
今も昔も子供に人気の習い事と言えばピアノです。
特に昔と比べると電子ピアノが手軽な値段で購入できるようになったので、ピアノと言えばお金持ちの家だけに許された習い事というイメージはなくなりつつあります。
その一方で【電子ピアノでは本物の力が身に付かない】という意見も少なからず耳にします。
子供にピアノを通じて音楽を学び感性豊かに育って欲しいというお父さんお母さんも多いと思いますが、自身にピアノの経験がなければ電子ピアノでいいかどうかなんてわかりませんよね。
この記事ではピアノ教室に通う息子を持つ著者の主観も交えながら、電子ピアノと生ピアノについて考察していきます。
■ 電子ピアノのメリットとデメリット
なんとなく電子ピアノよりも生ピアノの方が上達に結び付きそうなことは誰もが予想できていることと思います。
ですが、電子ピアノならではのメリットというのもたくさんあります。
- 低コストで始められる
- 夜間でも練習ができる
- 場所を取らず移動も簡単
- 調律が不要
かんたんにまとめると電子ピアノの方がお手軽にピアノに取り組めるということです。
選択肢に生ピアノしかなかったとしたら、子供がピアノを始めたいと言い出しても二つ返事でOKを出せる家庭はそう多くないでしょう。
万が一、続かなかったらと考えたらそう簡単に買えるものではありません。
しかし、子供が関心を持っているものを無下にするということは子供の可能性を潰してしまうかもしれません。
電子ピアノなら安価なモデルや省スペースモデルも多く販売されているので、子供がピアノに関心を持った時にすぐ対応することができます。
それに対し、電子ピアノ否定派の意見も正しいことを言っているので、デメリットも理解しておく必要があります。
- 表現力が身に付かない
- グランドピアノでしか弾けない奏法がある
- 寿命が短いから楽器に愛着がもてない
などなど、見過ごせないデメリットもあります。 特にピアノ講師や上級者の人は『電子ピアノはピアノじゃない』と言い切ってしまう人もいるほどです。
■ 電子ピアノをすすめられない人
音大を目指す、ピアノを仕事にすると考えている人はグランドピアノを買うべきです。
アップライトピアノも役不足です。
最近は幼稚園児ですらYouTubeやテレビの影響でそこまで考えている子もいます。
その意思を本気で汲むならグランドピアノしかありません。
大きな理由として音色と表現力が関わってきます。
グランドピアノの音色はグランドピアノでしか表現できないもので、始めたばかりの幼少期からその音色で育ってきたかどうかは成長後に大きな違いとなって現れます。
電子ピアノやアップライトピアノで育った人にはその違いがわからず表現力で劣ってしまうのです。
と、偉そうに書きましたが、著者もその違いがはっきりわかっていません。
ですが多くのピアノ奏者の誰もが口にするのを聞いているので間違いないでしょう。
将来的にそこまでシビアな世界に入っていくつもりであれば早い段階で、できれば最初からグランドピアノで練習をしてください。
■ 電子ピアノの価格
先に挙げた電子ピアノをすすめられない人以外の全てに電子ピアノはおすすめしたいです。
一流のピアニストを目指しているという人はそう多くはないはずなので、メリットの多い電子ピアノはほとんどの人におすすめできる楽器と言えますね。
ただ、電子ピアノと言っても価格の幅は広く、5万で購入できるものもあれば50万円もする高価なものもあります。
ここからは著者の主観がかなり入りますが、2つの価格帯の電子ピアノを紹介します。
○ 5~10万円
最初から辞めることを考えるのはいかがなものかとも思えますが、現実問題として子供の興味は移ろいやすいものです。
成長していくにつれゲームやスポーツなどに力を入れる時間が増える可能性もありますし、交友関係が広くなれば友達と遊ぶ時間も増えてきます。
そうなることは何も悪いことではなく、ごく自然なことなので無理矢理ピアノを続けさせても親子ともストレスになるだけです。
ピアノを辞めるとなった時のことを考えると最初の1台には5~10万円のピアノを選んでおくといいでしょう。
1年、2年と意欲を失わなかった時に生ピアノの購入を検討しても決して遅くはありません。
また、最初の電子ピアノは夜間の練習用としてもしばらく活躍してくれます。
