「歌ってみた」や「弾いてみた」など、演奏動画を投稿する際に必要になってくるのがカラオケ音源です。
外注して作ってもらうこともできますが、せっかくなら自分で作ってみませんか?
カラオケ音源を作ることで、さまざまな楽器への理解が深まるだけでなく、作曲やアレンジのヒントを得られることもあります。
また、DTMの技術も向上するため、プレイヤーだけでなくアレンジャーを目指している方にもオススメです!
1. リズムパート(ドラムやパーカッション)を作る
リズムパートを作るうえで大事なのが、キック(バスドラム)、スネア、そして金物(シンバル類)です。
この3つをしっかりコピーできていれば、多少細かい部分が違っていてもカラオケとして成立します。
逆に言うと、この3つがうまく再現できていないと、曲のノリが大きく崩れてしまいます。
8ビートなのか16ビートなのか、ストレートなのかシャッフルなのか、最初はビートの感覚を掴むのは難しいかもしれませんが、ここは丁寧にコピーしていきましょう。
筆者は、キック → スネア → 金物の順でコピーしていきます。

こちらはキックとスネア、ハイハットを打ち込んだ状態です。
この状態で再生してみて楽曲のノリに対して違和感を感じるようであれば、どこかしらが間違っているので一つずつ確認していきましょう。
楽曲によっては(一昔前のJ-Popなど)キックがほとんど聞こえない場合もあります。
そのようなときは、ローパスフィルターをかけて高音域を抑えると、キックが聞き取りやすくなることがあります。
ゴーストノートやフィルインは再現できるに越したことはありませんが、聞き取りづらかったり、手持ちの音源で再現が難しい場合は、簡略化や省略しても問題ありません。
自分がカラオケ制作する際に使用している音源は、Addictive Drum2という音源を使用しています。
この音源はプリセットの状態でもカッコいいドラム音色になってくれているので、Mix時に大きな調整をしなくてもいい感じに仕上がるのでオススメです!
XLN AUDIO ( エックスエルエヌオーディオ ) / Addictive Drums 2: Custom XL Collection ダウンロード納品
2. ベースパートを作る
リズムパートが完成したら、次はベースパートを作っていきます。
ベースの耳コピは、特に初心者にとっては難関になりやすい部分です。
キックと同様に、昔のJ-Popではベースの音があまり目立たないこともありますが、ローパスフィルターを使うことで聞き取りやすくなります。
演奏ができる方であれば自分で弾くのもよいですし、弾けない方は打ち込みでも全然問題ありません。
筆者は打ち込みの際は、IK MultimediaのMODO Bassを使用しています。
こちらはベース音源の種類が豊富で、ベロシティを均一に打ち込んでも、不自然な「マシンガンベース」になりにくく、ドラムと混ぜると自然に聴こえるので打ち込み初心者の方にオススメです。
IK MULTIMEDIA ( アイケーマルチメディア ) / MODO BASS 2 ダウンロード納品
3. 上物(ギター・ピアノ・シンセなど)を作る
リズムセクションが完成したら、次はギターやピアノ、シンセといった「上物」を重ねていきましょう。
ここで重要なのは、コードを正しく把握することです。
ある程度ギターやピアノの経験がある方なら、耳でなんとなくコードを取れるかもしれません。
ただ、音楽理論の知識や楽器経験の浅い方にとっては難しいと感じる方も多いでしょう。
そんなときは、市販のバンドスコアや、YouTubeなどの楽譜付き演奏動画を参考にしてみるのがオススメです。
また、楽器の演奏ができない人でも、打ち込み音源ソフトの自動演奏機能や、著作権フリー・商用利用可のサンプル音源を使って再現することができます。
AMPLE SOUND ( アンプルサウンド ) / AMPLE GUITAR SC III
シンセの場合、音色選びが難しいのですが、時間のある時に市販されているシンセ音源のプリセットを1個ずつ試してみて、聞き馴染みのある音色などをチェックしておくとカラオケ制作時の音色選びがスムーズになるでしょう。
筆者がよく使う音源はRolandのZENOLOGYというソフトです。
様々な楽曲で聴いたことがある定番音色が豊富に入っているので非常にオススメです。
ROLAND ( ローランド ) / Roland Cloud Lifetime Keys ZENOLOGY PRO
4. 歌メロ(ガイドメロ)を作る
オケが完成したら、歌メロ(ガイドメロ)を作成してみましょう。
「歌ってみた」用途の場合は必須ではありませんが、ガイドがあることで、メロディの音程やリズムを正確に把握できるため、よりクオリティの高い歌唱につながります。
「弾いてみた」動画では、作成したガイドメロを元に、ボーカロイドやSynthesizer Vなどを使って歌を入れると、さらに完成度が上がります。
AHS ( エーエイチエス ) / Synthesizer V Studio 2 Pro スターターパック
ガイドメロは、Sin波系の柔らかい音色やピアノ音色で作るのがオススメです。
ストリングスのように音の立ち上がりが遅い音源や、リリースが長い音源はガイドには不向きです。
5. Mix&マスタリング
最後はMixです。
「Mixは難しい」と感じる方も多いと思いますが、最初は音量とパンニング(音の定位)の調整から始めてみましょう。
音量と定位だけである程度バランスが取れれば、ひとまずOKです。
さらにクオリティを高めたい場合は、EQで他の楽器と被っている周波数をカットしたり、コンプレッサーで音量のばらつきを整えるなど、少しずつステップアップしていきましょう。
Mixが終わったら、マスタリングで音圧を調整します。
音圧を確認できるプラグインを使いながら、RMS値を-7~-9あたりに設定するのがおすすめです。

こちらはLogic Proに内蔵しているMultiMeterというメータリング用のプラグインです。
画像右上のRMS値を-7~-9あたりを目指してマキシマイザーの値を調整すると良いでしょう。
NeutronやOzoneシリーズなどAIを利用したMix&マスタリングアプリもありますので、それらを使うともっと簡単に作業することができます!
iZotope ( アイゾトープ ) / Neutron 5 ダウンロード納品版
iZotope ( アイゾトープ ) / Ozone 11 Advanced DL納品版
6. カラオケ制作時の耳コピに便利なステム分離アプリの紹介
最近では、楽器ごとにステム分離ができるアプリが登場しており、耳コピ作業の効率を大幅にアップできます。
筆者が使っているのは「Moises」というアプリ。
無料会員でも月5曲までステム分離が可能(5分未満の曲に限る)なので、興味のある方はぜひ試してみてください。
※注意点
ステム分離ソフトを使えば、ボーカルを除去したカラオケ音源を手軽に作成できますが、商用利用は不可です。ご注意ください!
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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