唐突ですが私はたまーーにベースを作ってます(コンポーネントベースですけどね)
作る側に回ってみると「本物は違うなぁ」と感じることが多いです。とある有名な工房で完璧に調整された新品1万のベースで10万は出せるほどのいい音がして(PUはノーマル。ほかの電子パーツとナットは変えてあった)力の差を感じ絶望したものです。懐かしい。
そんなクラフトマンの腕が出る「組み込み」について語りたいと思います。
「組み込みが良い」という表現は結構聞くと思うのですが、試奏時に聴き分ける方法って意外と語られてないように感じたので記事にしてみます。
なお、私が考える良い組み込みとは「弦、ナット、フレット、ブリッジ、電装等様々なパーツ全てを適切にセレクトし、調和が取れたセッティングで仕上げたもの」になります。
つまり上質な素材を使っているとかネックが強いとかそういうものではないです。私はそれを「素性が良い」と呼んでいます。そこは気をつけてくださいね。
それと、これから紹介するのは試奏時に試せるやり方です。これだけで全てわかるとはいかないです。
試奏時に良く組み込まれていると感じるメーカーのものならば、私はためらわず通販で買えます。当たり外れの大きいメーカーはありますけどね。

では具体的な方法を…と行きたいところなのですが、風評被害が発生しかねないので注意点を書かせていただきます。
まず、メーカーの実力を測る場合は必ず「新品」の試奏をしてください。
さっき書いた通り良い組み込みとは調和が取れているかどうかです。中古の場合、張られた弦がメーカー出荷弦ではない場合が多いです。弦が異なっていればその時点でナット、弦、弦高の調和が取れていない可能性が高く、メーカーの実力は測れません。フレットの減りによるビビりなんかもあり得ます。
仮に良く組み込まれていてもそれが果たしてメーカーがやったのか楽器屋がやったのかわかりません。
なのでメーカーの実力を試すなら必ず新品を使ってください。中古品のパーソナルな実力を試すのならば関係ないですけどね。
次、絶対に「価格帯」を考慮して評価してください。
フェンダーを例に挙げます。
フェンダーはカスタムショップ(マスタービルド、チームビルド)レギュラー(アメリカ製、メキシコ製、日本製)の5つのラインに分かれており、価格もクオリティも違います。ですがどれも「フェンダー」です。試奏したものがどのラインに属するものなのか必ず確認しましょう。
MTD、サドウスキー、PRSなどハイエンドメーカーも廉価ラインを持っています。価格を必ず確認しましょう。
また、ハイエンドメーカーは廉価なものの作り方を知らないことがあり、コスパが最悪のものを市販してたりします。これはやむを得ないところもあります。つまり廉価版を弾いてみて大したことないと判断するのはもったいないし、高級品を弾いてこれはいいと廉価版を買うのは危険です。

また人間は絶対的な評価はできず、相対的に評価することしかできないと思っています(生身では無理。絶対的な評価をするなら様々な機械が必要)なのでまずは手持ちの楽器でじっくり試してみてきちんと基準を決めて「手持ちの楽器と比べて」良いか悪いを決めましょう。
ではやっていきますね。
まずピアノをイメージしてみてください。
ピアノは隣のキーを叩いても音程とサスティーンの長さは違いますが鳴り方の違いはありません。これが理想です。
つまり隣の弦に移行すると考えるのではなく、長い1本の弦をイメージしてください。
まずはD弦5フレットを押さえ、G弦開放の音と比べてみます。この音(鳴り方)の差が小さければ小さいほど良く組み込まれています。
次にG弦2フレット→1フレット→開放→D弦4フレット…
とこのように弾いてみてください。
この時大きな差異なく鳴るのならば良い組み込みです。ダメなものは音の芯がボヤけてしまい、鳴り方が変わります。これをG→D→A→E弦と連続で低音弦に移行しながらチェックします。
4弦の場合、A弦→E弦に移行した際最もわかりやすいと思います。
次は順番を逆にして(つまりE弦3フレット→2フレット→4フレット→A弦開放→1フレット…)
低音弦から高音弦への移行もしてみましょう。高音弦に移行した場合は逆でピン!という感触がいきなり出てきます。
一応書いておきますがよく組み込まれていても差異は生じてしまいます。どれだけ小さいか、で判断します。
この差異は多弦になるとかなりわかりやすいのでとりあえず多弦でやってみるといいでしょう。
G〜E弦までの差とハイC、ローB弦の差に注目。
良く組み込まれたベースなら33インチでもローB弦がきちんと鳴りますし、ダメなものなら35インチでもローB弦がボヤけます。
35インチ6弦だとローB弦はいいのにハイC弦がダメなのはあるあるだったり。
さほど難しくない割に判断しやすいのでおススメです。試してみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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