小学生にもなると帰宅時間も遅くなりますし、他の習い事も始めるかもしれません。
そんな時、夜間でも練習できる電子ピアノがあれば寝る前の30分だけでも弾くことができます。
ちなみにもっと安くて(2万円ほど)たくさんの音色が内蔵されているおもちゃのキーボードもあるのですが、そういった商品はおすすめできません。
のちのちピアノを購入するならいいのでは?と考える人もいますがあれは楽器というよりもおもちゃの要素が強いものです。
最低限としてピアノを模した楽器であることが重要なので、鍵盤を押した時の重さがピアノに近いものでピアノと同等の高さがあるスタンドがついたものにしてください。
○ 15~20万円
経済面、住宅環境面からどうしても生ピアノを購入できない人にはこの価格帯の電子ピアノをおすすめします。
20万円に近い電子ピアノはどこのメーカーであっても鍵盤へのこだわりを強く持って作っています。
特にここ10数年の技術進歩は素晴らしく、普段は電子ピアノを弾くことがないピアニストが弾いた時にそのクオリティの高さに驚くほどです。
もちろんさらに高価格帯の30万円以上の商品になれば、そのクオリティの高さはさらに上がります。
しかし、20万円クラスまでをおすすめしているのは寿命を考慮してのことです。
電子ピアノは電化製品なのであまり寿命は長くなく、故障時の部品交換ができるのも含めて10年くらいが目安となります。
電子ピアノを持ち歩き、人前で演奏する時の楽器としてなら30万円以上のものもアリです。
しかし、子供の習い事ということであれば人前で演奏する発表会やコンクールなどはグランドピアノなので電子ピアノは練習用と割り切りましょう。
■ おすすめの電子ピアノ
それでは2つの価格帯にわけておすすめの電子ピアノをご紹介します。
CASIO ( カシオ ) / CDP-S160BK 電子ピアノ
電子ピアノと言えばYAMAHAかKAWAIいうイメージが強いと思いますが、CASIOも高品質な電子ピアノを販売しているメーカーです。
特に低価格帯の商品におけるコスパは素晴らしく、10万円以下でもビギナーやちょっとした趣味で嗜む程度のプレイヤーであればじゅうぶん満足できるクオリティです。
その中でもおすすめするCDP-S160BKは2021年8月に発売された商品で、低価格ながら自然な音色変化やグランドピアノのハンマーアクションを再現した電子ピアノです。
これからピアノを始めてみようというお子さんに購入する場合はサウンドハウスのCDP-S160BK専用スタンドセットを検討してみてください。
省スペースながら安定感もあり、3本のペダルも付いているので生ピアノを購入した後も夜間の練習用として活躍してくれます。
KAWAI ( 河合楽器製作所 ) / CA49
15~20万円クラスのおすすめはKAWAIのCA49です。
どうしても自宅に生ピアノが置けないという人にもこだわって欲しいのが、鍵盤のタッチがどれだけ生ピアノに近いかということです。
CA49は同価格帯の他社メーカーと比較しても鍵盤性能がよく、生ピアノに近い感触で弾くことができます。
またウーファー2発とツイーター2発で合計4発搭載しているので、自然な音の広がりを感じることができます。
ちなみに20万円を少し超えてしまいますが、上位機種のCA59も捨てがたい商品です。
CA49と鍵盤は同じですが、搭載している音源がワンランク上ですしスピーカーの位置が上部にあるので聞こえてくる音はより生ピアノのイメージに近づきます。
■ まとめ
グランドピアノ以外はピアノじゃないとか、電子ピアノは上達しないとかピアノ上級者は極端な意見を持つ人もいます。
もちろんそれも根拠があってのことですが電子ピアノは楽器としてメリットがたくさんありますし上達も可能です。
音楽の楽しみ方や目標は人それぞれ違い、そのどれが正しいわけでも間違っているわけでもありません。
電子ピアノのメリットやデメリットを理解し、自分に合った楽器を選んでください。
⇨ CASIO / ピアノ/シンセサイザー 一覧
⇨ KAWAI / 電子ピアノ(デジタルピアノ)/ピアノ 一覧
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