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Rock’n Me 9 洋楽を語ろう:オーケー・ゴー

2021-12-10

Theme:sound&person

こんにちは。洋楽を語りたがるジョシュアです。
第9回目は、シカゴ出身の4人組バンド、オーケー・ゴー(OK Go)です。彼らのことを一行で表すと「低予算ビデオで創意工夫、ファンとつながって世界を変えた元祖ユーチューバー」です。

あまり詳しい解説をするよりも、まずは彼らのプロモーション・ビデオをご覧になっていただくのが一番です。しかし、全世界に衝撃を与えたビデオです、覚悟を持ってクリックしてください。最初の10秒間を見たら、最後まで一気に見入ってしまい、ついでに数回繰り返し再生しますので。

■ Here It Goes Again

道具はランニングマシン、背景を隠すための銀色のシート…そんなもんです。あと、ビデオカメラですね、ワンショット用の。低予算も良いところです。しかし、創意工夫とは、まさにこのことでしょう。ランニングマシンを用いて、練りに練られたパフォーマンス。そして、細かいひねりも効いています。ビデオで歌っているのはメガネをかけたユーモラスな顔のピンクシャツ男(ティム・ノードウィンド、b)です。しかし、スタジオで実際に歌っているのはネクタイと縞シャツの人(ダミアン・クーラッシュ、vo, g)なのです。

もう一編、強烈なビデオを紹介します。これまた繰り返し再生必至ですので、覚悟とともにクリックしてください。

■ White Knuckles

ここでもワンショット、低予算精神は全開です。出てくるのはメンバー4人、ポリバケツ、イケアで売っているような北欧系の家具、多少の小道具、そして…たくさんのワンコです。もちろん、ここまでワンコを訓練するのは並大抵のことではありません。しかし、だからといって、ここまでオリジナルなものは普通できません。ビデオをさんざん楽しむと、最後の字幕では、心を動かせるメッセージが出ます。出演したワンコたちがみんな保護犬であることと、保護犬支援サイトの案内なのです。最後の最後まで気が抜けません。

この2つのビデオをご覧いただいた後には、時間軸を考える必要があります。”Here It Goes Again”のビデオは2006年に発表されました。一方、ユーチューブが設立されたのは2005年、グーグル社(当時)に買収されたのが2006年で、以降急速に普及したのはご存知の通りです。オーケー・ゴーの活躍は、この流れに見事にシンクロしています。

この流れを考える上で、もう一つビデオを紹介します。“Here It Goes Again”より一つ前のビデオ、”A Million Ways”(2005年)です。

■ A Million Ways

これは、ダミアン宅の裏庭でメンバー4人がユーモラスな踊りをする…といった素朴なビデオです。しかし、彼らのスゴいところは、「あなた達の”A Million Ways”を投稿してユーチューブにアップしてください」とファンに呼びかけたところです。その結果、ネットでは競い合うようにして各自が様々な踊りをアップしました。そして、最優秀作品の投稿者はオーケー・ゴーのコンサートに招かれ、動画集はボーナスDVDとして発売されたのです。これまた、当時は革命的な動きでした。

要は、私たちが当たり前のように音楽でユーチューブを使っているのも、オーケー・ゴーの功績が多大なのです。たとえ予算がなくて素人であっても、アイデアが良ければ、一気に世界的ブレイクを果たす、そしてアーティストとファンがつながっていく…今や当たり前となったユーチューバーの発想も、この当時は前代未聞でした。つまり、オーケー・ゴーは元祖ユーチューバーなのです。

彼らの作品をここまで押し上げた背景には、ブレインがいました。それはダミアンの実姉であり、振り付けと監督を担当したトリッシュ・シーです。彼女の知恵があったからこそ、彼らの作品は不朽の名作となりました。あまりにも映像が凄すぎて、次第には、音楽そのものよりも映像で騒がられるようになりました。でも、その期待に応えるかのように、物凄い映像を相次いで発表していますから、まあ、いいでしょう。物凄い映像ってどういうのかって?こんな感じです。

■ I Won’t Let You Down

これは千葉県の施設「ロングウッドステーション」でロケされたもので、冒頭では日本人3人がゲスト出演しています(良い香りのする方々です。彼女らとのコラボは、この後の作品でも続きます)。日本人にとっては天にも昇る心地です。彼らは、この作品のために日本に1か月間滞在し、多数のスタッフを使っていて、作品のスケールも巨大化しています。しかし、ワンショット・創意工夫というキーワードには揺らぎがありません。気がつけば、本当に天に昇ります。いや、本当に。最後まで動画を見ればその意味が分かりますよ。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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Joshua

1960年以降の洋楽について分かりやすく、かつマニアックに語っていきます。 1978~84年に米国在住、洋楽で育ちました。2003~5年に再度渡米、コンサート三昧の日々でした。会場でのセットリスト収集癖があります。ギター・ベース歴は長いものの永遠の初級者です。ドラム・オルガンに憧れますが、全く弾けません。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズに関するメールマガジン『Depot Street』で、別名義で寄稿しています。
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