1928年にベルリンで創立されて以来、Neumannのマイクロホンは多くの著名人の声や楽曲作品の集音をして歴史に残してきました。この度、Neumannマイクロホンの現行製品25種類の一斉収録を株式会社音響ハウス様にて行い、比較試聴音源を作成いたしました。
4名のプロフェッショナルエンジニア様からの機種ごとのコメントとテクニカルデータと共に是非とも比較試聴をお楽しみください。
音源の種類/収録方法
- 音源
- ピアノオンオフ、男性朗読2種類、女性朗読2種類の全種類で録音。いずれも音響ハウス様 第1スタジオにて収録いただきました。
- 機材リスト
- SSL コンソール(SL-9064J-64VU) HAを経由し、Avid HD I/OからProTools HDにて収録。
- 収録方法
- EQ無し、HA Gain設定・音源とマイクの距離に至るまですべて同コンディションによりマイクロフォンの特性差を純粋に比較出来ます。
参加エンジニアプロフィール (音響ハウス様)

基本はスタジオレコーディングを主としていますが、今はフィールドやホールなど多岐にわたり活動しています。あらゆる録音に日々挑戦しています。
[ REC / MIX / LIVE REC / FIELD ]

長嶋茂雄さんの「茂」と王貞治さんの「治」の字を頂きましたが、学生時代はずっとソフトテニスをやってました。ジャンルを問わず幅広く手がけてますので一度お試し頂ければこれ幸いです。
[ REC / MIX ]

ラジオCM, ゲームダイアログ、イベントなどのナレーション収録からパチンコの音声収録はお任せください。
[ NA REC / MIX ]

CMの同録から、番組・企業VPのMA、さらにはラジオCMまで、あらゆる作品の音処理を手がけています。番組に関しては、ドキュメンタリー作品が多いです。
[ MA / 同録 ]
TLM 49(TLM 49 SET)

製品ページ
-
TLM 49 SET (TLM 49)
※マイクスタンドは付属しません
- 伝説の U 47 および M 49 と同じカプセル設計
- クラシックでシルキーなボーカルサウンドに最適
- 信頼の FET 回路によるチューブサウンド特性
- 大型 M 49 ヘッドグリル付きのクラシックなデザイン
ピアノ
櫻井 氏(以下略:櫻)これは高域が綺麗ですね。見てくれとちょっと印象が違いますけど。中域とかどう感じました?
中内 氏(以下略:中)オンマイクの弱いところは好きでしたね、ふくよかな感じで。強くなると高域の入り方が強いのでキンキンするかなっていうのがありましたけど。
櫻:正直なかなか難しい感じのマイクでしたね。トランスレスなので。
Sennheiser(以下略:S)ピアノとの相性がなかなか難しいのかもしれませんね。ボーカルだったりMA系で使おうっていうマイクだったりするんですよ。
櫻:アコギのストロークとかすごい良さそうですね。
中:下がもうちょいあるといいなと。
櫻:形からするとM49のイメージなんだけど、全然違うのでその薦め方ではない方がいいですね。
中:チューブ系のHAとかとよく合うかもしれないですね。それが嫌いだっていうエンジニアがいるのも事実ですが。
TLM 67

