2019年7月は完全ワイヤレスイヤホンが完成した月として記憶されるでしょう。それほどまでに今月発売された「audio-technica ATH-CKS5TW」は高い完成度です。
今回取り上げるのは「ATH-CKS5TW」。オーディオテクニカの製品の中でも特に熱狂的なファンが多く、コスパに優れた重低音シリーズとして有名な「SOLID BASS」の名を冠する完全ワイヤレスイヤホンです。



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ATH-CKS5TW BL 完全ワイヤレスイヤホン ブルー
SOLID BASSシリーズを既に体験したことがあり、あの重低音が好みであれば、あなたにとって最高の完全ワイヤレスイヤホンはATH-CKS5TWに決まりです。
バッテリー寿命、音途切れ、遅延・・・完全ワイヤレスイヤホンの課題とされていたほぼ全ての要素が解決され、実用する上で上記問題を感じる機会はほぼ無いでしょう。
本機は「Qualcomm aptXコーデック対応」が公表されていますが、革新的な省電力性+高い接続安定性をもたらす通信チップ・Qualcomm QCC3026が採用されているかは不明です。
QCC3026といえばZERO AUDIOのTWZ-1000やAVIOTのTE-D01bが搭載機種として有名ですが、本機のバッテリー寿命、通信安定性は結果としてそれらを凌駕している印象を受けます。
そしてなんといってもSOLID BASSシリーズの重低音は、代替するイヤホンがありません。唯一無二の特徴です。
SOLID BASSが好きなら本機は完全ワイヤレスイヤホンのベストバイでしょう。
◯ATH-CKS5TWの音質
・SOLID BASS特有の重低音が特徴。SOLID BASSシリーズ未経験者でも、イコライザーで低音を大きく持ち上げるような楽しみ方をしているなら、本機の音はおすすめです。 ・音量を上げると高音域も含めて一気に解像度が鮮明になります。ガンガン大音量で鳴らすなら最高ですが、室内で小さな音量で聴くならイコライザーで1kあたりを持ち上げる調整がおすすめ。
◯ATH-CKS5TWの装着感
・装着感は良好。内耳にぶつかる突起が無く、遮音性は非常に高い。ノイズキャンセリング機能が無くても遮音性能だけでかなりの静粛性を得ることが可能です。
◯本当に15時間保つバッテリー
・フル充電で10:00に屋内使用開始。20:00まで連続再生しても全く問題無し!公表スペック通り15時間保ちそうで、連続再生の検証自体が大変なスタミナです。
・稼働2時間程度が常識だった完全ワイヤレスイヤホンが10時間以上動くようになったことは衝撃的です。
◯音の途切れにくさ(通信安定性)
・非常に途切れにくいです。両耳を手で密閉しても音は途切れません。
・スマホを机においたまま別の部屋まで26歩の距離を歩いても繋がるため、途切れにくさは圧倒的。大型のウェアラブルスピーカー並の安定性です。
◯動画とゲームの遅延
・スマホのYoutube、niconico、Amazon Prime Videoなどのアプリでは、アプリ(もしくはスマホ)自体に遅延を補正する機能もあるためか、動画でも違和感無く楽しめました。SOLID BASSの重低音は映画との相性がとても良いため、動画アプリでの低遅延は非常にありがたいです。
・ゲームは上記補正が効かないため遅延を感じます。同様にWindows PCでも補正が働かないため、スマホと同じYoutubeの動画を見ても遅延を感じました。ただし数年前の完全ワイヤレスイヤホンと比較すると遅延は非常に少なくなっています。FGOやシャドウバースといった音の同期がそれほど重要ではないソーシャルゲームなら十分に楽しめるでしょう。逆にデレマスといった音ゲーやPUBGといったアクションは難しいです。これはまだまだワイヤレスオーディオ全てに共通する問題です。
◯音漏れ
・最大ボリュームで取れる音量がかなり大きいため、上げれば音漏れします。ただしAirPodsのような非密閉型と比べれば漏れる音は小さく、電車で隣席に聞こえるレベルではありません。
◯音量調整も可能なコントローラー
・クリック感の強いボタンが左右にそれぞれ設置されています。タッチセンサーや押下の浅いボタンに慣れない方には朗報。
・右長押しでパワーオン、オフ。
・右1回で停止、2回で曲送り、3回で曲戻し。
・左1回でボリュームアップ。2回でボリュームダウン。ボリューム操作ができない完全ワイヤレスイヤホンも多いため、これはうれしい機能。ちなみにイヤホン自体の音量調整ではなく、スマホ/プレーヤー側の音量が変化する。
・各ボタンの挙動は「connect」アプリからカスタマイズ可能です。

◯付属品

・USB-Cケーブル、バッテリーケース、サイズ違いのリングとイヤーピースが付属します。
・イヤーピース、リングは写真とは別に、本体装着済みの1セットがあります。
◯コーデック
・SBC、AAC、aptXに対応。
・「connect」アプリから現在接続中のコーデックの確認と、コーデックの変更が可能。コーデックは確認したり変更が通常は難しいため、こういった専用アプリで簡単に操作できるのは便利です。


ATH-CKS5TWは間違いなくスペック的に妥協の無い「完成品」です。
ただし音質はSOLID BASSそのものなので、逆に低音より高音が好き、原音再生を重視している、キラキラした音、ハイレゾ的な空気感を求めるなら、同じく2019年7月発売の同期とも言えるSONY WF-1000XM3を購入すべきです。
この2機種は「完全ワイヤレスイヤホン」の課題を全て解決した点で共通していますが、音質、価格帯といったイヤホンとしての根本的な特徴が全て異なります。
そのため自分がイヤホンに求めている要素が何かを考えれば、実は悩む候補にはならないでしょう。
結論としては、どっちも買ってしまえばいいと思います。