
歌を歌うことを仕事にしたい!
そう思っていてもプロのボーカリストになるのは狭き門であり、運と実力が絡み合う世界です。
しかし、生計を立てるレベルでなくてもいいならプロのボーカリストでなくても歌でお金を稼ぐことは可能です。
音楽経験者であれば仮歌シンガーという存在を聞いたことがあると思いますが、今回は音楽を仕事に結び付けるにあたって比較的ハードルが下がる仮歌シンガーについて書いていきます。
■ 仮歌シンガーとは?
読んで字の如く、仮の歌を入れる人を仮歌シンガーと呼びます。
バンドやシンガーソングライターなら仮歌は自分でいれるものですが、アイドルや俳優など歌が本業ではない人の曲を作る場合、そのアーティストのところに曲が行く前に仮歌が入ります。
コンペなどで募集されたテーマに沿って作曲家が曲を作り、イメージに合ったボーカリストが仮歌を入れていきます。
このコンペで募集された曲に仮歌を入れてもそれが世に出るかどうかはわかりません。
むしろ世に出ない可能性の方が高いでしょう。
つまり、不採用になる可能性の方が高い曲の仮歌にかけられる予算はあまり大きくはないのでそこまで稼げる仕事ではありません。
ワンコーラス歌って3000円程度が相場で、歌唱力によって前後します。
それでも副業としてのおこずかい程度にはなりますし、多くの作曲家から依頼を請けて月に10万円以上稼いでいる仮歌シンガーも存在します。
プロのボーカリストを目指している人にとっては練習にもなり横の繋がりが増えるきっかけにもなります。
そこからなにかのコネクションに繋がる可能性は低いですがゼロではありません。
元々競争率の低い世界で生きていこうとしているボーカリストにとっては低い可能性でもかけてみる価値はありますよね。
■ 仮歌の仕事を受注するには
一発当てたいと考えている作曲家は多いので、そのぶん仮歌シンガーの需要も結構あります。
単発のお仕事が多いですが、単発であっても作曲家に気に入ってもらえれば不定期でも仕事をもらえるようになります。
仮歌募集サイトに登録する
仮歌シンガーと作曲家をマッチングさせるうたいれ!というサイトもありますし、ココナラなどのスキル売買サイトでも仕事を請けられます。
まずはたくさんのサイトに登録を行っていきましょう。
自分から売り込んでみる
いきなり大手音楽事務所などに売り込んでも相手にされませんが、地下アイドル業界などは仮歌シンガーの需要も多いです。
日本には地下アイドルが5000人以上いると言われていて、その多くはわずか数年で入れ替わるので毎日のようにどこかで新しいアイドルグループが生まれています。
アイドルグループは絶対と言っていいほどTwitterアカウントを持っているので公式アカウントから自分を売り込んでみましょう。
自分のTwitterアカウントは仮歌活動用のアカウントにし、アイドルグループを片っ端からフォローしていくのもアリです。
アイドルの運営同士は繋がりも多いので、一度どこかの運営に採用してもらえれば他のグループからも仕事をもらえるかもしれません。
■ 仮歌の仕事に必要なもの、あると便利なもの
すでに自分でレコーディングをしたり、YouTubeに動画をあげたりしている人は仮歌シンガーとしての活動もスムーズです。
なにもそういった準備がない人は機材やポートフォリオ(自分をアピールする作品)となる音源作りから始める必要があります。
録音環境を作る
仮歌は本録りではないですが、だからといってスマホで録音したような音源は問題外です。
ハンディレコーダーで録ったものもあまり好ましくありません。
最低限、以下のものは揃えておきましょう。
- 1万円以上のコンデンサーマイク
- オーディオインターフェイス
- ポップガード
- マイクスタンド
- DAWソフト(無料のものでもOK)
これだけあれば作曲家からもらった音源に、使えるレベルの音質で歌を録音することができます。
ポップガードはCLASSIC PROのPG11がおすすめです。
安価ですが使っていてずれるようなこともなくきちんと役目を果たしてくれます。
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / PG11
マイクスタンドも同じくCLASSIC PROのMSBブームマイクスタンドはお値段以上の商品です。
レビュー240件で総合評価が4.5という人気なので安心できますね。
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / MSB/BLACK ブームマイクスタンド
コンデンサーマイクは色々あるのですが、とりあえずの入門用としてはAT2020USB+が便利です。
マイクにオーディオインターフェイスが内蔵されているので、USB接続でパソコンに直接入力して録音が可能です。
初めてのコンデンサーマイクなのであればショックマウントが付属するAT2020USB+バージョンアップセットがいいでしょう。
ショックマウントは別で購入すると4000円オーバーですが、サウンドハウスのセットならマイク本体プラス1000円ちょっとです。
audio technica ( オーディオテクニカ ) / AT2020USB+バージョンアップセット
その他にあると便利なものはピッチ補正ソフトです。
Melodyneが定番中の定番ですね。
バージョンがいくつかあり、高いものは約9万円と高価なものですが、歌の補正だけであれば約3万円のMelodyne5 Assistantでも満足できるでしょう。
ピッチ補正だけでなく、タイミング補正やハモリ生成もできるので非常に便利です。
CELEMONY ( セレモニー ) / MELODYNE 5 ASSISTANT 簡易パッケージ
なお、無料でダウンロードできるピッチ補正ソフトもありますが仮歌の仕事として使えるレベルのものではありませんでした。
ポートフォリオを用意する
必要な機材を用意したら、名刺代わりにYouTubeなどで歌った音源をアップしておく必要があります。
ここでアップされた音源は歌声や歌唱力だけでなく、どれほどのクオリティで録音できるかどうかというのもチェックされます。
ポートフォリオが直接収入になるわけではありませんが全力で録音しましょう。
ここで低品質なものを作ると仕事が全くきません。
曲は色々なジャンルのものをアップしておくと受注できるチャンスが増えます。
曲調、リズム、声色など得意なものが複数ある場合は必ず全部アップしてください。
動画の説明欄やプロフィールには以下の項目を記載しておきましょう。
- 可能な納期
- 歌唱歴
- ピッチ補正、リズム補正の可否
- 希望する報酬額の目安
- 使用機材、録音環境
- 得意なジャンル
まとめ
著者は一時期、アニソンや男性アイドルの仮歌として仕事を請けていた時期があるのでその時の経験を思い出しコラムを書いてみました
色んな曲にチャレンジできるし勉強にもなるし、けっこう楽しかったですよ。
特に自分の仮歌を入れた曲がコンペを通過し、テレビなどからその曲が流れる時は何とも言えない快感です。
仮歌を入れただけだから名前も残らないし、契約内容的に他人にその曲名は言えないんですが一人で「フフフ」と思っていました。
ちょっと探してみるとわかると思いますが、仮歌シンガーとして活躍している人はかなり多いです。
これまでにあげた条件をすべて満たしてもすぐに仕事が来るとは限りません。
しかし、歌声というのは十人十色です。
アナタの歌声を必要としている作曲家と出会えるかは運と自分のアピール次第なので、仮歌シンガーを目指す人はポートフォリオ作りから頑張ってください。
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