製品ページ
- 伝説の U 67マイクロフォンと同じカプセル
- 3つの極性パターン
- 信頼の FET 回路によるチューブサウンド特性
- 個性的な 2 色のレトロな外観
ピアノ
櫻:型番からしてU67に似せている方向に持って行ってるんですかね?
S:そうですね、本社の広告では『like a tube sound』という言い方をしていて。
櫻:正直ちょっとチューブっぽさもある気がします。
中:U67っぽさもあるし、トランスレスの素直さもあるし、扱いやすそうでいて値段も22万とかですしね。
S:見た目がU87で創設者のノイマン氏が刻パッチされていたりして高そうに見えるんですけど、使うならどこに当てたいと思いますか?
櫻:結構ふくよかだからボーカルでもいいですし、弦とかも意外と良さそうですね。
中:僕も弦のオンマイクを試してみたいですね。
櫻:今のピアノの音も良かったですし、他のマイクより音像が大きかったイメージがあるのでやはり歌とかがいいのかなって思います。
中:U67でいいなって思うところにはやっぱり合うのではないかなって思います。
櫻:チューブっぽさもありますからU67の代わりですというわけではないですが、U67っぽい使い方は出来ますよって感じですよね。
中:ブラスとかも良さそうですよね、全楽器にいけるのではないでしょうか。値段高いですけどU87 Aiよりも良い部分はあるのかなって思います。
櫻:意外とコンガとかも合うと思うんですよね。
中:普通に指向性も変えられるし、これは試してみたいですね。
櫻:上の嫌なところが出てこないからいい気がしますね。
S:U87 Aiとちょっと相反するところがあるんですかね?
中:相反する訳ではないけど、狙いどころがはっきり分かれる感じがします。全く道が違う訳ではなくて。
TLM 102
- 非常に手頃な価格で Neumann 品質
- 非常に低いセルフノイズ
- 極めて高いSPL でも歪みを生じない
- ポップシールド内蔵
- カラーバリエーション、セット製品あり(写真はTLM 102 BK Studio Set)
ナレーション
後藤 氏(以下略:後)男性のノーマルはバランスがすごく良くていいですね。声の低いところも出ているし、上の方もちゃんと伸びている。ただ中高域が強いのか女性はちょっと向いてない気がしました。ただコンシューマー用で7、8万ということであれば、このクオリティーはコスパはすごくいいですね。レンジも極端に狭くないし。
太田 氏(以下略:太)特にこれといって可もなく不可もなくという感じですが、一番嬉しいのは余り大きくないので小さいテーブルにも4本とか並べられるところですかね。あとあまり声を張らせるとちょっともったいないような印象というか、朗読劇とかでしっかり拾うような使い方がいいかなと思いました。
後:音量もあるかもしれませんが、ちょっとピークが潰れている感じがしました。とはいえこの値段でここまでクオリティーが出ているのはいいですね。
ピアノ
S:TLM102はエントリーモデルという位置付けです。
櫻:サイズの割にしっかりしてますね、オンマイクだとすごく拾えているイメージです。
中:コンシューマー向けの役割に特化しているというか必要なものが押さえられていて扱いやすそうですね。低域もボワっとしていないし変なところが伸びたりしてなくて。
櫻:アマチュアの方でも処理がしやすいと思います。エントリーモデルに良いのではないでしょうか。
中:サイズも小さくていろんなところに入りやすいので、ドラムのタムとかにも良さそうですね。
櫻:パッドがないからタムの衝撃に耐えられるかというのはありますが。
S:一応144dBまではいけるのでギターアンプの前やドラムもいけます。
中:歌とかアコギといった宅録的なもので考えると十分ではないですかね。
櫻:ジャズとかでブラシを使うとかタムにもコンデンサーマイクを立てたい時とかに使うと面白いですね。
TLM 103

