様々な環境に適応するモニター
最初に実物を見た印象は、想像していたよりもサイズが大きく、GENELEC 1031が小さく見えるほど。ニアフィールド・モニターと言うよりは、ミッドフィールド・モニターと言えるサイズです。重量は21.2kgもありますが、モニター上部に取っ手がついているため、簡単にコンソールの上に載せることができました。卓上に縦置きで載せるとなかなかの迫力でとても好印象で、付属のゴム製インシュレーターを使用し、ツイーターのウェーブガイドを外して回転させることで、横向きでも使用できるように設計されています。
また、前面にコントロールパネルがあるので、モニターの後ろに回ることなく、サウンドを聞きながら調整できるのがとても便利。LEVEL以外に、SPACE、Q、FREQ、DEPTH、DIM、LF SHELF、HF SHELFと細かい調整ができ、特にSPACE(バスレフ補正)の威力は抜群。低域が多いと感じるときはSPACEを調整することで、その効果がわかっていただけると思います。
- LEVEL
- 音量のコントロール、3dBステップで調整可能
- SPACE
- 3段階のバスレフ補正
- Q
- Q幅を6段階調整
- FREQ
- 中心周波数(40~280Hz)
- DEPTH
- 6段階アッテネーター(0~20dB)
- DIM
- EVENTロゴが発光する明るさを調整
- LF SHELF
- 低域シェルビング(±1.5dB)
- HF SHELF
- 高域シェルビング(±1.5dB)
生楽器のレコーディングで使用
今回はドラム、ベース、ピアノ、ギター、パーカッション、ボーカルの、6パートのレコーディングで使用してみました。6人同時レコーディングということに加え、新たにモニターバランスを作るという意味で、少なからず難しい場面ではありましたが、OPALは全体的にレンジが広く、パワーにも余裕があるため、低域で歪まず、違和感なくバランスを作ることができました。
パワー感という点でYAMAHA NS-10Mと聞き比べてみましたが、劣ることのない大音量で鳴らすことができ、ここまでレンジが広いモニターはそれほど多くないため、広いスタジオでも十分使用できると思います。
サウンドは癖も無く非常にナチュラル。高域、中域のモニターもしやすいため、リバーブの奥行き感が見えやすく、EQ、コンプ処理の効果もわかりやすいです。リボンツイーターのような高域に伸びのあるモニターも個人的には好きなのですが、長時間の作業では耳が疲れやすくなるため、OPALのナチュラルな高域は疲れづらいように感じました。
音量を変えても崩れることのないバランス
低域はふくよかで余裕もあり、原音を忠実に再生してくれるので、ドラムやベースの低域もよくわかります。個人的には多少低域が持ち上がっているくらいが丁度良く、大きな音量から小さな音量に落した際も、高域、低域のバランスが崩れることがないことから、幅広い環境で使えるモニターと言えるでしょう。リズム録りなど、大音量の生ものレコーディングでも、リミッターがかかることなく余裕で再生できたことから、完全にプロユースのモニターという印象です。
このクラスで1本10万円台前半という価格設定も、非常にコストパフォーマンスが高いモニターです。

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OPAL
スタジオモニターの歴史を塗り替える卓越した技術革新の結晶「OPAL」