な出力の中途半端な音しか得られないことが多い。
ただし、常に2つのコイルを使うことを前提に考えればシングル1つのサイズでハムもフェイズも作れる、稀有なピックアップでもあります。
ある意味、圧縮型ピックアップと言った方がいいかもしれません。
ネモト:圧縮型とは上手い表現。わかりやすいね。
Cheena:ちなみにタップすることを前提に組まれたハムもあります。
セイモアダンカンP-Railsは小さなブレードハムとソープバータイプを融合させており、通常時はハムバッカー、タップすることによりソープバー側の出力だけを使用してP-90ライクなサウンドを得ることができます。
公式にはハム/P-90/ブレードシングルの3つの音を使うように組んでいるらしいですが、これも細身のシングルコイルの常によりブレード側出力単体では微妙な音になるようですね。
とはいえ普通のタップ回路では片側のコイルしか利用できないのでそこまで問題はないのですけれども。
レスポール系にはかなり親和性の高いピックアップですね。
ネモト:へー。そんなのあるのか。
私が知ってる面白いピックアップだとディマジオDP123。これJB用ピックアップなんだけど、スプリットになってて高音弦と低音弦に分かれている。やろうと思えばコイルタップもできる。やんないけど。
ポールピースの高さもレンチで調整できるのでかなり自由度高いピックアップ。音も見た目ほどクセはないから普通におススメ。
Cheena:DiMarzio DPシリーズはベース用としては数少ない個別のポールピース高が調整できるピックアップですが、DP120/145のハムバッカーシリーズ以外はポールが黒くてかなり細いので見た目が独特ですね。
載せる楽器は選びますが、便利でもあります。
そうそう、DP120系はギブソンベースのフロントピックアップの代替品として有名で、出力も相応に高いんですが、そのまま載せるには見た目が独特すぎるんですよね。
本来のギブソンハムはシルバーの大振りな筐体に巨大なハムコイルを詰め込み、4ポールピースが中央にあるP-90をベース用に製作 したような見た目なんですが、これが完全に無くなってしまう。
むしろこれらはビリー・シーンシグネチャーのYamaha Attitude SpecialやLTD3、いわゆるシグネチャーモデルではないですがGrandfunk Railroadのベーシスト、メル・サッチャーのカスタムベースに搭載した方がいいかもしれません。とはいってもわざわざ30万のシグネチャーベースのオリジナルピックアップを交換する人はいないと思いますが...
それらの意味ではただの代替品ではなく、完全に別個体として扱ったほうがいいかもしれませんね。
ネモト:ギブソンEB(の中のいわゆるSGベース)のピックアップはボビンが90°回転してマウントされてる全く流行らないレイアウトなのも面白いところ。70年代に入ってからはギブソンのチャレンジ精神が発揮されてて好きだったなー。
Cheena:ギブソンは色々凝ってて面白いですよね。
フロントはラージハム、リアはミニハムとかのアンバランス配置も独特で面白いし、Gibsonが公開しているEB-1バイオリンベースの初期型の回路図はシンプルすぎて笑い話にできるレベルです。
ちなみに見た目もギブソン互換のハムバッカーはAllpartsから4000円で購入できますね。
0.1μFぐらいの容量大きめのコンデンサーでハイカットしていくと低音しか出なくなるのでそういうのが欲しい人にはいいかもしれませんよ。でかすぎるけど。
ネモト:PUレイアウトの凝り方だとリッパー3兄弟(リッパー、グラバー、G3)を推したい。
ピックアップをスライドさせてマウント位置をずらすことによって音を変化させるとかかなり面白いよ。
私が音楽やめる前はリッパーが15万も出せば買えた。欲しかったなー。オールメイプルのカラっとした音でサンダーバードより扱いやすかった。カネがなかったから買えないけどさ…。
ピックアップが4000円で買えるのはいいね。純正や一流ブランドは高いし。
Cheena:GFRのメル・サッチャー・ジャズベースは格好いいですよ。
FenderのジャズべのフロントにEB用ピックアップを移植、フロント10:リア0でブラックナイロン弦をピック弾き。
楽器の構成と本人の技術により指弾きと同じような音がします。
