宅録やDTM、スタジオレコーディング等、音楽制作の現場には欠かせないモニターヘッドホン。モニターヘッドホンは、高解像度、フラットな周波数特性、原音に忠実な音質が特徴。とはいえ、国内メーカーから海外メーカーまで、色々なモニターヘッドホンが発売され、どれも特徴があり、使う人によって好みが分かれるところです。初めてモニターヘッドホンを購入しようと考えている方には、違いが良く分からない方もいるはず。そんな方たちにも自身を持ってお勧めできる、サウンドハウス一押しのモニターヘッドホンにフォーカスしました。
プロ用マイクやヘッドホンの世界的ブランドAKGが手掛ける、開放型ヘッドホン「K712PRO」。ロングセラーの「K701」や「K702」に並び、AKG開放型ヘッドホンを代表するモデルの1つです。黒を基調にヘッドバンドやハウジング部に配色されたオレンジが目を惹くデザインは、音質はもちろん見た目でも人気があります。AKGの開放型ヘッドホンと言えば装着感の良さでも定評があり、イヤーパッドは耳を覆う大きな円形タイプを採用。イヤーパッドをよく見ると下方に厚みがあり、側頭部に沿うように装着できるデザインになっています。装着感にも拘りたい人におすすめです。音質面はAKGらしい高解像度な音質と情報量の多さ、繊細な中高域の再現性の高さが特徴的。原音に忠実かつ低域から高域までフラットな音質は、ストリングスの細かなニュアンスや、音の拡がり、臨場感も上手に表現してくれます。モニター用のほか、音の解像度、高音域の再現が良いことから、クラシックやジャズなどをじっくりと楽しみたい人に人気です。
DJヘッドホンで人気のAIAIAIが手掛けるスタジオモニターヘッドホンが、この「TMA-2 Studio Wireless+」です。有線接続はもちろん、ワイヤレス接続でのモニタリングができるのが特徴。一般的なワイヤレスヘッドホンはBluetooth規格のため、どうしても音声の遅延が発生するため音楽鑑賞用としての使用が主流だったのに対し、「TMA-2 Studio Wireless+」はAIAIAI独自のワイヤレス技術であるW+ Linkシステムを採用。音声の遅延がほぼなくワイヤレスでの快適なモニタリングを実現しています。ワイヤレスだと音の劣化を気にする方も多いかと思いますが、W+ Linkシステムは非圧縮で音声信号を伝送するため、ほぼ音の劣化がなく、原音そのままの音を出力することが可能。実際に聴いてみると、有線なのかワイヤレスなのかがわからないほど音の解像度が高く、AIAIAIらしい量感のある低音、自然でスッキリとした中高域を再生します。ボーカルも自然でクリアに聴き取ることができ、モニターヘッドホンらしいバランスのとれたサウンドです。イヤーパッドにはアルカンターラ素材を採用しており、しっとりとした質感と、耳にぴったりとフィットする心地よい装着感が特徴です。また、AIAIAI製品はヘッドバンドやスピーカーユニットなど、すべてのパーツが交換可能なため、消耗してもパーツを交換するだけで長く使用することが可能です。ケーブルのないモニタリング環境を試してみたいと思ったら、ぜひ一度試聴してみてください。
「Signature MASTER MkII」は、プロミュージシャンやオーディオファンからも人気を集めた「Signature MASTER」の後継モデル。デザインはもちろん、音質やフィット感などもマイナーチェンジされ、よりニュートラルで自然な定位感、高域から低域までバランスのとれたサウンドに仕上がっています。
装着感はやや強めの側圧ながらも、厚みのあるソフトな着け心地のシープスキン性イヤーパッドと改良されたヘッドクッションのおかげか、窮屈さも感じにくく、なかなか快適なフィット感です。
ULTRASONE特有の近すぎず遠すぎずの絶妙な音の定位感は、楽器のニュアンスやバランスをとても把握しやすいように感じられます。低域の量感もちょうどよく、高域も鮮明ながら自然で聴きやすい印象の音質。癖のないキャラクターのサウンドなので、楽曲のジャンルを問わず幅広く対応してくれそうです。すでに普段から使っているヘッドホンが決まっているミュージシャン、エンジニアの方も一度は試聴いただく価値のある密閉型モニターヘッドホンです。