- 伝説の U 87 A を踏襲したカプセルデザイン
- 一貫したカーディオイド パターン
- 幅広いプレゼンスブーストによる高い音の精細度
- 極めて低いセルフノイズ
- カラーバリエーション、セット製品あり(写真はTLM 103 Studio Set)
ナレーション
Sennheiser S:先ほどのTLM102よりひと回りサイズが大きくなって値段も少し上がって、兄弟のような位置付けですね。
後:TLM102の兄貴分かもしれないですけどレンジはこっちの方が狭いですね。声にはすごく向いている、ものすごく低音の出る男性ナレーターだとTLM102は出すぎるけど、これはそういう方に向いている気がします。高域もイヤミなく出ているし女性もいける気がしますね。
太:TLM102に比べるとマイクのボディーが大きくなったような聞こえ方がします。男女で比べるとどちらでもフラットいうか声を張っても張らなくてもさほど変化なく録れそうで、ラジオドラマで使うと楽になりそうなイメージがあります。
後:割と汎用性が高いというか、広く色んなものに使えるイメージですかね。
中:ピアノだとレンジ的なところでTLM103の方がよく拾っているなという印象でそういう意味で兄貴分的な役割を果たしているなという気がします。欲しいところだけ拾っているのでバランスがいいんですよね。
太:案外声の必要な部分はすっきり拾っているんだけど、声以外の部分が結構拾えているのかも。TLM102よりバランスがいい気がします。
S:ちなみに普段使われる汎用性の高いマイクっていうとどんなものですか?
中:僕はほとんどU87 Aiですね。
太:僕はMKH 416しか使わないです。ラジオなどでいっぺんに人が入るような収録が多いので。指向性が狭くてでかくない方がいいです。一人だとBlueとか、原稿によってマイクを変えているので。二人以上入るときはMKH 416ですね、汎用性が広い反面いろんな音を拾ってくれるので。
ピアノ
櫻:オンもオフも悪くないですね。TLM102よりもちょっとずつグレードアップしたかなって印象です、TLM102が中三ならTLM103が高校三くらいで(笑)。リッチになったかなって思います。
中:TLM102よりも幅広く拾っているかなっていう感じで処理がしやすそうかなって思います。
S:この機種くらいから都内のMAスタジオさんで使って頂いてるところがあったりします。ボーカルでも使えそうですか?
櫻:特性もフラットだしボーカルもいけると思いますし、いろんなところで使えそうです。
S:サイズ的にはTLM102よりもひと回り大きいですが、コンパクトな方ではあるのかなと。立ち位置的にアマチュア向けかプロユースか難しいところですけど。
中:一番の売りは扱いやすさという点ですね。絶対変な音にはならないというかプロの現場でもサブマイク的というか裏方的なポジションですね。
S:お値段も導入しやすいところなのでスタジオのリストにも載っていたりしていて、今はリハーサルスタジオさんにも導入してもらったりすることが多いです。
櫻:大きくないから色々と立てやすそうだし、割とトップのシンバルとかにいいかもです。
中:ミュージシャンとかが自分で持つにも適してそうですね。特別高いものを求めている訳ではないけどクオリティーが欲しいという場合にすごくいい位置付けです。
TLM 107
- 5 つの指向性パターンを持つ、非常に存在感のあるサウンド
- 可変のパッドとローカット設定
- カプセル設計を完全に一新
- 極めて優れた過渡応答
- カラーバリエーション、セット製品あり(写真はTLM 107 BK Studio Set)
ピアノ
櫻:TLM107は一応コンシューマー向けなんですか?
S:これはTLM103と感覚的には近いと思います。
櫻:似たようなところで難しいですけど、圧倒的に僕はこっちの方がいいですね。
中:音像も大きくて粒立ちがいいんですよね。声でもバランス良く聞こえてましたけど、ピアノで聞いてもオフもバランスが良かったですね。
櫻:TLM103とTLM107の値段差が5万円なら頑張ってこっちにしませんかって薦めたくなりますね。コンシューマーレベルだと上位だけど、プロの世界に足を踏み入れるとTLM107なら戦えるかなと思います。
中:オフの感じがU89みたいだなと思ったんですけど、むしろU89よりこっちの方がいいなと思いましたね。
櫻:クセのなさというか、いろんなが楽器に試したくなりそうですね。
S:今のNeumannの流れなんですよね。トランスレスマイクがラインナップの中で圧倒的に多くて、U87とかU89とかトランスが入っていてM149には真空管が入っていて、それらはエンジニアさんの人気というところで残っているラインナップなんです。TLMシリーズは今生産しているものでは新しいラインナップとして出ていて、これはクセのない原音に対して忠実というのを目指しています。その流れでデジタルマイクというのも出ています。
中:確かに良く言えばクセがなく扱いやすくて、でも103とかで感じた飛び抜けた個性っていうのがないのがトランスレスマイクの特徴ですかね。
櫻:お値段以上ですね。
TLM 193