その方向だとGrandfunk-Maniacというサイトが研究を極めていますね。
ネモト:これは太い音するわ…。ジャック・ブルースごっこも捗りそう。
Cheena:そしてリッパーシリーズは復刻版が9万ぐらいで買えることもあるみたいですが、PU調整はなさそうですね。
ベースのでかいボディは正義なので欲しさはあるんですが…
ネモト:確かにそうね。でかいボディだと迫力ある音を出力してくる。弾かないからあげちゃったけどエピフォンのリッパーにDP120載せたベース結構良い音してたな。
オールメイプル+DP120=モコモコしないし太い音という構図。エピフォンのジャック・キャサディもセミアコの割にはあまりモコモコしない良い音してた。
Cheena:Epiphone Jack Casady Signatureはバリトンスイッチも搭載でしたっけ?あれについて話すと数千文字程度じゃ収まらないのでいまは省きますが、モコつかないセミアコというのは面白いですね。
そういえば、セミアコのピックアップの選択肢ってほとんどありませんね。
確実にハムで、シンラインになれば普通のピックアップも参入してくるという構図。
タップすらしないのはなかなか面白いですね。なぜなんでしょう?
ネモト:器用になることを許されていないのだと思う。突然で悪いけど歴史の講義。
フェンダーが作ったソリッドボディの楽器達は若者や新しいものが好きな人には受け入れられたが、それ以外には全く人気がなかった。彼らはフェンダーの「板に弦を張った電子機器」をギターと認識しなかった。そういう人たちに大人気だったのがトラディショナルな見た目や音を出すギブソンやグレッチ。やがてその流れに乗ってフェンダーもスターキャスターやコロナドといったセミアコを出すことになる。失敗したけど。
やがてコンサート会場が大型化し、ロックが流行ると大音量によるハウリングを起こしやすいセミアコの人気は下がり、70年代になるとHR/HMのブーム。ソリッドが流行りセミアコ冬の時代がやってくる。とはいえ何も音楽はそれだけではないし、小さめのハコならば今まで通りセミアコで何も問題はなかった。
つまりここでソリッドとセミアコのニーズが分断されたわけだね。派手なことをやらせるのはソリッドに任せろ、セミアコは不器用でいい。器用になってしまうとらしさが無くなる、と。
やがて技術の進歩によりハウリングの対策がされるにつれてセミアコは息を吹き返して様々な音楽で使われるようになった。でも、分断された流れを変えるのは難しい。メーカーだって商人なんだ。売れるものを作らなきゃダメ。キャラクターを分けろ。
こういう経緯があるから器用になることを許されていないのだと思う。
Cheena:私は音楽史にはそこまで詳しく無いのでこういうの読むのすごい楽しいですね…
セミアコ大好き人間でビザールも大好きなんですが、一度徹底的に高機能にしたセミアコも作ってみようかな。
サスティナー搭載、アクティブ、HSHとか。
そういえば、Fernandes Sustainerはサスティナーと専用のピックアップ&サーキット搭載でしたね。
ネモト:初めて知ったわ。何これ超面白そう。ベースに載せたい。
Cheena:弦に磁力を与えて振動させ、無限にサスティンを延長するピックアップセットです。
E-BowやAEONが近い概念かな。
ベース用サスティナーピックアップはまだメーカーから出ているものはなさそうですが、一部コミュニティなどでピックアップ自作界の人たちが同じようなものを作っているとか。 ベースにそのまま積むなら弦間をギター程度に狭くしてBass VI的なものにするしかなさそうです。
ネモト:E-Bowは使い辛くてなぁ…。また買ってみようかな。でも普通のピックアップで使えるようにしてもらいたい…。ローランドのGKピックアップは外付けで簡単に取り付けられる。構造を見た感じあそこまでカジュアルには出来なさそうだけどもう少し楽にしてほしいな。
Cheena:Roland GKはシンセサイザーでしたっけ?あれのピックアップも面白そうだ。
ネモト:持ってるけどマウント位置が結構シビアで適当な取り付けは許されないのがなんか面白い。
GR-55も難解過ぎるけど遊べるね。シンセ面白い。
Cheena:あれはピエゾピックアップなんですか?それともマイク式?
