最近アニメソング界隈で話題の分数aug(通称 Blackadder Chord)。平成も終わりということで今回はこのコードが楽曲中で使用されている平成の名曲をいくつか紹介したいと思います。またその楽曲のアーティストが使用している機材も同時に紹介していきます。
Blackadder Chord(ブラックアダーコード/BLKコード)とはそもそも何か。根音に対して減5度・短7度・長9度上の音を重ねたコードを指します。
(例)Cがルートの場合「C・G♭・B♭・D」で構成されたコード。
解釈としてはオーギュメント(aug)に対し、根音の減5度下の音を重ねたオンコード(分数コード)とも言えます。
実はBlackadder Chordと名前が付けられたのは最近のことで、名付け親はYouTubeチャンネルOngaku Conceptを運営するJoshua Taipaleという人らしいです。
何故「Blackadder」という名前がつけられたかについては公式に明かされている文献などは見当たりませんでした。が、あくまで私個人の見解を述べますと、どの調性で使用された場合でも黒鍵の音を構成音に含むことから”Black”が”adder”されるという意味でつけられたのではないかと勝手に思っています。
それではこのBlackadder Chordが使用されているJ-popの楽曲を紹介します。
1.どんなときも。/槇原敬之
「どんなときも。」は、1991年6月10日発売の槇原敬之氏3枚目のシングルです。槇原敬之氏の代表曲の1つであり、シングルでは自身の最大ヒット曲。この曲によって「槇原」の名が広く知られることになります。
サビの入り前で、F♯aug/B♯が使われています。
個人的に槇原敬之氏の使用機材で最初に思い浮かぶのはこれ、MANLEY/ VOXBOXです。このMANLEY/ VOXBOXはレコーディング時に毎回使用しているマイクプリアンプです。マイクプリアンプ、コンプレッサー、3バンドEQ、ディエッサーを備えたMANLEYの代表作と言えるチャンネルストリップです。
MANLEY (マンレイ) / VOXBOX
2.Show Business/Cymbals
“誰もが知る”名曲ではありませんが、昨今アニメソング界隈において分数augが流行るきっかけとなったバンドCymbalsの代表曲を紹介します。

何故流行るきっかけになったかと言いますと、アニメソング作家として有名なMONACAの田中秀和氏がCymbalsに多大な影響を受けており、近年の作品で数多く使用していることが要因の一つであるかと思われるからです。
それはさておきこの楽曲では冒頭のサビにD → Daug/G# → GM7の流れで裏ドミナントとして使用されています。分数augはポップスにおいて1-5-4進行の中で使用される場合が非常に多いです。そのパイオニア的な存在となったのがCymbalsのShow Businessであるという訳です。
Cymbalsのベーシストである沖井礼二氏は近年のレコーディング、ライブにおいてAmpeg社の上記ベースアンプ、SVT-CLを使用しています。
SVT-CLは、発表以来30年を超えて生産され続けるロングセラー・モデルであり、1969年のシリーズ発表当時のオリジナル・デザインを受け継ぎ、クラシカルなパフォーマンスと操作性を兼ね備えたSVTシリーズの正統派ともいえるモデルです。
AMPEG (アンペグ) / SVT-CL
3.らいおんハート/SMAP
言わずと知れたSMAP 32枚目のシングルです。この曲のAメロやサビでDaug/G#がふんだんに使われています。この楽曲の作曲者であるコモリタミノル氏は、他にも数多くのJ-popのヒット曲を生み出しているクリエイターです。
SMAPに楽曲提供しているクリエイターは有名かつさまざまなジャンルの方がおられます。例えば、今まで数多くのBGM、歌ものを手掛けている菅野よう子氏や、果ては凛として時雨のギターボーカルであるTK氏など意外な人選があるのもSMAPの特徴です。
FULLTONE (フルトーン) / OBSESSIVE COMPULSIVE DRIVE
ちなみにTK氏の使用エフェクターとしても有名な大定番オーバードライブであるFulltoneのOCDはバージョンがいくつかあります。その音色はバージョンごとに全く違うと言っていいでしょう。(verごとの音色の違いについてはまたの機会に。。。)
4.Everything/MISIA
こちらも誰もが知るMISIAの代表曲かつ2000年代を代表するバラード。Aメロの頭でEaug/A#が使用されています。これは1-4-5のパターンでの使用ですね。
ABLETON (エイブルトン) / Live 10 Standard
MISIAのプロデューサーである、島野聡氏は作曲時のメインDAWとしてABLETON (エイブルトン) / Live 10 Standardを使用していると自身の著書で公言しています。DTMを始めるにあたって最初に選ぶDAWとしては少々値段や機能面からもハードルの高いものであるのではないかというのは個人的な感想ですが、シンセのプリセットの多さからEDM系の楽曲を多く作る人にとっては適しているDAWなのかなと思われます。
5.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ/サンボマスター
楽曲中何度もAaug/D#が使用されており、これまた1-5-4進行の中での使用例となります。ロック(パンク)バンドのような印象を持っている人が多いと思われるサンボマスターですが、さまざまな楽曲を深く聞いていくと、音楽性の素養の高さをうかがうことができます。
GRASSROOTS (グラスルーツ) / G-LS-57 TV Yellow
ギターボーカルの山口氏が長年メインギターとして使用している黄色のGibson製レスポールジュニアは、邦楽であればBUMP OF CHICKENの藤原氏が使用していることでも有名ですね。
この価格でもP90タイプシングルPU独特の歯切れのよさが十分楽しめるのでオススメです!
いかがでしたでしょうか?誰もが知っている有名な楽曲の中にも意外とニッチなコードが使われているものなのです!これを機にアニメソングを聴いてくださる人が増えればうれしいです…!