天然の竹が使われている尺八は、保管が難しいと言われています。尺八は割れると、高額な修理代がかかり、確実に音や吹き心地が変わってしまいます。ギタリストで言うと、大切なギターのネックが折れてしまうのと同じくらいショッキングなことです。そんな悲しい事態にならないように、今回は、尺八の手入れ、保管方法をご紹介します。

~尺八が割れる原因~
1.乾燥
竹は乾燥に弱いため、空気が乾燥している冬は特に割れやすくなります。
2.急な温度変化
真夏でもエアコンが直接当たる所に置いたり、車の中に放置したりすると割れることがあります。冬に、ホットカーペットの上に置いたりすると高い確率で割れてしまいます。エコーが効くからといってお風呂で尺八を吹くと、水分を含んだ竹は乾いた時に割れることがあるため、おすすめできません。
3.季節の変わり目
冬から春に変わる時期は要注意です。私はその時期に一本割ってしまいました。
4.落とす、ぶつける。


~割れ対策~
油を塗る
オリーブオイル、椿油、クルミ油などを塗ることにより、油分が竹に染み込み、保湿効果が生まれます。割れるリスクが減り、竹に光沢が出るというメリットがある一方、塗り続けると竹の色が変わる(濃くなる)ため、油を塗らない演奏家も多いです。また、塗り過ぎるとべとつきが出てしまいます。演奏の邪魔にならないよう、ほんの数滴を手になじませて薄く延ばし、仕上げに布でふき取ると良いでしょう。

毎日吹く
実はこれが一番効果的かもしれません。数分でもいいので、毎日息を通すことで割れにくくなります。また、素手で竹を触るだけでも保湿の効果があります。毎日吹く習慣のあるプロ演奏家は、油を塗らない人が多いようです。尺八内部に塗られた漆を長持ちさせるために、吹いた後は必ず露切(つゆきり)を使って、管内の水分をしっかり拭き取りましょう。
蝴蝶宝 / 尺八露切 瓢箪型
袋に入れる
尺八を持っていると、ついつい部屋に飾りたくなりますが、そのままスタンドに立てたりするのはあまり良くありません。尺八用の袋に入れて保管しましょう。専用袋を持っていない方には、雨の日にデパートなどの入口に置かれる傘用のビニール袋がおすすめです。サイズがピッタリで、私の周りの演奏家たちも愛用しています。このビニール袋は100円ショップなどで購入できます。

移動の際は布製尺八袋がおすすめ

歌口を守る
尺八の歌口(吹き口)は薄く、ぶつかったり落としたりすると割れてしまうため、保護するためのキャップを使います。持ち運ぶ際は、必ずキャップを付けるようにしましょう。
蝴蝶宝 ( コチョウホウ ) / 尺八キャップ 並 6号
籐(とう)を巻く
竹に籐を巻いて絞め付けることで、竹が膨張して割れるのを防ぎます。空気が乾燥している海外での公演が多い演奏家は、割れ防止のために最初から籐を巻いている人もいるようです。

保管場所
極端に高温になる場所、直射日光を避ける。エアコンの風が直接当たる場所は避けてください。やはり日本の楽器だけあって、保管するなら畳のある和室が最適です。乾燥する冬は、尺八の近くにコップ一杯の水を置くのも効果的です。

竹製尺八の割れとは無縁の木製尺八(楓製)、お風呂でも吹けるプラスチック尺八はコチラ
■木製
蝴蝶宝 / 尺八 都山流 1尺8寸
蝴蝶宝 / 尺八 琴古流 1尺8寸
■プラスチック製