製品ページ
- 簡単な「プラグアンドプレイ」
- 軸外の脚色を行わないカーディオイドパターン
- 非常に低いセルフノイズと歪み
- 均等な周波数特性と非常に優れた過渡応答性
ピアノ
櫻:なんか下がすごく存在感ありますね。指向性とか周波数的には他のマイクとそんな変わらないはずなのに。バランスはもちろん良いですし。U89と同じカプセルなんでしたっけ?
S:そうですね。
櫻:それでトランスレスな違いが出ているんですかね、意外とオフマイクも悪くない感じですね。
中:これも扱いやすい系なマイクですね。私的な印象を言わせてもらうなら、TLM102やTLM103みたいなコンシューマー向けの扱いやすさのまま、存在感や太さも出たような気がしました。
S:合いそうな楽器というと何でしょう?
中:男性の声とかもいいような気がしますね。
櫻:ゲインはU89とU87の間くらいですね。
中:ピアノのオンマイクもいいなって思いましたけど。歌もいいですよね。
S:TLM67とも近いところがあるんですかね?
櫻:あれよりは少ないでしょう情報量が。
中:とはいえ使いやすいですよ、下が充実していて上がすっきりしている。
S:そういう意味でもこれもコンシューマーに寄るマイクなんでしょうかね、あまり手を加えなくてもそのままで使えちゃうっていう。
櫻:低音が拾いたいときにあるといいなっていう印象ですね。
中:TLM102やTLM103の流れだなって感じがしてて、それよりもグレードは上がっている感じです。ふくよかさや存在感なんかを感じるところがあるなって。
櫻:コンシューマー向け贅沢マイクという感じでもあるし(笑)、プロ用としても全然使えるマイクって感じですね。
S:中規模予算のための高品質プロフェッショナル機器っていう感じですかね?
中:なんか位置取りが難しいマイクですね。中域がいいからオフマイクがいいのかなって思うんですけど、まあオンマイクも悪くないという感じですけどね。
櫻:こもる感じにもならないから、扱いやすさはEQあまりしなくてもいいかもですね。
中:もしかしたらコンシューマーは難しいかもしれないですよ。S/N悪いから。ダイアログとかそっちの方がいいかも。
櫻:女性のダイアログなんですかね?
中:どっちもアリだと思いますよ、そんなキンキン聞こえないですし。
櫻:別に悪くないマイクですけどね。
U 47 FET

製品ページ
- Neumann の 1970 年代の傑作を完全な形で復刻
- 伝説の U 47 と同じラージダイヤフラム カプセル
- 大出力のトランスフォーマーを用いた FET エレクトロニクス
- 極めて高い SPL
エンジニアコメント
櫻:U47 fetは普段だとバスドラに使うことが多く、あとはベースアンプなどの低音系に使います。
S:余談ですが一番最初のU47は真空管で、マイクの中で初めて指向性切り替えスイッチを搭載させたマイクで、そこから業界にすごいと評判になって。
中:結構何にでもいけるのではないでしょうか、暖かみというか甘いというかU87 Aiのキラキラしたところもある。
櫻:個人的にはオフマイクは合わないかなと思います。オンマイク向きかなという印象です。
中:fetに関していうと離すと少し実体がぼやけすぎて、若干使いづらそうと今聞いた限りでは思いました。
櫻:オンマイクでも楽器系なんでしょうか? 女性ボーカルとか声の収録もいけそうな気がします。
中:今ウチのスタジオにあるU47 fetでも女性ボーカルを録ることもあるので、キラキラしているイメージをどう採用されるかですね。
U 89 i
- 5 つの指向性パターンへの均等な周波数特性
- 非常に低い歪み
- 高い SPL
- 平衡型トランス回路
- カラーバリエーションあり(写真はU 89 i mt)
エンジニアコメント
櫻:U87 iに近い印象ですね、U87 Aiより下の感じがわかりやすい気がします。
中:いい意味で落ち着いてる感じです。
櫻:ただちょっとゲインが低いんですよね、U87 Aiより高域の伸びが落ち着いてるんですかね。
中:ピアノで聞いた感じだとバランスが良いのか耳に優しい印象です。U87 Aiほどパキッとはしてないんですけど何にでも合いそうな感じがしました。
櫻:指向性も5段階あって使い勝手が良くて色々試せるマイクですね。無指向性も聞いてみたいですね。
M 147 Tube

