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2012/05/08
米証券取引委員会によると、Fender社のナスダック市場新規株式公開額は2億ドルに達しているということが明らかになった。この株式で得られた資金は、まずは1億ドルの負債に充てられ、その他新たなマーケットで延びている分野へ資金が投入される。財務関連の書類では、2009年の業界規模での売上の低迷から脱出し、新興分野のマーケットにおいて3年間で45%売上を伸ばしたことが示されている。
Fender社の2011年の歳入は新商品の導入、国際市場の業績の伸長、そしてカリフォルニア工場の生産力が向上したことにより13%伸び、7億ドルとなっている。2010年の一年間、工場は塗料の供給の問題で生産が伸びずに苦しい状況に立たされていた。純利益は1900万ドルとなり、前年のマイナス160万ドルから改善されている。
Fender社は将来の株主に対して、楽観的な見方を示しており、次の様なコメントを出している「売上の向上は、自社の製品の需要を喚起する長期間のトレンド、つまりギターを使用した音楽やバンドが依然として人気があることや、ポピュラーカルチャーの中でギターの露出が多いことなどによって持続されています。製造技術の向上とギター文化の一層の普遍化は、品質の高い製品を比較的安価で提供できる結果につながっています。昨今のネットを含む技術革新によって、消費者がより簡単に学び、創造し、音楽を個人的なものとして楽しみ、発信させることが可能となったこと、中国、インド、インドネシアなどでギターミュージックがポピュラーになり、一つの市場を形成しつつあること、そして新たな音楽教育の場が生まれていることなどが、このトレンドの推進力となっています。」
会社を紹介する冊子にはFenderの業績が示されている2011年度の53.3%の歳入(3億7310万ドル)はアメリカ以外からのものであり、ディーラー直販化によりヨーロッパでの売上は1億9090万ドル(全体の27%)と増加、市場での売上が拡大している。
Charvel、EVH、Hamer、Gretsch、Jackson、Guild、Ovation、Takamineなどのギターブランドや、Gretch Drum、LP Percussion、Genz Benzなど、多岐に渡るブランドも合わせると、Fender社は13000以上の販売店を持っていることになる。そのうち、独立系楽器店が58.7%と売上を伸ばしており、Guitar CenterやSam Ash、Costco、Sweetwater Soundなどのチェーン店では23.5%の伸びとなった。また世界規模でみると、独立系楽器店の売上は全体の17.8%を占めている。
Fenderは世界一のギターメーカーとされており、弦楽器の売上は2011年の歳入の59%を占め、アンプは12.1%、パーカッションは9.1%、残りはアクセサリーやPAシステムなどとなっている。
10年以上前からFenderに投資しているWestin-Presidio Capital社が筆頭株主で、43%の株を保有している。また、日本の山野楽器が14%、神田商会が12%の株式を保有。山野楽器、神田商会はともにBill Schultz氏が1985年にCBSからFenderを獲得した際に資金援助を行なっている。