プロエンジニアやミュージシャン、ヘッドホン好きのユーザーから支持されるULTRASONEのSignatureシリーズより、エントリーモデルとなる「Signature PURE」が登場。
上位機種「Signature DJ」のサウンドキャラクターに似た音作りになっており、解像度の高さとULTRASONEらしい厚みのある低音が特徴的です。解像度がとても優れており、低音の量感に負けることなくボーカルやギター、シンセサイザーもはっきりと聴き取ることができます。個人的には低域が強すぎるヘッドホンはあまり好みではないものの、「Signature PURE」の低音は量感があるものの上品で聴きやすく感じました。
そしてULTRASONEと言えば、他のヘッドホンには無い音場を再現する「S-Logic技術」。本機にも最先端技術「S-Logic 3テクノロジー」が採用され、立体的で遠すぎず近すぎない絶妙な定位感を実現しています。本機でも十分にその音場を体験することができるので、初めてULTRASONEヘッドホンを手に使用としている方にもおススメできるモニターヘッドホンです。
側圧は若干強めですが、イヤーパッドの厚みが3cm弱くらいあるので、そこまで窮屈にも感じられませんでした。遮音性を重視する方にもちょうど良いかもしれませんね。
第一印象のサウンドは低音から高音までの描写力が非常に良く感じられました。音の派手さはないものの、音の解像度がとても高く、情報量が多くいかにもハイエンドモデルらしいサウンド。ハイハットやストリングスの繊細なニュアンスも非常にリアルに再現してくれます。低音の残響感やエフェクトも生々しく、まさに目の前で演奏しているようにも感じられました。手に持った時の重量感は重めで、いかにも頑丈そうな印象と高級感があります。側圧はやや強めですが、イヤーパッドの厚みがあり、メッシュ状の構造になっているためか蒸れにくいのも特徴です。なかなか手の出る価格帯ではないですが、一度は聴いてみる価値ありの、モニター用ヘッドホンです。
ソニー初の背面開放型(オープンバック型)モニターヘッドホン、MDR-MV1。立体音響や360 Reality Audio などを制作するエンジニア、クリエイター向けの音響設計がなされていると言われているだけのことはあり、横方向だけでなく上下にも広がる音の立体感、空間表現力がすごい。ヘッドホンで音楽を聴いているというより、部屋の中心で前後左右にスピーカーを配置して聴いているような錯覚すら感じられます。
モニター用ではありますが、リスニング用途まで対応するサウンド設計。ぜひ良い音のヘッドホンが欲しい人には試してほしい1台です。
そして、装着感もとても良いです。ヘッドホンの重量も軽量、側圧もソフトな装着感。メガネのフレームも気にならず、蒸れるような感じもありませんでした。長時間着用してもかなり快適。装着感にこだわる人にもおすすめです。
プロ用マイク、モニターヘッドホンをラインナップするAustrian Audioのエントリーモデル、Hi-X15。元AKGのエンジニアチームにより設立されたということもあり、AKG好きの人もかなり興味のあるブランドのはず。
見た目のインパクトもなかなかですが、音作りはモニターヘッドホンらしい忠実なサウンドです。密閉型ではあるものの、音場は広がりがあり、楽器の位置やバランスを把握しやすく感じられます。SHURE「SRH840」、YAMAHA「HPH-MT8」と似た傾向のサウンドという感じで、長時間のモニターでも聴き疲れしにくそう。楽器練習のモニターとしても活躍してくれそうです。
一見、側圧の強そうな見た目ですが、きつく感じることなく、メガネのフレームに 干渉するようなこともありませんでした。装着感も重視したい人にはぜひ試してもらいたいヘッドホンです。
SHURE / SRH840は数回のマイナーチェンジを重ねながらも、ミュージシャンやオーディオファンから長年評価されているモニターヘッドホンのロングセラーモデル。長時間でも聴いていられる自然な定位感と優れた解像度、密閉型ながらも音の広がりが適度にあるため、モニター用としてはもちろん音楽鑑賞用にも適しています。また、低音の量感も程よく、各帯域の分解能も十分。エレキギターやシンセサイザーなど楽器演奏時のモニター用としてもおすすめです。
