AKG ( アーカーゲー ) / C214

1. AKG C214とは

「C214」は、オーストリア発の老舗マイクブランドAKGが手掛ける大型ダイアフラム・コンデンサーマイクロホンです。ハイエンドモデルである「C414 XLII」のサウンド特性を、仕様を絞ることでコストパフォーマンス高く実現することを意図した設計となっています。
具体的には、C414と同等の1インチカプセル（ただし1枚仕様）+ AKGのBack-Plate Technologyを採用し、録音用途において十分な仕様を確保しています。

ユーザーから評価されている点

• 音質

  「ハイ上がりで煌びやか」「抜けが良い」「音楽的な色気がある」といった印象。

• 宅録／自宅使用の使いやすさ

  物理的なサイズ・重量が比較的軽く、自宅録音スタジオやデスクまわりでも扱いやすい。

• 機能仕様の充実

  PAD（-20 dB）/ローカットフィルター/高音圧対応（最大SPL）など、録音現場で嬉しい機能を備えており、音量の大きな楽器や近接録音にも対応しています

注意・不満として挙げられている点

• キャラクターがややクセあり

  「ハイが持ち上がっている」特性ゆえに、フラットな録音を求める場合や女性ボーカル・柔らかい音色系にはあまりマッチしない可能性あり。

• 単一指向性しかない

  C214は指向性がカーディオイド（単一指向性）固定で、C414のような複数指向性切替は不可。録音環境・用途によってはこの点が制限になる可能性有り。

スペック解説：基本仕様と特徴

特徴解説

• 高音のキラッとした抜け

  仕様上、4 kHz以上の帯域が持ち上がった設計がされており、高域の「抜け感」が強め。

• 近接録音・ボーカルやギターアンプ対応

  -20 dB PADや160 Hzローカット、そして最大SPL 136 / 156 dB（0 / 20 dBパッド使用時）対応などにより、大きな音源（ギターアンプ、ドラムのオーバーヘッド、クローズマイク）や近接録音でも使いやすい設計。

• 自宅録音・宅録に適したサイズと扱いやすさ

  300 g程度という重量とコンパクトなサイズのため、宅録スタジオやデスク環境でもマイクスタンドやアームの取り回しが比較的容易。

• コストパフォーマンス

  上位モデルのカプセル設計を受け継ぎながら、機能を絞ることで価格を抑えた「プロ用途に近づけるマイク」として高評価。

3. どんなユーザーにおすすめか／選び方のポイント

おすすめユーザー像

• ボーカル／歌録音をメインに考えており、かつ「音が前に出る」「高域がきれいに抜ける」録音を求めるユーザー。特に男性ボーカルや力強い声質、またアコースティックギターなど弦の「きらっ」という音を積極的に捉えたい場面で特に適しています。
• 録音環境（自宅スタジオ・宅録）で、マイクに高級感・操作性・耐久性を求めつつ、コストを抑えたいユーザー。
• ギターアンプやドラムルームマイクなど、中～高音圧環境でも使用したいマルチな用途を想定するレコーディングユーザー。

選び方のポイント

• 録音対象とキャラクターの相性

  C214は高域が強めの特性なので、「ハイを強調したい」「音を前に出したい」用途ではマッチします。

• 録音環境や用途に応じた機能の確認

  大音量収録をする場合はPAD／高SPL対応が重要です。C214はその辺りを抑えていますが、マルチ指向性が欲しい場合は指向性切替可能な上位機種を検討するという手があります。

• 機材との相性

  コンデンサーマイクなので、しっかりとしたオーディオインターフェイスやファンタム電源、環境の防音・反響対策があることが前提です。録音環境が整っていない場合、折角のマイク性能を活かしきれない可能性があります。

• 付属品／運搬／収納の利便性

  ハードケース付きで運搬には安心ですが、自宅での設置・移動を頻繁にするなら「ケースが大きめ」「ポップガード別途必要」ということも念頭に入れておきましょう。

4. 注意点・運用上のヒント

• 近接効果とポップノイズに注意

  指向性がカーディオイドのため、マイクにかなり近づく歌録り・声録りでは低域のふくらみ（近接効果）やポップノイズが出やすくなります。ローカットスイッチ（160Hz）を活用したり、ポップガードを併用することをおすすめします。

• 録音環境の反響／ノイズ対策が重要

  高感度の大型ダイアフラムマイクのため、室内の反響音・外部ノイズがマイクに入りやすいです。特に宅録の場合は、吸音材やリフレクションフィルターを使用し、反響の少ない環境を整えましょう。

• 適切なゲイン設定とPAD活用

  大音量録音（アンプ／ドラムなど）ではPAD（-20 dB）を使用してクリッピングを防ぎましょう。また、マイクプリアンプのゲインを過剰に上げるとノイズが増えるため、必要十分なレベルを確保することが望ましいです。

• マイキング距離・角度の工夫

  このマイクは「音を前に出す」特性があるため、マイクからの距離を少し離して録ることで自然な響きを得やすいという声もあります。自分の声や楽器との距離・角度を微調整して最適ポジションを探しましょう。

• 定期的なケース保管・メンテナンス

  ハードケースが付属していますが、使用後は湿気・埃対策のためケースに戻す、またマイク本体を衝撃から守るなど、長期使用のためのケアを意識すると安心です。