製品ページ
- カーディオイドパターン
- 伝説の U 47 および M 49 マイクロフォンと同じカプセル設計
- セルフノイズが非常に低い真空管回路
ピアノ
中:悪くないですね、とにかくキラキラで明るい印象でオンマイクの距離より少し近くに感じます。
櫻:繊細なタッチとかダイナミクスも綺麗に拾えている感じですね。中域とかが充実感がある感じです。
中:3,4kHzで盛り上がり、また10kHz以降で盛り上がるような、暖かみはありつつ明るい印象です。オフマイクでも近く聞こえました。
S:ちなみにこのマイクは単一指向性オンリーです。
櫻:余計なところを拾ってないから使い勝手が良さそうですね。
S:M147とM149とTLM49が、 いわゆるU47を元に設計されたマイクです。M147とM149の違いはもちろん音にも関わってきますが、指向性の切り替えの有無があります。
中:この価格帯でチューブマイクを試してみたいという方には取っ掛かりとしていいんじゃないでしょうか。
S:チューブマイクは今でも運用方法が大変だと思うんですが、エンジニアさんが好んで使われますか?
櫻:録音自体もDAWになってきてS/Nがなくなってきて音がすっきりしてきているじゃないですか、そのアクセントして真空管の暖かみってものすごくいいと思うんですよね。特に歌とかは未だに大体チューブマイクが多いです。
中:U67やM149を使うことも多いですし真空管というものでしか出せないいいところがあると思うんですよね。
M 149 Tube

製品ページ
- 9 つの指向性パターン
- 7 段階のローカット
- 伝説の U 47 および M 49 マイクロフォンと同じカプセル
- セルフノイズが非常に低いチューブ回路
ピアノ
櫻:これはいい!一番人気ですね、U87に次いで。仕事上で外部のエンジニアさんとかが一番持ってくるのが、歌が多いんですけどこのM149ですね。前に出てくる感じが説得力があるというか。
S:基本ボーカルで使いますか?
中:オフマイクとかで使うのもありだと思います。オールラウンドにハイレベルにアーティストの表現を全部しっかり録ってくれるといいますか。ダイナミクスがしっかり明るくて反応がいいです。
櫻:指向性の切り替えも結構繊細なところまで調整できますしね。
中:レコーディングだと何にでも使えますね。指で弾くアコースティックギターとかもいいだろうし、その場のものを全帯域的に収録してくれるというか。
S:お取引のある販売店さんの話を聞くと、U87を買いたいという方がいると、もうちょっと頑張ってM149にしませんか?っていう提案をされる方もいるみたいですよ。ちょっと商売的な話ですが。
中:いいアドバイスだと思いますよ、その値段以上のものはあると思うので。
櫻:問題は重くてでかいので立て方ですよね。それを補って余りあるパフォーマンスを持ってはいるんですが。
BCM 104

