EVENT(イベント)は、1980年代末にスタートしたアメリカのスピーカーメーカー。名作20/20は、スタジオモニターの定番として、現在も数多くのミュージシャンやエンジニアに愛用されています。2006年、RODEの親会社Freedman Electronicsの一員となり、世界中から集められた優秀なスタッフによる最高のエンジニアチームを結成。開発に2年の歳月を費やし、スタジオモニターの最高峰モデル「OPAL」がリリースされたのです。
EXTREME
INNOVATION.
EVENT社の飽くなき探究心と比類なき技術力により、これまでとはまったく違うニアフィールド・モニターが完成。
ウーハー、ツィーター、アンプ、そしてキャビネットに至る全てにおいて、革新的かつ独創的なテクノロジーを取り入れ、過去に類を見ないスタジオモニター「OPAL」が誕生しました。
Opalの中低域ドライバーは技術革新の賜物です。スピーカーとしては前例のない30Hz -10kHzのレスポンスを実現。驚愕の1000Wハイパワー出力です。
Opal専用に一からデザインされたEX8は、中域用ドライバーのようなスピード感とクリアなサウンドを出力します。同時に、リアポートがないため、部屋の音響特性に左右されることなく、35Hz以下を確実にカットし、正確なサウンドを出力します。
EVENT社の「X-Coil」と「XBL」という2つの技術により、1つのドライバーから、今まで想像もできなかったパフォーマンスを生み出しました。
X-Coilは、ドライバー・ポールピースに補助的なショートコイルを使用したものです。このマグネットコイルはスピーカーのムービングコイルと反対の極性にセットすることにより、2つのコイル間に磁気抵抗ができ、ドライバーのコントロールスピードやコーンスピードを飛躍的に向上させることができます。これにより、中域のダイナミクスを改善しながら、歪みの少ないサウンドを出力します。
XBLはEvent社が特許を取得しているモーターデザインです。XBLにより磁気回路の効率が上がり、EX8は前例のない36㎜の振動幅を実現しました。
EX8は特注のコーンで出来ており、材料には製紙用パルプと繊維の長いカーボンファイバーの合成紙が使用されています。それにより、究極の軽さを実現。例えばポリプロピレンのような素材は他社では人気がありますが、この合成紙を用いた特注コーンの方が、より明快で自然な、すばらしいサウンドを出力します。
Opalの高域部分のつくりは、楕円型のユニークな形をしており、ウェーブガイドにマウントされたメタルドーム・ツイーターで構成されています。
超軽量で硬度のあるアルミニウム・マグネシウムの混合金属とソノマックス製のサラウンドにより、信じられないほどクリアな上、歪みを最小限に抑えた高域を出力。その結果、どのパワーレベルにおいても、他のハイファイやモニターのツイーターより小さい高調波の歪みを実現しました。
出力、指向性のコントロール、パワーレスポンスの音響特性を最適な状態にするため、ツイーター、サスペンション、モーター、ウェーブガイドの関連性を慎重に考慮し、EX8ウーハーと完璧な相乗効果を生み出せるようにしています。
Opalの開発初期から、垂直/水平方向の音の広がりをコントロールするために計算されたウェーブガイドが重要だと確信していました。それに伴い、浅いウェーブガイドでもスピーカーコーンの表面に音響的な負荷を与えるため、ウェーブガイドに正確に作用する硬度のあるメタルツイーターが必要とされました。
Opalを横置きに使用したい人のために、ウェーブガイドは簡単に回転させることができます。このウェーブガイドは、どちらの角度でも(縦置きでも横置きでも)、音の回りこみと途切れを最小限にし、EX8ウーハーと正確にマッチするようにデザインされています。
アルミニウムキャスト加工(鋳造)により妥協無く設計されたキャビネットは、ハイレベルな硬度と強度を確保し、レゾナンスを最小限に抑えることができます。
Opalの表面は、ドライバーからの音が平面部分にぶつかることにより発生する音の回りこみを最小限に抑えるため、計算された丸みのあるデザインになっています。
その外観と同様に、計算されたデザインの内部は定在波と共鳴を除去し、中音域の漏れを最小限に抑えることができます。
キャビネットの背面にポートを持つ製品が見られますが、音響のマイナス要素となる部屋の反響やパッシブラジエーター(磁気回路のないコーン紙だけのスピーカー)が低域を強調するため、Opalはフロントバスレフポートを採用しています。
第一の問題として、ポートにより生じる空気の流れが、「パフッ」というようなポートノイズを始めとした、余計な音の原因となります。Opalは、各ポートの垂直、水平両方向にasymmetrical geometry(非対称幾何学)を取り入れることにより、これを解決しています。この空気抵抗が可変するポートは、高出力時においても空気の流れを遅くすることにより、聴こえないレベルまでエアーノイズを減少させます。
これまでに紹介したパーツと同様に、アンプもOpal専用にデザインされています。EX8とULD1は、透明感があり、歪みが少ないため、アンプも歪みを最小限に抑えたものでなくてはなりません。
エンジニアチームは、基盤のデザインに焦点を絞り、THD0.005% 未満の4層PCBを開発しました。加えてソフト・クリッピング回路により、アンプがクリップし始めても、自然な波形の形状を保つことで聴感上の歪みを劇的に減少させることができます。
EX8ドライバーにより容易になったダイナミクスとピーク音を再現するために、Opalの出力は、連続出力より、瞬間的な最大出力に焦点を置かれています。1000Wの最大出力は、低域再生に必要なエネルギーをOpalに供給します。
Opalのコントロール回路は、クロスオーバーとイコライジングにより、正しい位相を維持するフィルターが搭載されています。キャビネットの前面パネルに隠されている1ペアのフィルターにより、スピーカーの位置を動かさなくても、簡単に調整することができます。
BIG.