NAC Audio社のバイオセルロースを使用したダイアフラム搭載のTMA-2 Studioは、AIAIAIらしい良質な低音はそのままに、より音の解像度が高く、鮮明な中高域が特徴的なサウンド。音の定位感がはっきりとしており、遠くで鳴っている音、近くで鳴っている音の認識が非常にしやすく感じられました。アルカンターラ素材の大型イヤーパッドは装着感がとても良く、耳に隙間なくフィット。メガネをしていても邪魔になりません。AIAIAIのヘッドホンはイヤーパッドを変えるだけで音質がガラッと変化するため、好みの音質や装着感でカスタマイズできるのもうれしいポイントです。定番ヘッドホンとは一味違うモジュラーヘッドホンの魅力を体験できる、誰にでもお勧めしやすいヘッドホンです。
オーディオテクニカのモニターヘッドホンでは唯一の開放型であるATH-R70x。無駄な装飾のないシンプルなデザインながらも、手に持つとわかる上品な質感はさすがリファレンスモデル。装着感の良さが秀逸のウィングサポートも搭載し、重さを感じない快適なフィット感を得ることができます。初めて試聴したときは、その洗練されたサウンドに驚きました。それ相応の価格ではあるものの、思わず「ほしい」と思った数少ないヘッドホンの1つ。済んだ音色は細かな音までしっかりと聴き取ることができ、楽曲を俯瞰して見れるというか、客観的なモニターができるヘッドホンに感じられました。インピーダンスが470Ωと高いため、アンプなどを用意した方がヘッドホンの性能を生かせますね。
全世界累計販売数100万台を突破したモニターヘッドホンのベストセラーaudio technica / ATH-M50X。Amazon USAレビュー件数も10,000件を超え、その人気の高さがうかがえます。装着した時の印象は、MDR-7506に比べてやや強めの側圧。個人差・好みはありますが、しっかりとしたフィット感はむしろ好印象。頭からずれにくく、遮音性がしっかりとしています。イヤーパッドは耳をギリギリ覆うくらいのサイズ。耳に当たる部分が少ないので、耳が痛くなりにくいのもポイント。ギターやピアノなど楽器のニュアンスや、ボーカルの表情を鮮明に聴き取ることができ、楽曲の個性を損なうことなく正確に再生します。さらに、打ちこみ系やソフトウェア音源などデジタルな音源とも相性良く、ベースやバスドラムの低域はしっかりと厚みがありつつ、中高域はクリアで艶っぽい音質が印象的です。繊細な音もしっかりと聴き取ることができるので、解像度の高さも注目してほしいポイント。モニターヘッドホン選びに悩んだら、まず試してもらいたいヘッドホンの1つです。
モニターヘッドホンの超定番 CLASSIC PRO / CPH7000 に、ワイヤレスモデルCPH7000BTがついに登場しました。CPH7000で高く評価されている正確な原音再生力と、低域から高域までバランス良く解像度の高いサウンドはそのままに、Bluetooth接続によるワイヤレスでのリスニングが可能なCPH7000BT。有線接続用のケーブルも付属し、レコーディングやミックスなどの作業は有線で、完成した音源のチェックや普段使い時にはワイヤレスなど、様々な用途で使用できる優れものです。ヘッドバンドの形状もしっかりと計算され、頭のかたちに沿うようにピッタリとフィット。イヤーパッドも適度な厚みと大きめの作りになっているので、長時間の着用でも快適な装着感をキープします。左側のハウジングに配置された操作ボタンは、ちょうどハウジングを抑えたときに親指が当たるところにボタンが配置されているため、操作性も優れています。ミュージシャンやエンジニアの方にはもちろん、通勤通学など普段使い用のワイヤレスヘッドホンをお探しの方にも自信を持っておススメできるヘッドホンです。
1980年代に発売したbeyerdynamicのロングセラー・ヘッドホン「DT990 PRO」。様々な種類のヘッドホンをリリースしているブランドですが、beyerdynamicらしさがいちばん感じられるヘッドホンがこの「DT990 PRO」。全体的にモニター・ヘッドホンらしいフラットな特性の音質ですが、他のメーカーには無いbeyerdynamic特有の硬さがある高音と、開放型とは思えない量感のしっかり低音は、バイオリンやピアノなど生楽器との相性が非常に良く感じます。ピアノの高音域は耳に刺さるくらいスリリングに、ウッドベースの胴鳴りや音の余韻をとても生々しく再生してくれます。