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RODEフリーランスのフィールドレコーディングエンジニア、Chris Bruce氏は、イギリスのTV番組のために東南アジアに向かった6人の取材スタッフに同行した際、新しいショットガンマイク、Rode NTG-3のテストを行う事にしました。
NTG-3、そしてウィンドシールドBlimpは、雑誌などにおいて絶賛されているが、それらが事実であるか試してみることにしました。そして、インドネシアで待ち受けていたのは厳しい試練でした。Bruce氏は後にこう語っています。「NTG-3に関するいくつもの記事に目を通しましたが、いずれも非常に評価が高く、コストパフォーマンスについては、約半額で売られているNTG-3が 倍はするであろう従来のスタンダードマイクと同等な働きをすると言うところに感興をそそられました。 そこで我々もNTG-3とスタンダードマイクとのブラインドテストを行うことにしました。耳を研ぎ澄まし、集中してその差を聞き分けようと試みるものの極めて困難な作業でした。」
「熱帯のジャングルの中や砂漠、時には水上に至るまで、あらゆる厳しい環境での撮影に加え、火山の麓での撮影では軽く35℃を超える気温に100%の湿度、さらには頻繁に襲いかかる暴風雨と、語り尽くせない程、過酷なテストになりました。さらに人口過密都市でもあるジャカルタは、電化製品の無線周波数に対する規制もヨーロッパほど厳しくありません。そんな中でもNTG-3は見事に素晴らしい働きをしてくれました。」彼はこのように付け加えています。
しかし、この撮影には環境的な問題も然ることながら、もうひとつ大きな試練が待ち構えていました。想像するだけでも恐ろしい、移動時の機材への物理的なダメージです。機材の入ったバックパックを担いで国境を越える旅となり、移動には飛行機に船、タクシー、トラック、電車から人力車まで様々な交通手段を利用しました。大切な機材は、荷積みの度に”親切な”地元の人々に度々放り投げられましたが、我々は22時間におよぶ撮影の後であったため、そんな扱いに文句を言う気力も残っておらず、どれだけのダメージを受けたのか考えるのも嫌になりました。それ程くたびれる旅でしたが、取材している間NTG-3の働きは驚くほど快調で、問題が起きるどころか準備していたスペアのマイクを使う事さえありませんでした。
とても湿度の高い天候の中、様々な条件下でテストをおこないましたが、NTG-3は私達の期待を裏切る事はありませんでした。次のエチオピアの旅でも活躍してくれる事でしょう。
Pro Audio Asia誌 July-August 2009号より