ASS.
SOUND.
自宅録音からレコーディング・スタジオまで、幅広い環境においてプロフェッショナルなモニタリングを可能にする新たなスタンダードモデル「20/20BAS V3」。世界最高峰のモニター「OPAL」と同等の革新的な技術を注入し、低域から高域まで幅広くバランスの良い再生能力と、高い音圧レベルを実現しています。
PAUL WHITE
このスピーカーの名前に聞き覚えがあるとすれば、Event社が90年代半ばに同じ名前のアクティブモニターを販売し、一躍大成功を収めたからでしょう。コルゲート状のバスレフポートはひもで固定され、低コスト化を実現。そして生産コストを抑えたにも関わらず、あまりに良い音を出すため、バージョン1、2共に、20/20 BASは世界中のスタジオで広く親しまれるようになりました。
2006年に、Eventのブランド名はオーストリアに本拠地を構えるRODE社の親会社、Freedman社によって買収されました。その後、予期せぬことに、創業者のピーター・フリードマン氏はEventブランドのすべての製品を廃番にしていったのです。これを契機としEvent社は新しい方向へ動き始めます。まず、フリードマン氏は新しい技術チームを立ち上げ、技術責任者にMackie社とRCF社にいた経歴をもつマルセロ・バーチェリ氏を採用。バーチェリ氏は研究開発のための施設をウーデンビル市にあるMackie本社近辺に創設しました。バーチェリ氏以外にも、アナログアンプ専門家として、QSCの元デザイナーであるアニバル・ユセム氏を迎え、ハイエンドスピーカーの生産工場を、当時RODEがマイクを生産していたシドニー周辺に設置したのです。そして、メンバーを一新して最初に手がけた作品が、ハイエンドの極上モニター、Opalだったのです。Opalはプロオーディオ界に衝撃を与え、それ以降、生まれ変わったEvent社の名前は再び、広く世に知れ渡ったことは言うまでもありません。
それを背景に、エンドユーザーは人気を博していた20/20 BASの再販を求めていました。しかし、技術者達はオリジナルの再販ではなく、改良を加えて、更にOpalのデザインを踏襲し、その優れたコンセプトを取り入れようとしました。その目的は、オリジナル20/20 BASのサウンドの特性を残しつつも、ダイナミクな部分を改善し、歪みを最小限に抑えることだったのです。そして改良に改良を加え、コストが上がらないように生産地を中国に変更したのです。
その結果、2ウェイ、フロントポートを持つ新しい20/20 BAS v3が発表されました。20/20 BAS v3は周波数特性35Hz-20kHz (±2dB)、7.1インチ・ベース・ミッドドライバー、1インチ・磁性流体冷却シルクドームツイーターで構成されています。低域ドライバーは耐熱ポリアミドとファイバーグラスの1.5インチボイスコイルに、ポリプロピレン・コーンを採用。高域ドライバーのクロスオーバーは2.3kHz。SPL(音圧)は108dB(ピーク)、105dB(長時間)。CRT(ブラウン管)モニターへの 干渉を最低限にするため、高域、低域それぞれのドライバーに、キャンセリング・マグネットが取り付けられています。
各ドライバーへの出力は、2台のクラスA/Bアンプにより、ツイーターへ80W(PEAK)、ウーハーへ120W(PEAK)が供給されています。30Hz以下の音はサブソニックフィルターによって減衰され、ショートサーキット保護、オーバーヒート保護も搭載。また、アルミヒートシンクにより冷却されます。
20/20 BAS V3のリアパネルにはバランス入力端子、ゲイン、高域/低域シェルビング用のコントロールつまみがあります。
これらの機能は375(高さ)x 260(横幅) x 300mm(奥行)、厚さ15mmの頑丈なMDF製のキャビネットに収まっており、その重さは17kg(1本)あります。そしてオリジナルバージョンのデザイン性を保ちつつ、更に優れた外観に仕上がっています。形状は以前と同様にシンプルな作りで、キャビネットの角は丸みを帯び、プラスチック・ホイルフィニッシュに、黒色マット塗装仕上げ、そしてドライバーがぴたりとはめられています。ウーハーは「20/20 BAS V3」と記載されたリングに囲まれ、「Event」ロゴはパワーインジケーターとして機能し、電源をオンにすると点灯します。また、オリジナルと同様に低域用ポートは長く、キャビネット内を通り抜ける構造になっています。