ネモト:ピエゾだと聞いたよ。近過ぎても遠すぎてもダメだというからマグネットなんじゃないかと思うけど楽器屋のにーちゃんが言ってた。私はできたけどシックネスゲージかノギスがないなら取り付けてもらってもいいんじゃないかと思うくらいめんどい。
Cheena:取り付けに厚みゲージが要るピックアップ嫌ですね...
ああ、普通のピエゾピックアップなら圧電素子挟んだりサドル変えるだけで済むのに(笑)
ネモト:そういや100円で買ったピエゾ素子を使ったピックアップ作ってたね。あれは深く頷いたわ。考えたことなかったもん。
Cheena:これですね。秋月電子で80円ぐらい、送料の方がはるかに高いという。
関連記事『Playtechで遊ぼう ~ワンコインでピエゾピックアップの設置~』
初投稿でフレットを抜き、一か月強でピエゾ増設とはずいぶん可哀想なことをしていますね(笑)
それはそうと、圧電素子でもちゃんと音質と設置位置を調整できれば市販のピエゾピックアップと同じように使える音が鳴るんですよね。
もともと圧電素子はスピーカー代わりに使えたり振動を拾うためのパーツなので当たり前ですけど、結構感動ものです。
ちなみに改造界隈諸兄、サウンドハウスは全ての商品に3年保証が付くのでプレテクも3年弾き倒すといいかもしれませんよ。改造すると保証無くなるので。
ネモト:あんなチャチなものでできるとは思わなかったなぁ。固定観念というやつか。
プレテク結構いいよね。今は行けないけど以前はショールームにたまに行って弾いたりしてた。あの値段で出せるのは凄い。
Cheena:プレテクいいですよね。
昔あったバイオリンベースや5弦ベースにはカバードハムやソープバーも積んでたようで…
ネモト:バイオリンベースは知らないけどプレテク5弦は弾いたな。こんな値段でこの音と風格出せるとはいい時代になったもんだとしみじみ思った。
ディスコンされたのが残念。
Cheena:なんだかんだスルーネックだったり、ヒールレスされてたらしいので残念です。弾いてみたかった。
それはそうと、プレテクはピックアップ交換で化ける楽器代表格だと思いますね。
ハードウェアは案外しっかりした作りだし、フレットと重さと色落ちしやすいエボナイズ以外に特段欠点もないので。
ネモト:確かにプレテクのジャズベ持っていたけど余ってたピックアップを試しに載せたら実に良かった。プレテク買って好みの電装に変えればスクワイアやバカユニ買うよりいいと思う。今はベースをなるべく増やさないと決めているから買わないけど、そこらに格安で転がっているの見ると買いたくなってくる…。
Cheena:どうせやるならめちゃくちゃハイエンドのピックアップとか積んでみたい。Times SquareとかAlumitone、Aluma BassBar系は格好良さそうですねぇ…
ネモト:エアロも気になる。長らくフォデラの標準になってた実力はいかほどか…。
1番積んでみたいのはライトウェーブとかの光学式ピックアップ。レア過ぎて弾いたことない。単体で売ってないけど、売ったらほぼ間違いなくとんでもない値段になると思う。
Cheena:光学ピックアップといえば、少し前に赤外線ピックアップ「ōPik」が話題になりましたね。クラウドファンディングサイトのKickstarterから$200ぐらいで買えるようです。

私が確認したときは150人ぐらいが購入してたな。専用パワーサプライとバッテリーボックスが必要なようです。
ネモト:知らなかったわ。相変わらずすごい知識量。
弾いたことないとか言っといて申し訳ないがライトウェーブが乗ったゾンを試奏したことを思い出した。
16年~17年かな?それくらい前。リチャード・ボナモデルのフレットレス。ライトウェーブとピエゾが乗ってて、ライトウェーブにピエゾをミックスできる。
マグネティックピックアップと異なり本当にナチュラル。よく抜ける音なのに張り出したところはない。抜ける音って800~1000Hzあたりにクセがあったりするじゃない?あるいは1600Hz。