高音の「きつさ」は好みが分かれるところですが、ハマれば癖になる音質です。見た目については、業務用らしくいかにも頑丈そうで無骨なデザイン。しかもヘッドバンドのパッド部分は取り外しができるので、消耗してきたらイヤーパッドと同じく交換することができます。この点も長く使用できるうれしいポイントですよね。他社のヘッドホンではあまり聞いた事がないです。ベロア生地の円形イヤーパッドは、耳をすっぽり覆ってくれるアラウンドイヤータイプ。耳への負担が少なく、レコーディングなどで長時間使用する人には丁度いいです。ちなみに、「DT990 PRO」の生産国は「Made in German」。中国などアジア周辺で製造されるメーカーが多いですが、未だに「ドイツ生産」しているところもヘッドホン好きにはグッとくるポイントです。国内メーカーやAKG、SENNHEISERなどとは違う一癖も二癖もあるヘッドホンですが、聴けば聴くほど味わいがでてくる数少ないヘッドホンではないでしょうか。
SENNEHISERモニターヘッドホンHD280PROのデザインをマイナーチェンジしたHD280PRO MKII。
イヤーパッドのサイズ、音の定位感や低域~高域のバランス、しっかりとした装着感など、モニター用に特化したヘッドホンと言えるのではないでしょうか。SENNHEISERの定番モニターヘッドホン「HD25」は、厚みのあるタイトな低域が印象的ですが、HD280PRO MKIIはモニターヘッドホンらしい、色付けの無い原音に忠実でフラットな鳴り方が特徴的な音質です。音の解像度はとても高く、バスドラムやベースの音も一緒くたにならず、気持ちの良いくらい分離して聴き取ることができます。ストリングスやボーカルの繊細なニュアンスもしっかりと再生してくれるため、細かな音やバランスをチェックする際にも十分に活躍してくれそうです。装着面ですが、側圧がやや強めなため、遮音性能が非常に優れています。コンサート会場やクラブなど大音量の中でも、周りの音に影響されずに安定したモニタリングが行えそうですね。
武骨なデザインはいかにもモニターヘッドホンという印象ですが、そこはSENNHEISER。洗練されたイメージも兼ね備え、スタイリッシュさもHD280PRO MKIIならではのポイントです。
beyerdynamicらしさを最も感じることのできるモニターヘッドホンが、このDT1770PROではないでしょうか。
低音から高音までのバランスの良さは言うまでもなく、従来のモニターヘッドホンでは感じられなかったサブベースまでしっかりと捉えてくれます。無理に低音を強調していることはなく、音全体の密度が濃く、各パートや楽器の存在感がはっきりと感じられるサウンド。音源の空気感や楽器やボーカルのニュアンスもとても生々しく、ギターやバイオリンなど弦楽器の細かなタッチも丁寧に再現し、鮮明に聞き取ることができます。カラーリングは、モニターヘッドホンらしい黒一色のシンプルなデザインながら、ハウジング、ヘッドバンド、スライダー部など、すべての部分に高級感が漂い、最上位機種にふさわしい作りとなっています。
ATH-M60xは、audio technicaの定番モニターヘッドホンATH-M50xと同じ45mm径ドライバーを採用。高域の再現性が高く、弦楽器の指が擦れるときの繊細なスライド音や、ボーカルの息遣い、ニュアンスまでをとても上手に再現します。低域は量感がしっかりとありながらも、締りが良く他の帯域を邪魔しません。従来のMシリーズよりもイヤーパッドが厚く、やや音場が広く感じます。オンイヤータイプなので装着感が気になるところですが、イヤーパッドの厚みは2.0cm近くあり、心地良い装着感が印象的です。耳にピタッとフィットするタイプのため、遮音性の高さも魅力。一見、折り畳みできそうですが、ヘッドバンドは折り畳みできません。スタジオやデスクトップ、作業場の据え置きヘッドホンとして使用するのに適していますね。
AKGといえば、開放型ヘッドホンのイメージが強い印象がありますが、K371-BTを聴いて印象がガラッと変わりました。AKGは密閉型もすごいですね。しっかりした音の厚みがありながらも、音の圧迫感がなく、とてもレンジの広い聴きやすい音質に感じました。ベースやバスドラムの音圧はとても心地よく、シンセサイザーやスネアの音は、抜けが良くソリッドな印象です。音の解像度も高く、ギターやボーカル、各パートの音を一つひとつ聴き分けることができます。