製品ページ
- ラジオのアナウンサー向けに特別に設計されたマイクロフォン
- まったく新しい、音声向けに最適化されたコンデンサーカプセル
- ポップスクリーンとエラスティックサスペンションを内蔵
ナレーション
S:BroadCast Micの略でBCMですね、天井から吊るすタイプです。
後:声の録音メインで作られている製品だと思うので、音の芯は拾っているんですけど、EQしたような感じになるのでちょっとエンジニア的には物足りない気がしますね。ノーEQでも使えるような仕様だと思いますが、中域メインで作られている印象です。
太:ラジオ局納品用的なイメージが強いですけど、音決めする時間がないようなMAなんかではある程度の声として欲しい部分は拾ってくれるマイク、という位置付けですね。
中:ポップスクリーンが内蔵されているので吹かれても安心なところがありますね。
太:見た目的にもいいですしね。
中:ラジオ局のフリートークなんかで複数立てた時に威力を発揮するマイクなのではないかと思いますね。被りとかを考えて聞こえやすくなるように作られていると思います。
BCM 705

製品ページ
- ラジオのアナウンサー向けに特別に設計されたマイクロフォン
- ファンタム電源を必要としないダイナミックカプセル
- ポップスクリーンとエラスティックサスペンションを内蔵
ナレーション
S:これはNeumannで唯一のダイナミックマイクですね。
後:ダイナミックマイクにしてはいい音してますね。空気の揺れを拾っている感じが出てる。ノーマルで読む時には物足りないんですけど、大きめで読むようなものはピークが全然潰れていないし録ったあとの作業がやりやすいですね。声を張った時にどれだけ音圧落とさずに録れるかっていうのが自分の重要課題なんです。ダイナミックレンジの広いナレーターさんはコンデンサーマイクだと追いつかないんですよ。そういった意味ではこれまで割とレンジが狭くていいダイナミックがなかったので、これはダイナミックのいいところを録りつつコンデンサーのいいところを吹かしている感じがします。ブロードキャストと言われてなるほど!と思いました。
太:これは単品で使うのに向いてますね。なかなかコンデンサーでガッツまで録れるのはあまりないので。抑えながら強く読む方はコンデンサーマイクが向いてるんですけど、本当に声が大きい人には向いてないんです。個人的にはこういうダイナミックマイクが出てきて嬉しいですね。
S:ちなみに今ダイナミックマイクだと何を使われてますか?
太:Sennheiser MD441とかですね。MAだとダイナミックマイクは一本もないので、本数があるものを使うんですよ。SM57はハイ上がりな音でMD421はハイ落ちしすぎちゃうし、もうちょっといいのないかなっていつも思ってました。そういった意味でこれは試しに使ってみたいです。
KM 183 / KM 184


- 軸外の色付けを行わない均一なピックアップパターン
- 非常に低いセルフノイズ
- 極めて高いSPL
- トランスレス回路
- カラーバリエーション、セット製品あり(写真はKM 183 / KM 184)
ナレーション
S:これはペンシル型のマイクで、無指向性のKM183と単一指向性のKM184です。
後:KM184はちょっと遠いイメージありますね。音色的にはさっきのKMS104ほどハイ上がりはしてないので、そういった意味ではバランスがいいかもしれないです。
太:楽器のアコギや弦を録るといった狙ったものを録るにはいいでしょう。
中:無指向性のKM183の方が後ろの音が聞こえましたね。
太:吹きはやはり単一指向性のKM184の方が音として聞こえましたね。
S:ポップガードとか何もしてませんでしたからね。
ピアノ
櫻:KM 183いいですね。
S:KM 183は一番ハイが伸びてるんですね。
櫻:KM 131とかKM 133と比べた感じでも、オンマイクもバランスよく聞こえたんですよ、使えるなって感じで。無指向のオフマイクとしても良いと思います。オフマイクは今だとDPAとか昔だとBKの無指向が多くてそれに張るというか、個人的な印象では。
S:そこは競合というか戦えますね。変な意味ではなくて。
櫻:僕はBKの無指向と張るなあって思いましたけど。
中:KM 183はKM 131よりちょっとモアーってしてたなあってイメージだけど。
櫻:意外とローはありましたよ。
中:オフにした時にKM 131の方が輪郭が小さくて、KM 183の方が大きくみえた。
櫻:KM 183のオンマイクも嫌いではなかったですね。
中:ただちょっとシルキーなんですかね、KM 131・KM 133と比べると。上の方に引っかかるところがあるというか。
S:KM 131・KM 133に関しては現場を選ぶところがあるのかもしれないです。KM 183・KM 184は現場を選ばない感じで、あえてハイを上げておいて聴感上フラットになる感じですね。
櫻:KM 184はいいマイクですね。このKM 184をコントラバスに立てる人もいて、音がくっきりするんだけどローもちゃんと入っているんですよね。
中:そう。だからアコギにも合うしアタックの部分もすごく綺麗に柔らかく聞こえて嫌味に聞こえないんですよ。
KMS 104 / KMS 105


