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1. 五線譜の見方

楽譜の基本は「五線譜」です。ここに様々な音符や記号が記され、楽譜ができあがります。
ボーカルやギター、キーボードの右手のパートなどの楽譜は、「ト音記号」で表わされます。また、キーボードの左手やベースの楽譜は、「ヘ音記号」が用いられます。ト音記号とヘ音記号では音の高さの表わし方が違うので注意しましょう。
ちなみに、ト音記号はト音(ソ)の位置から、ヘ音記号はヘ音(ファ)の位置から書き始めます。
下記のト音記号の始まりのと、ヘ音記号の始まりのは、同じ高さです(図1の「」の位置)。

図1

ドの位置


2. 音符の長さ

音符は音の長さも表します。基本となる音符を全音符と考えると、
全音符を2分したものが2分音符(白丸に棒)です。2分音符の半分が4分音符(黒丸に棒)、そのまた半分が8分音符(旗が一本)、また半分が16分音符(旗が二本)、さらに半分が32分音符(旗が三本)となります。
音符の横に点が付いていることがありますが、これは付点と呼び、付点が付いた音符を付点音符と呼びます。
付点音符は元の音符の長さの1.5倍の長さで演奏します。付点音符の長さ
また、休符にも同様に長さがあり、全休符、2分休符、4分休符、8分休符、16分休符と、32分休符と続きます。

音符 4分音符を1拍としたとき 休符
全音符
全音符
全休符
全休符
2分音符
2分音符
2分休符
2分休符
4分音符
4分音符
4分休符
4分休符
8分音符
8分音符
8分休符
8分休符
16分音符
16分音符
16分休符
16分休符

3. 拍子

1小節内の拍数を分数にして表します。分母には基準となる音符の種類、分子には1小節内にいくつ含まれるかが記されます。

4分の3拍子 4分の3拍子 1小節内に4分音符が3つ。
4分の4拍子 4分の4拍子 1小節内に4分音符が4つ。
2分の2拍子 2分の2拍子 1小節内に2分音符が2つ。

代表的な各拍子の音楽

  • 2拍子
    一般的にマーチなどのテンポの良い行進曲や舞曲に使用されます。
  • 3拍子
    ワルツ、メヌエットなど、舞踏音楽に多く見られます。
  • 4拍子
    現在最も耳にする機会の多い拍子。童謡、ポップス、ロック、ジャズ、クラシックからジングルや呼び出し音まで広く使用されています。
  • 5拍子
    2拍+3拍系、3拍+2拍系に分かれます。元来の西洋音楽にはない拍子で、民俗音楽などから取り入れられたとされています。代表的な曲として「ミッション・インポッシブル」のテーマ曲や、デイブ・ブルーベックの「テイク・ファイブ」などが挙げられます。これらは、いずれも3拍+2拍系の5拍子です。
  • その他
    ひとつの楽曲の中で拍子が変わるものを可変拍子と言います。ロシアの作曲家ストラビンスキーのバレエ音楽「春の祭典」では、11/4、5/8、9/8、7/8、3/8、4/8、7/4、3/4というように一小節ごとに目まぐるしく拍子が変わるものもあります。演奏する方は大変ですね。その他、比較的身近なところでは「ゴジラ」のテーマソング。耳慣れた有名なフレーズですが、基本旋律は4拍+5拍系の9拍子です。また、童謡の「あんたがたどこさ」なども4/4、3/4、2/4拍子が絡み合った可変拍子と言えます。

4. 楽譜の進行方法

楽譜は基本的に1小節目から順に進んでいきますが、同じ小節を繰り返す際に、様々な反復記号がそれぞれのルールに従って使用されます。

反復記号

記号 読み方 意味
リピート記号 リピート 直前のリピート記号、または、曲頭に1回戻り反復します。
1番括弧 1(番)括弧 反復の1回目のみ演奏します。
2番括弧 2(番)括弧 反復の2回目のみ(1番括弧を飛ばし)ここを演奏します。
ダ・カーポ(Da Capo) ダ・カーポ(Da Capo) 「最初から」の意味。曲頭に戻ります。
ダル・セーニョ(Dal Segno) ダル・セーニョ(Dal Segno) 「記号のところから」の意味。セーニョ記号に戻ります。
フィーネ フィーネ D.C.またはD.S.で戻った後、ここで終わります。
トゥ・コーダ(to Coda) トゥ・コーダ(to Coda) 「結尾」の意味。コーダ記号へ飛び演奏します。
  • A→B→A→B→C→D→C→Dの順に進みます。

  • A→B→C→A→B→Dの順に進みます。

  • A→B→C→D→A→Bの順に進みます。

  • A→B→C→D→B→Cの順に進みます。

  • A→B→C→D→A→B→E→Fの順に進みます。


5. 各種記号について

速度を表す記号

四分音符(記号を入れる)=60

四分音符を1分間に60回数える速さを表します。時計の秒針が刻むテンポと同じということですね。数字が大きくなればテンポは速くなり、小さくなれば遅くなります。

一般的な速度記号

Largo ラルゴ 非常におそく
Lento レント のろく
Adagio アダージョ ゆるやかに
Andante アンダンテ 歩くような速さで
Moderato モデラート 中くらいの速さで
Allegretto アレグレット やや速く
Allegro アレグロ 快速に
Vivace ヴィヴァーチェ 速く
Presto プレスト 急速に