しかも、K371-BTはBluetoothに対応しているため、ワイヤレスヘッドホンとしても使用できるのが一番のポイント。Bluetoothで聴いてみると、有線と比べても遜色なく、動画を見てもレイテンシーはほとんど感じません。やや有線のほうが音圧があるようにも感じますが、ワイヤレスでこのレベルの音質を出せるのであれば許容範囲内です。レコーディング、ミックスなど本気の作業は有線で、プライベートや普段使いの時はワイヤレスとして利用するなど、状況に合わせて使い分けることができるオールマイティなヘッドホンではないでしょうか。
ベストセラーの開放型ヘッドホンbeyerdynamic DT990PROの上位モデルとして登場したモニターヘッドホン。
モニターらしいブラック基調のシンプルな外装ながら、作りがとてもしっかりとして高級感あるデザイン。評価の高いbeyerdynamicのヘッドホンの中でも、さらに上をいく解像度を誇ります。シンバルや金管楽器は、生々しい金属的な鳴り方をしつつも、高音が刺さることなく、とても鮮明に浮かび上がっています。低音域は、開放型とは思えない量感と表情のある音質。バスドラムやウッドベースは迫力があり、空気の振動するドンッという余韻までしっかりと響きます。開放型らしい適度な音の拡がりはありつつも、楽器のバランスや音像をしっかりと把握することができるのは、さすが最上位モデル。リアルなサウンドをとことん追求したモニターヘッドホンの名機といえるでしょう。
音楽に関わっている人なら誰もが知っているSONY MDR-CD900ST。そのMDR-CD900STを手掛けるソニーとソニー・ミュージックスタジオが共同開発したプロフェッショナル・モニターヘッドホンが、このMDR-M1ST。
本機を初めて試聴したとき、後継機というよりも、MDR-CD900STとは違うキャラクターの音質に仕上がった、次世代のモニターヘッドホンという印象を受けました。ハイレゾ対応を謳っているだけあって、5~80,000Hzとかなり広い再生周波数帯をカバー。低域と高域が非常に良く出ていて、芯の通ったベースライン、バスドラムの空気が振動する余韻まで、事細かに音のすべてを再現します。さらに、MDR-CD900STにはなかった、音の距離感や方向をしっかりと聴き取ることができ、楽器の位置が手に取るように把握できます。まるで目の前で演奏しているような立体感のあるサウンド。これだけ音の情報量が多いにもかかわらず、一つひとつが鮮明。解像度の高さも秀逸です。大音量にしても音に余裕があり、音は歪むことなく、クリアで輪郭のある高域、厚みのある表情豊かな低域を出力。ぜひ、MDR-CD900STと比較して、音の違いを体感してみていただきたいヘッドホンです。
AKGから登場した最新のモニターヘッドホンK371。AKG初となる楕円形タイプのハウジングとイヤーパッドを採用。着用した時に感じたのは、ヘッドバンドが頭に沿うようにフィットするため、とても安定感があります。少し頭を揺すったくらいでは全然ヘッドホンがずれません。さらに低反発素材のイヤーパッドは、肌触りが良く、メガネを掛けている私でもフレームも気にならず快適に装着し続けることができます。
気になる音質面では、5Hz~40,000Hzという広い再生周波数帯を誇るだけあって、音のレンジが広く、大音量にしても音に窮屈な印象がありません。歪みのない鮮明な音質でモニタリングすることができます。従来のAKGモニターヘッドホンより低域の質感にやや厚みがあり、ウッドベースやバスドラムの残響を生々しく再現。もちろんボーカルやギターの繊細なニュアンスをしっかりと再現する原音再生力も感じることができました。折り畳み式で持ち運びも便利なため、自宅やスタジオなど様々な場所でモニタリングを必要とする方におすすめです。個人的にはオールブラックかつマットな質感もおすすめポイント。