スピーカーのリアパネルには、ミシン目のグリルで保護されたヒートシンクがあり、XLRバランス入力端子が装備されています。入力ゲイン、±3dBの高域/低域のシェルビング(高域:2kHz以上、低域:400Hz以下)は回転するツマミで調整します。高域は好みに合わせてコントロールし、低域は会場の設置場所によって設定を変えるといいでしょう。電源は一般的なIEC型ソケットで、電源スイッチはその上部にあり、電圧スイッチで115V、または230Vの選択をすることができます。
20/20BAS V3のコントロールを全てフラットにした状態で、所有しているOpalの横に設置し、スピーカー試聴用のCDを再生した瞬間、すぐにこのスピーカーの良さがわかりました。ステレオ感のあるサウンドが、中域、高域ともに心地よく響き、低域は同等価格のスピーカーと比較しても、ポートスピーカーの特徴である、タイミングのずれはそこまで目立たず、ローエンドも十分な深みがあると感じました。当然のことながら、高価なOpalの方が、タイトでクリアな低音が出ていたことは否めないですけどね。
20/20 BAS V3とOPALでは、低音の出方にどのような違いがあるのか、交互に聴くことによりすぐに明らかになりましたが、それにしても、20/20 BAS V3を快適に使用することができたのには驚きました。他のスピーカーで聴こえなかったMP3トラックの240kbpsレベルまでクリアに出力し、人間の歌声や話し声が自然な聴き心地であることに感動を覚えました。これこそ優れたモニターの証ではないでしょうか。
ミックスするソースの中にごつい音や、図太い音が含まれていても、明確に聴き分けることができ、スムーズできれいなミックスの場合、バランスの良い上品なサウンドを聴くことができます。20/20BAS V3にアイソレーション・パッドを使うと低域がもう少しタイトになり、これはお勧めです。小さな部屋ではポートにフォームを入れることで低音が少し減少しますが、その分、音がタイトになります。
この価格帯の中では、周波帯の範囲が広く、ボリュームを上げても自然で繊細なサウンドを聴くことができます。20/20BAS V3に勝てるモニターはなかなか見つからないでしょう。低域は密閉型ほどタイトではないですが、十分なパンチと深みがあり、他社の同じ大きさ、同じ価格帯のモニターよりも高品質で使いやすいです。
では、新しい20/20BAS V3は以前のモデルと比べ、期待に応えてくれたといえるのでしょうか。その答えは「YES」です。全体的にクリアで繊細なサウンドは、十分期待に応えてくれたと思います。小さなホームスタジオ以外の使用を目的として、ペアで£1000以下のスピーカーを考えている方であれば、20/20BAS V3をお勧めします。
人間の歌声や話し声が自然な聴き心地であることに感動を覚えました。これこそ優れたモニターの証ではないでしょうか。
THREE
WAY
PERFORMANCE.
2030は「OPAL」の為に開発された最新の技術を最大限に注入し、ウーハー個別のアンプを組み込むことにより、広いダイナミックレンジを実現。世界最高クラスのアンプ技術と3つのドライバーを組み合わせることにより、低域から高域まで信じられないほどの再生能力を誇ります。さらに、左右対称のキャビネットデザインにより、極めて正確なモニタリングを可能にしました。
EVENT2030は、クラスを超えた3ウェイ・スタジオ・モニタリング・システムです。精密に設計された音響デザイン、信号処理、アンプ技術を結集した3つのディスクリート・ドライバーは、信じられないほど繊細でワイドレンジなサウンド、他の同サイズのスピーカーよりも優れた低域レスポンスを提供します。
2030により、EVENTの技術者は、3ウェイ・スピーカーのレベルを引き上げました。その結果、2030はニアフィールド・モニターとして最適な形状、大きさ、説得力のあるオーディオ・パフォーマンスを兼ね備えた、同クラスを代表するスピーカーとなりました。
最新のウェーブガイドは、出力の応答特性と指向性が最適なバランスとなるよう、中域と高域ドライバー専用にデザインされています。重要な中域のアプリケーションには、圧縮パルプとポリプロピレンを使用した3.5インチ・コーン・トランスデューサーと、それに最適化された磁気回路を組み合わせています。この中域ドライバーを、浅いウェーブガイド上に取り付けたことにより、感度と出力を高めながら、歪みは最小限に抑え、メリハリのある、はっきりとしたサウンドを実現しました。