照明機器を制御する際に、各メーカーごとに制御信号の規格が統一されていないと照明コントローラーの互換性がなくなってしまいます。そこで、各メーカーや照明機器の制御信号を統一する「DMX512」という規格が誕生しました。今回はそんなDMX512について勉強してみましょう。
DMX512は米国芸術技術協会(USITT)が発端となり改訂されてきたデジタル信号の通信規格です。1本のデジタルケーブルで512チャンネル分の照明制御データのやり取りが可能で、また各チャンネルの信号を256段階で制御することができます。
通常、照明機器ごとに入力端子と出力端子が有り、数珠繋ぎに各照明機器を接続します。また、接続された最後の照明機器の出力端子には120Ωのターミネーター(終端抵抗)を用いることが推奨されています。ターミネーターは既製品(HOSA DMT-414)を使用するか、XLRコネクターの2番、3番ピンに120Ωの抵抗を接続して製作することもできます。
XLR5ピンタイプであればHOSAやCANAREのDMXケーブル、XLR3ピンであればAES/EBUケーブルのデジタルケーブルが使用できます。マイクケーブルやオーディオ用ケーブルなどをDMXケーブルの代わりに使用した場合、データにエラーが発生しやすくなるため、照明機器が誤動作を起こす事があります。
最大400m程度まで対応可能ですが、環境や使用するケーブル、接続する照明機器の台数等によって変わります。接続する照明機器の台数が多い場合や、接続距離が長い場合は、必要に応じてバッファーアンプを使用する事をお勧めします。
サウンドハウスで扱っているDMX照明機器はXLR3ピンまたはXLR5ピンが使用されており、信号の位相は2番ピンがDATE-、3番ピンがDATE+となります。他社の照明で位相が異なる機器を使用する場合、位相変換コネクタ等を使い位相を合わせる必要があります。
使用するDMXチャンネル設定は各照明機器ごとに設定します。
※例として、動作を制御するために5チャンネル分のDMXデータを必要とする機器が3台あったとします。
出力できるDMXチャンネル数は各コントローラーのスペックに依存しますが、コントローラーからは全ての照明機器に同一のデータが送られていますので、照明機材の接続順番は決まっていません。
DMXチャンネルを設定する場合、ディップスイッチという小さなスイッチで設定する場合と、ディスプレイに数字が表示されてアップ/ダウンボタンなどでDMXチャンネルを設定する場合があります。ディップスイッチの場合は、2進数の足し算でチャンネル設定を行います。ディップスイッチによるDMXチャンネルの設定は下記表を参照してください。
一般的に照明機器の数量、及びチャンネル数がコントローラー選択の基準となります。照明器具数が少ない場合や、リアルタイムでの制御が多く必要なパーライトなどの調光を行う場合は、各チャンネルごとにフェーダーがあるコントローラーの方が制御しやすく、ムービングヘッドやエフェクト類など使用するチャンネル数の多い機材の場合は、メモリー機能の充実したコントローラーが向いています。
DMXコントローラーはDMX信号のみを出力するため、パーライトなど電球を制御する場合は、DMX512に対応した調光ユニットを使用することにより明るさの調整が可能になります。調光ユニットは電源トランスやモーター制御には使用できません。スイッチ機能のあるDMX対応電源ユニットでON/OFF制御を行う必要があります。
DMX対応の照明機器であれば、デジタルケーブルを接続してチャンネル設定を行えばコントローラーで制御を行うことができます。
※いくつかのコントローラーにおいては、コントローラー側の設定をしないとコントロールできない場合があります。
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