STUDIO PLUSのポイントは、なんといっても遮音性能の高さ。装着すると、話し声や周りの音がしっかりと遮音され、ほぼ聞こえないくらいの状態になります。イヤーパッドには厚みがあり、わりと強めの側圧ながら、ピッタリとフィットする装着感の良さもポイントです。音は、モニターヘッドホンらしいフラット寄りの音質。高域はキンキンした感じはなく、大音量でも疲れない聴きやすい音質です。中低域の張り出しはしっかりしていて、バスドラムやベースラインをはっきりモニターできます。カラーバリエーションは、ブラックとホワイトの2色。スタジオやライブで長時間ヘッドホンを使用してモニターするドラマーをはじめ、すべてのミュージシャンにおすすめしたいヘッドホンです。
スタジオモニターヘッドホンDT770PRO は、Beyerdynamicの中でも1・2を競うロングセラーのヘッドホン。ドイツ発のブランドでもあり、特にヨーロッパにおいて定番モニターヘッドホンとして人気です。頑丈そうな無骨な作りと、黒基調のカラーリング、余計な装飾のないデザインは、いかにも業務用ヘッドホンといった印象です。密閉型タイプのDT770シリーズの特徴は、低音から高音まで歪みがなく、とてもクリアなサウンド。音のレンジも広く、低音から高音までバランス良く出力します。頭の周りで聴こえる適度な音の定位は、各楽器のバランスやニュアンスをしっかりと捉えることができ、スタジオエンジニアやミュージシャン、宅録にもおすすめです。
発売から25年以上経った今でも売れ続けているSENNHEISER「HD25-1II」。その「HD25-1II」が新パッケージとなってリリースされたのが、この「HD25」です。スペックやデザインは特に変更点は無く、付属品が変換アダプターのみになったことで、少しお手頃価格になっています。「HD25」は、放送業界やレコーディング・スタジオ等、プロのモニタリング用としてリリースされたヘッドホン。低音の質が非常に良く、定番DJヘッドホンとしても有名。エンジニアやプロミュージシャン、アマチュアまで幅広いユーザーが愛用しています。大音量の環境下でも正確なモニタリングができる高い遮音性能と、メリハリの効いたスピード感のある音が特徴。特に、低音は非常にタイトで厚みがあり存在感が抜群です。拡がりのある音場というよりも、定位や近めで、4つ打ちのビートは胸に響くように心地良く聴こえます。これだけ低音がしっかりしていても、ボーカルや楽器は埋もれることなく、細かいニュアンスを再現してくれるので、解像度の高さも抜群に良いです。
見た目は、オシャレというよりも業務用らしい無骨なデザイン。2つにセパレートできるヘッドバンドは「HD25」ならでは。他のヘッドホンではあまり見かけません。そして、「HD25」はすべてのパーツが消耗パーツとして供給されています。ヘッドバンドからケーブル、ハウジングからイヤーパッドまで、あらゆるパーツを交換できるので、万が一の破損や故障にも対応します。最近では、「YAXI」から発売されている「HD25」用イヤーパッドに変更することで、カラフルなイヤーパッドやレザー製イヤーパッドに交換したりと、ファッションアイテムとしても人気が出ています。業務用の枠を超えた普段使いのヘッドホンとしても魅力的です。
セミオープン型のモニター用ヘッドホンAKG K240 Studio。欧米のスタンダードと称される超定番ヘッドホンです。K240 StudioのAKGらしい音の広がり方は、音の位置やバランスが把握しやすく、空間表現に優れています。特に空間系エフェクトの効き具合をとても巧く再現し、音楽制作ではミックス時の使用に最適です。艶やかでスッと伸びる自然な高音は、ボーカル、バイオリンなど弦楽器の細かな鳴りやタイトな音質が特徴。中低音は自然で豊かな膨らみがあり、バスドラムやウッドベースなど低音楽器が放つ空気の振動もリアルに再現します。耳に馴染みやすい聴きやすい音質なので、モニター用としてはもちろんですが、リスニング用としても十分に対応するのも納得。
イヤーパッドは、ぎりぎり耳を覆ってくれるアラウンドイヤータイプ。上位機種のK701やK712PROに比べれば少し小ぶりですが、イヤーパッドは厚みも適度にあり装着感も良い印象です。側圧が弱めなので、長時間使用すると耳が痛くなりやすい人にもぴったりかもしれません。
ケーブルが着脱式なのもうれしいところ。ヘッドホン側の接続部は3pin ミニXLR端子なので、純正ケーブルへの交換はもちろん、他社製の高級ケーブルへの交換もできます。K240 Studioでさらなる音質向上を考えるなら、良いケーブルに変えるのもいいかもしれません。