そこらが張り出しているような感じはしないのに抜けるのよ。輪郭がはっきりしているからなのかな。長い音価で弾くと少しずつミドルが追ってきてさ、これすごいとしみじみ思ったね。
フェノウッド指板も吸い付くようなフィット感があるし弦の鳴り方、もっと言うとビリつき方が大変よろしい。レスポンスもめっちゃ鋭い。16年も前なのに思い出せるくらいインパクトのある楽器。どっかで売ってないかな。
思い出語りをしてしまった。とにかく印象的な音でした。ただそれしか弾いたことないから他のベースだとどうなるのかはわからない。とはいえ大きく異なることはないと思うけど…
Cheena:Lightwaveにせよ、ōPikにせよ周波数特性や音質に関する考察はなかなか見ないのでありがたいですね。
ナチュラルにすっきりして抜ける音、となるとアップライトベースやコントラバスに採用しても良さそうです。
非磁性のナイロン弦でも光学式なら関係なく弾けますし、ピエゾは大概のアップライトに搭載されているし、市販品も多いのでミックスでの使用もいけそうです。
ここでLightwave Pickupsの商品紹介を読んでみたんですが、フラットな音質は意図されたものみたいです。
"Lightwaveの技術は光センサーを応用して振動を電子機器に"見せる"ことを可能にしました。金属弦を誘引する磁石の影響を排除したことにより弦の本当の音を引き立てることにもなります。
非接触センサーとして、光は弦の振動には影響しません。代わりに、全ての帯域において平滑で均質な音質を提供します。"
抜粋して簡単に訳したものなので意訳も混ざりますけど、だいたいこんなもんですかね。原理にはほぼ触れない代わりにわかりやすい。
ōPikの方の説明は、こちらも軽く訳したものですが、 "ōPikは携帯電子機器からプログラムできる世界初にして唯一のピックアップであり、調整や設定保存をiOS/Androidデバイスから行えます"
"ōPikは通常の電磁式ピックアップと同じようなアナログ出力を、さらに強く出力します。それゆえあなたのギターの電装とも完全な互換性があり、遅延やアーティファクト、その他の誤作動もありません。電磁式ピックアップとの混載も可能です。"
と、アナログ出力ながら外部機器からのイコライジングや音量調整が可能など、ただの高出力ピックアップではないōPikの実力が垣間見えます。
※アーティファクト…電子的に処理されたデータに時折現れる除去の難しいノイズのこと。画像に出る低解像度のブロックや音声の一時的な音質低下などがある。
Lightwaveはブリッジ型で幅がそこそこにあるためベース専用、ōPikはハムバッカー型でギター専用、それもリアのみのようですね。
ただ、ōPikはベース用や振動が大きく検出の難しいフロントピックアップ用も現在開発中としているので、これからの動きを注視しておくといいかもしれません。
ネモト:ふむ…。ピックアップの内部にプリアンプと通信設備を内蔵しているのはわかる。赤外線の持つ回折せず散乱しにくい性質を利用しているのは間違いない。あとは赤外線センサの性質がどうなのか。
弦の熱放射を赤外線センサで常に観測して、ピッキングによる赤外線の放射量、質の変化を読み取って信号に変える受動的なものか、ピックアップから赤外線を放射して弦を常に観測、弦振動により発生したぶれを変換する能動的なものか。
私の知識でパッと思い浮かぶのはここらかな…。
あるいはその他の手段かもしれない。あとでもう少しきちんと考えてみる。
Cheena:ōPikは赤外線をアクティブに照射しているみたいです。赤いLEDが照射部で、受取側のフォトダイオードは上下に隠してあるのだとか。となると表面の黒いパネルは赤外線フィルターでしょうね。
1本の弦に対してLED+フォトダイオードが2ペアあるということはそれぞれで放射照度を取ったらハムバッキングが可能になって、周辺の赤外線もカットできるのかな?
