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Cakewalk 「SONAR VS-10」レコーディングに携わるミュージシャンやエンジニアなら誰でも、最高の機材を使って仕事をしたいと思うものです。スタジオ用として最高のデジタルコンバーター、プリアンプ、エフェクターはもちろん、野外レコーディングをしようと思えば、また別のハイクオリティな機材が欲しいと思うでしょう。しかし実際には、予算を気にせずに欲しい機材を何でも揃えられるような人はほとんどいません。様々な用途に使えるハイクオリティでリーズナブルな製品を選ぶ人の方が多いでしょう。そんな大勢の望みを叶えてくれる製品SONAR VS-100が、Cakewalkから発売されました。2週間ほど使用してみたので、その感想を書こうと思います。まずVS-100 とはどんな機材なのか見てみましょう。
USB2.0対応オーディオ・インターフェースとして利用できます。PCにUEB端子経由でアナログのオーディオ信号をデジタルに変換して送ることができます。続いてマイクプリアンプを2基搭載した8イン-6アウトのミキサーとして、コンプレッサー、イコライザー、リバーブといった3つの主要なエフェクターを内蔵しています。さらにレコーディング・ソフトウェアに対応したフィジカルコントローラーとして使うこともできます。モニタ画面上のフェーダーをマウスで操作するのではなく、本物のフェーダーを直接操作できるのです。またSDカードを使ったスタンドアローン・レコーダーとしても活躍します。コンピューターを起動することなく、VS-100単独でレコーディングが行えるのです。Cakewalkは代表的なレコーディングソフトウェアのブランドです。当然、ソフトシンセやレコーディングソフトなど、強力なソフトウェアが付属しています。
私が試した範囲では、VS-100のマルチな機能はどれも十分に使えるものでした。実際、これほど様々な用途に使える製品は滅多にありません。この価格も考えれば、肩を並べるような製品は無いといっても過言ではありません。
機能が豊富なので、操作方法を理解するのには若干の時間が要りますが、マニュアルはとてもわかりやすいので心配はいりません。私は1時間ほどで大体の操作方法を理解することができました。
ソフトウェアメーカーがハードウェアの製作に手を出すとトラブルがつき物ですが、Cakewalkに限って言えば、なんといっても音楽機材の老舗Rolandが母体なので、その心配はありません。
色々テストしてみましたが、VS-100は素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。レコーディングサウンドはクリアで操作は簡単です。プリアンプはかなりゲインを上げても歪みません。個人的には、一度取り込んでからプラグインなどで編集することを考えてあまり積極的には使用していませんが、エフェクトのかかり具合も素晴らしいです。たとえば、ライブで使用する場合など、このエフェクトはかなり役に立ちます。
この機材の実力を確かめるために、アコースティックのソロライブに使ってみることにしました。最初は何曲かをレコーディングするだけのつもりでしたが、機能を探っていくうちにミキサーとして使用してみることにしました。ボーカルマイクを片方のプリアンプに通して、もう片方にはギターを繋ぎ、メインアウトからパワードスピーカーに接続、ミキサーとして使うのと同時に、SDカードへの録音も行いました。
ギターとボーカルをきっちり分けて録音できるように意識したので、コンピューターでSonar 8 Producer Editionを立ち上げて取り込み、二つのモノトラックとして独立して編集することができました。
VS-100のおかげでソロライブは成功に終わりました。ギターとボーカルのバランスを整えて、内蔵のエフェクトでライブスペースに合ったサウンドを作ることができました。
ただし今回のレコーディングでは(自分の責任なのですが)一つだけトラブルがありました。レコーディングを始める前に録音レベルの確認をしなかった為、音量が小さくなりすぎてしまったのです。それでもVS-100のサウンドはとてもクリーンなので、コンピューター上でトラックの音量を大きくした後でも十分なクオリティを保つことができました。
VS-100は、その機能面において新たなスタンダードを築いたといえるでしょう。ミュージシャンに必須の多くの機能を併せ持ち、どれもとてもすばらしい出来栄えです。ストリートでもデスクトップで使えるインターフェイスを探していて、さらにデジタルミキサーとフィジカルコントローラー、SDレコーダーを必要としているようでしたら、VS-100を第一の候補にあげてもまず間違いはありません。
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