アコースティック・ドラムメーカーとして2021年に創立75周年を迎えたPearlと、シンセサイザーや伝説的な”WAVE DRUM”など数々の名器を生み出してきたKORGのコラボレーションによって生み出されたe/MERGE。
e/MERGEはアコースティック・ドラムと電子ドラムの”融合(=MERGE)”を目指し、さらには単なる”掛け合わせ”に留まらず、全く新しい”楽器”を創り出すというコンセプトの下に誕生しました。
本稿ではe/MERGEの革新的な3つのエッセンス「WAVE トリガー・テクノロジー」、「PUREtouchパッド・システム」、「MDL-1 音源モジュール」についてご紹介していきます。
KORGの伝説的なパーカッション・シンセサイザー”WAVEDRUM”に用いられた技術を本機のために刷新した「WAVE トリガー・テクノロジー」は、ドラマーが奏でる生音と、ナッシュビルの名門レコーディングスタジオで録音された高品質な音源をリアルタイムでミックスする技術です。これによって、e/MERGEは電子ドラムでありながら、叩くプレイヤーの奏法や特性によってサウンドが変化する特長を備えています。
この技術はタム・パッドとスネア・パッドに搭載されており、ヘッドの打点やリムショット、スティックの角度等のレスポンスを繊細に感知し、倍音の変化を伴う”生きた”サウンドとして出力します。
※画像はタム・パッドを増設しています。
またe/MERGEのパッドはサイズにもこだわっており、ドラマーにとって馴染み深い10”/12”/14”のタム・パッド、14”のスネア・パッド、18”のバスドラム・パッド(EM-53HBのみ)を採用しています。これによって、アコースティック・ドラムと違和感の無いスティックワークを実現し、WAVEトリー・テクノロジーの特長を更に加速させます。
WAVEトリガー・テクノロジーとのコンビネーションによって無限の可能性をもたらすのが、全てのパッドに採用された「PUREtouchパッド・システム」です。アコースティック・ドラムやシンバルを横に置き、打感を比較しながら開発が進められたPUREtouchパッド・システムは、従来の電子ドラムには無い、リアルで心地よい打感を実現しています。
PUREtouchパッド・システムの秘密は、パッド表面のメッシュヘッドの下に仕込まれた、材質や形状の異なる最大6層に及ぶフォームにあります。従来の電子ドラムによく見られる「弾みすぎ」や「弾まなすぎ」といったパッドの悩みを解決する構造といえるでしょう。
e/HYBRIDバスドラム・パッド内部に備わった打点は、4箇所の防振ゴムによってシェル内部でフローティングされた構造で、これによって防振性はもちろん、「弾み」のある心地よいフットワークを実現しています。
PUREtouchパッド・システムやバスドラム構造には特許が取得されています。
同様にシンバル・パッドにもこの技術が散りばめています。特筆すべきはライドシンバル・パッドで、このPUREtouchパッド・システムを応用することで無段階に打点を感知し、シームレスな音色の変化を実現します。(特許取得済)
またこのシンバル・パッドの面白みは、チョークした際にシンバルの余韻が残る点にもあります。チョークしたまま叩くことも可能な点も、細かな工夫が散りばめられています。(特許取得済)
ハイハット・シンバルの複雑な処理には、高精度かつ耐久性に優れた静電容量センサーが採用されています。(特許取得済)これにKORGのソフトウェア・エンジニアによる高い技術力が加わり、リアルなハイハットワークを実現します。
ユニークなポイントとしてボトムシンバルの形状が挙げられます。演奏時のノイズを軽減し、自然な踏心地を実現するよう特別な設計が施されています。(特許取得済)
ドラマーにとっての操作性を最優先に開発された、e/MERGEのブレイン「MDL-1」は、ステージでも操作しやすいよう極力なシンプルな構成ながら、電子ドラムとしては異例のマルチコア・プロセッサーを搭載した、パワフルな処理能力を備えた音源モジュールです。このパワフルさによって、前述のWAVEトリガー・テクノロジーの高速処理を実現し、レイテンシーの少ない演奏を可能にしています。
さらにMDL-1を特長付けているのが「アンビエンス」の調節機能です。このアンビエンスはレコーディングスタジオで、実際にマイクの距離を離しながら収録された”本物の残響”なので、非常に生々しい質感を実現しています。なお、ピッチの調節も可能なMDL-1ですが、これも全て、実際にピッチを変化させたサウンドを収録しています。
e/MERGEに収録された音色は、大きく7つのカテゴリ分けされたプリセットと、ユーザーが編集したキットを保存できるUSERカテゴリに分かれています。アコースティック・ドラムの音色は全てナッシュビルの名門レコーディングスタジオで収録された高品質な音源で、パール現行のフラッグシップモデルからヴィンテージスタイルまで贅沢に収録されています。エレクトロニクスカテゴリにはKORGによる音源が収録され、トリッキーなプレイも堪能することができるでしょう。
現在e/MERGEは、世界同時進行である「ARTIST KIT COLLECTION」を実施中です。e/MERGEがあれば、アーティストが自らチューニングしたこだわりのキットデータを、そのまま試すことができます。
日本からはTOSHI NAGAI氏(GLAYサポート)、淳士(BULL ZEICHEN 88)、真矢(LUNA SEA)のキットが公開予定となっており、今後もe/MERGEに注目が集まります。
最後に真矢(LUNA SEA)によるe/MERGEのインタビューをご紹介。2019年のさいたまスーパーアリーナ公演で、e/MERGEをなぜ選んだのか?本人のインプレッションをご確認ください。
※本人による特別なカスタマイズがされたセットです。こちらのモデルの販売はできかねますことを予めご了承ください。