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シンセサイザー鍵盤狂 漂流記 ~音楽を彩った電気鍵盤たちとシンセ名盤の数々~ その25

2021-01-08

Theme:sound&person

四人囃子の前ギタリスト森園勝敏は「プリズム」に加入

前回はギタリスト佐藤ミツルが加入した新生四人囃子のアルバムとキーボーディスト坂下秀実氏のプレイ等についてのコラムでした。今回は四人囃子を脱退した森園勝敏が加入した「プリズム」というバンドとその後の森園のアルバムにおける素晴らしい鍵盤プレイヤー達のソロをご紹介します。プリズムはジャズやプログレッシブ・ロック等を基調にした楽曲を展開。来日したエリック・クラプトンの前座を務め、注目されました。メンバー構成は和田アキラと森園勝敏のツインギター、キーボードも久米大作(EP)と伊藤幸毅(Org)のツインキーボードという当時では珍しい編成、厚みのある音が売りでした。プリズム最大の「売り」は和田アキラの高速ギターフレーズ。当時、チック・コリア率いる「リターン・トゥ・フォーエバー」のギタリスト、アル・ディメオラが同様な高速フレーズを弾く、ギタリストでしたが、和田アキラもそれにも負けない早弾きでギター小僧たちを虜にしていました。今回のテーマはシンセサイザー名盤ではなく、アコースティックピアノのソロです!


■ ファーストアルバム『プリズム』(1977年)/ プリズム

1977年のプリズムのファーストアルバム『PRISM』。このバンドはその後の日本のジャズ、Jポップ、フュージョンを担う腕利きプレイヤーを多く輩出しました。ピアニストの佐山雅弘(コラム後半に登場!)、キーボーディストでサックスプレイヤーの中村哲、山下達郎バンドのドラマー青山純など枚挙に暇がありません。プリズムは高度なテクニックを背景に楽曲を展開したバンドです。洗練された技術無しにプリズムの音楽は成立しませんでした。

推薦曲:「ラブ・ミー」

久米大作の美しいイントロはフェンダーローズ・エレクトリックピアノによるもの。和田アキラと森園勝敏のタメの効いたテーマが秀逸。セクシーな女性ボーカルとギターのコラボは当時、斬新な試みでした。新たな音楽の息吹を感じたのは私だけではない筈です。

■ 推薦盤『ドリーミン』(1986年)/ プリズム

プリズムの最高傑作。私がプリズムで一番聴いたアルバム。プリズムをフュージョンとかプログレシブロックとかをカテゴライズするつもりはありませんが、それらの要素が上手くアルバムにパッケージされています。オリジナルメンバーの和田アキラと渡辺健に加え、サポートメンバーの松浦義和(Key)、深町純(Key)、木村万作(Dr)が参加。アルバム中のシンセサイザー、アコースティックピアノ、フレットレスベースのアンサンブルがとてもドラマチック!

推薦曲:「テイク・オフ」

ドラマチックなプロローグを受け、シンセサイザーが印象的。この曲は私のバンドでもコピーしましたが、テーマのメロディを溜めて歌うのは意外に難しいです。分かりやすくポップなインストでシンセやギターのメロディに寄り添うブレットレスベースも秀逸。この曲は某煙草メーカーのCMでも使用されました。椰子の木を横に撮影した映像と編集も斬新で最高でした。

■ 推薦盤『4:17』(1978年)/ 森園勝敏

森園勝敏の最高傑作。9曲中7曲がボーカルナンバーでインスト志向だった森園がボーカルをとっています。また、森園の作曲能力の高さも垣間見ることができ、洒落た曲が揃っています。バンドメンバーは、岡沢章(B)、渡嘉敷祐一(Dr)、野力奏一(Key)、佐山雅弘(Key)、MALTA(Sax)などジャズ寄りの面子の他、プリズム人脈が反映された形になっています。このアルバムは日本サーフィン協会の推薦盤というクレジットが付いていました。森園勝敏とは程遠い(失礼!)ところがサポートしたこのアルバムは当時、日本AORの最高傑作とも云える程の輝きを放っていたと思います。洗練されたJポップにジャズをバックグランドに持つミュージシャンがサポートして作り上げる音楽…それがポップスの理想形であると私は考えています。

推薦曲:「アフター・ザ・レイン」

四人囃子、セカンドアルバムのラストの名曲、「レディー・バイオレッタ」との相対を思わせる曲。イントロもメロディーも一聴すればそれを理解できると思います。素敵な曲です。間奏部のピアノソロは野力奏一の傑作ソロ。野力は渡辺貞夫、山下達郎、ケイコ・リーなど、トップミュージシャンから起用されています。森園のマットな楽曲を見事なソロが引き立てています。
野力奏一はジャズ畑の出身でポップミュージックのバッキングをさせてもピカ一のミュージシャンです。次回は野力奏一さんがアレンジやバックを務めた「ミキ」さんというミュージシャンを取り上げます。

推薦曲:「スモール・シガレット」

日本でピアノを弾かせたら…もう1人のファースト・コールミュージシャン佐山雅弘の見事なソロが聴ける曲です。気怠い楽曲を森園が唄い、間奏部で佐山の見事なアコピソロが切り込んできます。このソロは当時の私をノックアウトしました。この手の楽曲ソロではピカ一だと思いますし、アコピのソロでこのソロを超えるソロは聴いたことが無いほどの出来だと私は考えています。楽曲の気怠さを一掃する程の瞬発力の高いソロは必聴です。私はこのソロをきっかけに佐山雅弘さんにのめり込むことになりますが、その話は後程。


今回取り上げたミュージシャン、アルバム、推薦曲、使用鍵盤

  • アーティスト:プリズム、森園勝敏、佐山雅弘、野力奏一
  • アルバム:「プリズム」「ドリーミン」「4:17」
  • 曲名:「ラブ・ミー」「テイク・オフ」「アフター・ザ・レイン」  「スモール・シガレット」
  • 使用機材:フェンダー・ローズピアノ、アコースティック・ピアノ
 

コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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shinsekenban

高校時代よりプログレシブロックの虜になり、大学入学と同時に軽音楽部に入部。キーボードを担当し、イエス、キャメル、四人囃子等のコピーバンドに参加。静岡の放送局に入社し、バンド活動を続ける。シンセサイザーの番組やニュース番組の音楽物、楽器リポート等を制作、また番組の音楽、選曲、SE ,ジングル制作等も担当。静岡県内のローランド、ヤマハ、鈴木楽器、河合楽器など楽器メーカーも取材多数。
富田勲、佐藤博、深町純、井上鑑、渡辺貞夫、マル・ウォルドロン、ゲイリー・バートン、小曽根真、本田俊之、渡辺香津美、村田陽一、上原ひろみ、デビッド・リンドレー、中村善郎、オルケスタ・デ・ラ・ルスなど(敬称略)、多くのミュージシャンを取材。
<好きな音楽>ジャズ、ボサノバ、フュージョン、プログレシブロック、Jポップ
<好きなミュージシャン>マイルス・デイビス、ビル・エバンス、ウェザーリポート、トム・ジョビン、ELP、ピンク・フロイド、イエス、キング・クリムゾン、佐藤博、村田陽一、中村善郎、松下誠、南佳孝等

 
 
 

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