製品ページ
- 高いフィードバック耐性を備えたカーディオイド/スーパーカーディオイドパターン
- スタジオクオリティのコンデンサーカプセル
- 高域の伸びが優しい透明感のあるサウンド
- 優れたポッププロテクション
- カラーバリエーションあり(写真はKMS 104 BK / KMS 105)
ナレーション
後:両方ともタイトですね、中高域がカチッと出ている感じです。指向性がそんな違うような印象はありませんでした。
S:KMS 104が通常のカーディオイド、KMS 105がスーパーカーディオイドです。
太:むしろ音色の違いを感じた気がします。両方ともレンジが狭いのでボーカルの帯域を拾いつつ、中高域を足している感があって。KMS 105の方が若干音圧が低く感じるので、レンジが狭い印象でした。
S:割と他のマイクよりハイが抑えられているんです。コンデンサーくさくないというかNeumannの音だねって言われることもあります。
中:系統的にはBCM 705の分類の印象でしたね。KMS 104よりKMS 105の方がキュッて音が密集したイメージです。
ピアノ
櫻:これ意外といいですね!
中:意外とピアノ成立しますね、KMS 105はどうでした?
櫻:KMS 105はちょっとKMS 104に比べるとピーキーなところが鼻につくけど。オフマイクにした時にあまり嫌な印象はないけどちょっと音像が小さくなるから無理して立てるほどでもないかな。やはりハンドマイクかな、KMS 105は。
中:僕の捉え方だと音が滲むというか。でもKMS 104とかピアノのところで普通に使えるなあって思いました。本当にそれ以外は同じというか、本当に低域を加えましたという感じでさすがNeumann!って思いました。同じといいつつ上が変わってたりもするので。
櫻:これはピアノ本体の録音もいければ弾き語りでもいけますね。
中:Neumannのフラットに近い特性が邪魔をしていない感じですね。
KMS 104 PLUS

製品ページ
- 高いフィードバック耐性を備えたカーディオイド/スーパーカーディオイドパターン
- スタジオクオリティのコンデンサーカプセル
- 高域の伸びが優しい透明感のあるサウンド
- 優れたポッププロテクション
- カラーバリエーションあり(写真はKMS 104 PLUS BK)
ナレーション
後:KMS 104はタイトだと思ったんですけど、こっちは低い方が出ている分バランスがいいなって思いました。男性も女性も張っているのもノーマルも104 PLUSの方がバランスが良くて好みかなって思いました。
S:元々KMS104 PLUSは女性ボーカル向けに開発されたものなんです。女性の美味しい周波数帯域をキャッチするマイクということで。
後:女性の声が張っているやつ、とても良かったですよ。
太:今ここで聞く限りすごくバランスがいいって思うなら、むしろレコーディング向けなのかなって思いました。それに女性向けということですが、男性でも合うかなって思いました、ロック系とか。確かにこの3つのラインナップでいくと、レコーディングならKMS104 PLUSが使いやすそうだなって思いました。
中:これはピアノの弾き語りのレコーディングで使ってみたいって思いました。いつもどれにするか悩みのタネでU 67とかU 47を立てるんですが、爪の音を意外と拾ったりするんで。弾きながらでないと歌えない方もいるので、これはそういう時に威力を発揮しそうです。