サウンドハウスのオリジナルブランドCLASSIC PROがリリースした初のモニターヘッドホンCPH7000。発売から8年余りが経過し、レビュー数はなんと170件超え。その内容を見ても分かる通り、高い評価を獲得するCPH7000は、驚異的なコストパフォーマンスと音質で、確かな実績を作り上げたプロフェッショナル・ヘッドホン。実は一時終息に向かう予定もあったものの、お客様からの惜しむ声、要望にお応えし、再リリースが決定されました。CPH7000は、サウンドハウスとお客様が作り上げたヘッドホンといっても過言ではないのです。
実は、この再リリース時にCPH7000の音質、装着性が改善されています。
音質は、低音から高音までフラットに鳴らすモニターヘッドホンらしい音。解像度も高く、見通しの良い音にも定評があります。メリハリの効いた音ではないものの、音の立ち上がりも良く、楽器のニュアンスを忠実に再生するので、楽器練習にも丁度良い音質です。さらに、エージングをすることで音が馴染み、よりバランスの良い音へと変わってきます。こういった使い込むことで変化が生まれるところもCPH7000が支持されるポイント。
装着感については、ヘッドバンドの形状を微妙に調整することでより頭部にフィットし、きつ過ぎず緩過ぎない絶妙な装着感。長時間の使用でも疲れにくい、快適な装着感もお勧めしたいポイントです。
日本の定番SONY MDR-CD900STの兄弟機として肩を並べる、人気のヘッドホンMDR-7506。日本のみならず、海外でも高い人気を博しており、よくアーティストのPVで見かけます。音作りはMDR-CD900STと近いフラットな音質ですが、MDR-7506はやや角の取れた丸い音質が特徴。高音、低音がはっきりとしていて、MDR-CD900STよりも音楽的なサウンドです。低音の量感も程良く、高音もすっきりとクリアに聴こえます。音の定位は近すぎず遠すぎず、MDR-CD900STよりもリスニング用として聴きやすいと言われています。MDR-CD900ST特有の近い定位と無機質な音質がどうも苦手だという方は、一度MDR-7506をトライしてみる価値は十分にあるのではないでしょうか。MDR-7506は、打ちこみ、DTM系はもちろん、楽器の細かいニュアンスや癖を上手に再現してくれるので、楽器演奏や練習用のモニター用としてもぴったりのサウンドです。ちなみに、数年前はドライバーユニットが「ネオジウム」と「サマリウム」の2種類存在しましたが、現行モデルは「ネオジウム・マグネット」のドライバーユニットが採用されています。
構造面においては、MDR-7506は折り畳み式ヘッドバンドを採用し、持ち運びや保管に便利な仕様。自宅とスタジオを行き来したり、色々な場所でヘッドホンを使う方にはうれしいポイントですよね。ケーブルはカールコードなので好みが分かれるところですが、宅録や狭いレコーディングブースで使用する方は、カールコードの方がケーブルが邪魔にならず扱いやすいです。イヤーパッドもMDR-CD900STと同サイズなので、YAXIのイヤーパッドとも互換性があります。
発売から30年近く経った今でも、多くのレコーディングスタジオに置かれ、プロ、アマ問わず多くのエンジニアやアーティストはこのヘッドホンの音で音楽を作り上げていると言っても過言ではないくらい超定番のヘッドホンMDR-CD900ST。ソニーとソニー・ミュージックスタジオのエンジニアが共同開発したモニターヘッドホンというだけあり、原音を正確に聴くためのみに注力された、高域から低域まで正確無比な鳴り方。余計な音の色づけや強弱を排除した900STの音は、音のバランスや定位を正確に描き、原音の表情をあるがままに再生します。
音質もそうであるように、装着感も現場で使用するプロ達を考慮した作りです。側圧は弱めで、長時間作業をしても耳に負担がかからないようになっています。ヘッドバンドは柔軟で、頭の大きい人でもフィットします。そして、充実したパーツ供給もポイント。MDR-CD900STを構成するパーツは、すべて販売され、購入が可能です。MDR-CD900STを良い音で聴くためには、ウレタンリングやイヤーパッド等、交換できる消耗パーツを定期的に交換することが重要。愛用のMDR-CD900STがへたっていたら、是非パーツを交換してみてください。音の変わり様に驚愕してしまうはずです。