ネモト:逆巻き逆磁極にする必要があるハムバッキングは赤外線センサで使えないんじゃないかな…と思ったけど赤外線も電磁波だし、磁場の代わりに電場を利用すれば不可能ではなさそうだね。もっとも私は素人だから的外れかもしれないけど…。
Cheena:ハムバッキングというか、ノイズキャンセリングに近いですかね。
私も光学関係には素人なもんで…
ōPikの特許に関する文書が全く出てこないのが残念なところです。
ネモト:最新のピックアップの話をしたから52年前(1969年)のピックアップの話を…。
アンペグのクリスタルギターに搭載されたカートリッジピックアップ、同スクロールベースに搭載されたミステリーピックアップ。
ミステリーピックアップは現代に合うかはわからないけど、カートリッジピックアップは全然いけると思うんだよなぁ。弦を緩めず簡単にピックアップの交換ができるとか胸熱。
Cheena:ミステリーピックアップ!
わからない人のために簡単に説明すると、弦の振動をサドルの固定された鉄板で受け止め、内蔵したピックアップが板の振動を拾うことで音を出力する、独特なピックアップシステムですね。プレートリバーブに近いのかな。原理上、ナイロン弦などのアコースティックベース弦も使えるのが特長です。
そしてクリスタルギターのカートリッジピックアップは見た目こそ既存のピックアップに近いものの、横から滑らせることで交換ができるピックアップシステムです。確か楽器側からジャックが生えてて、滑り込んだところで刺さるようになってたんだったかな。
ネモト:そう。面白い構造してるよね。ちなみに開発者はケント・アームストロングの父ダン・アームストロングです。
スクロールベースの音は聞いたことあるけどなんとも言えない感じだったな。すぐに普通のマグネティックを搭載して、ミステリーピックアップと併用できるようになってた。強力なハムを使ってミステリーピックアップを作ったらまた印象変わるかもね。
見た目はいいんだけどなぁ。今はイーストウッドギターズからコピーモデルが売ってるのでそちらをどうぞ。弾いたことないけどあれ以外コピー見たことないから…。
Cheena:たしかGrecoからもコピー出てましたね。
まぁどちらにせよ安いものではないし、見た目だけコピーしてるのでミステリーピックアップも搭載されてませんけど。
ネモト:グレコなんでも作ってるね。リッケン480のコピーも作ってたし。スーパーリアルシリーズは凄まじい完成度だったね。そのおかげでフェンダーとゼマイティスに気に入られるという。
Cheena:Greco RG550は本家よりリッケンらしいとか言われてたやつですね。あのピックアップは最高。
Rickenbackerシリーズはノブ数も多ければハードウェアも独自規格の塊で、しかも回路もめちゃくちゃ凝ってて楽しいですね。トラスロッド以外は...
ネモト:RG550うちにあるけど古いもんだからちょこちょこ指板の塗装が剥がれ落ちてきているのが悩み。トラスロッドはうん、もうどうしようも無い…。
トースターじゃないけどカブロニータプレシジョンベースにはフィルタートロン乗ってたね。割と好きだったから買っておけばよかったな…。
Cheena:Cabronita Presicion BassのあれはFideli’Tronなる別物らしいです。電装は普通の1Tone1Volだし、OPBに近いのかな。
ところでネモトさん、配線系の話もしたいですけど今回はここらで終わりにしませんか?
ピックアップ回、過去最長の記事になりつつあります。
ネモト:そうなんだ、今はUSグレッチフェンダーが作ってるから何も調べずにフィルタートロンだと思ってた…。
OK、ここで終わりにしましょう。
今回も楽しかったです。ありがとうございました。
Cheena:ありがとうございました!
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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