6. 音程と音階

音程とは、2つの音の隔たりを意味し、度数によって表します。その音程の集まりによって音階ができあがります。

   鍵盤

音程

音程は完全系、長短系、増減系の度数に分けることができます。

  
  1. 完全系の音程

    1度、4度、5度、8度

    • ①はドとド。同じ音なので隔たりはありません。これを完全1度といいます。
    • ②はドとファ。ファはドから数えて4個目の音なので、4度となります。このように半音を一つ含む4度音程を完全4度といいます。
    • ③はドとソ。ソはドから数えて5個目の音なので、5度となります。このように半音を一つ含む5度音程を完全5度といいます。
    • ④もドとドですが、1番目のドから数えて8番目の音なので、8度となります。これを完全8度といいます。

    上記が完全系の音程です。完全音程は良く協和して心地よい響きです。

  2. 長短系の音程

    2度、3度、6度、7度

    • ①はドとレ。全音で長2度となります。
    • ②はミとファ。半音で短2度となります。黒鍵を挟まないシとドも短2度となります。
    • ③はドとミ。ドとレ、レとミの2つの全音からなる3度。このような3度音程を長3度といいます。
    • ④はレとファ。レとミという全音とミとファという半音からなる3度。このような3度音程を短3度といいます。

    • ⑤はドとラ。この中には半音を1つ(ミとファ)含みます。このような6度音程を長6度といいます。
    • ⑥はミとド。この中には半音を2つ(ミとファ、シとド)含みます。このような6度音程を短6度といいます。
    • ⑦はドとシ。この中には半音を1つ(ミとファ)含みます。このような7度音程を長7度といいます。
    • ⑧はミとレ。この中には半音を2つ(ミとファ、シとド)含みます。このような7度音程を短7度といいます。

    上記が長短系の音程となります。

  3. 増減系の音程

    4度、5度

    • ①はファとシ。4度音程ですが、その中に半音は含まれません。このような音程を増4度といいます。
    • ②はシとファ。5度音程ですが、その中に半音を2つ(シとド、ミとファ)含みます。このような5度音程を減5度といいます

    上記が増減系の音程となります。増4度、減5度は不協和音となります。

半音数\度数 1度 8度 4・5度 2・3度 6・7度
0 完全
1 完全
2 完全

音階

音程が規則性を持って集まると音階になります。

  
  1. 長音階 Major scale

    ファ
    C(シー) D(ディー) E(イー) F(エフ) G(ジー) A(エー) B(ビー) C(シー)
    C(ツェー) D(デー) E(エー) F(エフ) G(ゲー) A(アー) H(ハー) C(ツェー)
    度数 I(主音) II III IV(下属音) V(属音) VI VII(導音) VIII

    ド(ハ)を主音として長音階をつくると、上記のようになります。ピアノの鍵盤で言うと「ド」から1オクターブ上の「ド」まで白鍵を順番に弾いた音階です。このようにドから始まる長音階を「ハ長調」と呼びます。尚、ドイツ語で長調はdur(ドゥア)、英語ではmajor(メジャー)と呼び、それぞれC dur(ツェードゥア)、C major(シーメジャー)となります。長音階は常にI度(主音)から「全・全・半・全・全・全・半」の間隔で形成されます。そのため、主音によって♯や♭がつくことになるのです。

      

    例えば主音がファ(F)の「ヘ長調」の場合はどうでしょうか。

    「ファ」から1オクターブ上の「ファ」までの間隔を見てみると「全・全・全・半・全・全・半」となります。これを「全・全・半・全・全・全・半」にするには、第4音にあたる「シ」の音に半音下げる「♭」を付けてあげれば良いのです。

    このように「全・全・半・全・全・全・半」のルールさえ覚えていれば、♯や♭がついても、悩む必要はありませんね。

  2. 短音階 Minor scale

    短音階は長音階の短三度下にある音階です。主音からの音の間隔は「全・半・全・全・半・全・全」です。

    長音階と違い、短音階には3つの種類があります。上のように「全・半・全・全・半・全・全」の並びを自然的短音階(ナチュラル・マイナー・スケール)と呼びます。

    次に第7音を半音上げ、主音へと導きやすくする響きを持つスケールを和声的短音階(ハーモニック・マイナー・スケール)と呼びます。

    この時、間隔は「全・半・全・全・半・増・半」と第6音と第7音の音程が増2度となります。第6音も半音上げることにより、増2度音程を避けることができます。この音階を旋律的短音階(メロディック・マイナー・スケール)と呼びます。旋律的短音階は下行時には自然的短音階と同じになり、上行と下行で形が異なるのも大きな特徴です。

    上行は「全・半・全・全・全・全・半」、下行は自然的短音階の下行と同様「全・全・半・全・全・半・全」となります。


調

私たちが普段耳にする音楽の多くには、メロディー(主旋律)と、その土台となる伴奏(和音)があります。それらのメロディーや伴奏には中心となる音があり、その中心音(主音)に基づいて構成される音楽を「調性音楽」と呼びます。

  1. 調名
    調は主に長調と短調に分けられ、長音階の調を長調、短音階の調を短調と呼びます。例えばド(ハ音)を主音とした長調の曲であれば、ハ長調(英:C major、独:C dur)、ラ(イ音)を主音とした短調の曲であればイ短調(英:A minor、独:A moll)となります。このあたりは音階での説明と同様ですね。

  2. 調号
    音階の項で説明したように長音階の音の間隔は「全・全・半・全・全・全・半」、短音階は「全・半・全・全・半・全・全」です。ハ長調、イ短調であれば、♯や♭をつける必要はありません。

    ですが、主音が変われば上記の並びにするために♯や♭をつける必要が出てきます。

    例えば主音がソ(ト音)の場合を見てみましょう。

    仮に第七音の「ファ」に♯をつけなければ「全・全・半・全・全・半・全」となり、長音階にはなりません。

    ではニ長調ではどうでしょうか。

    今度は♯が二つになりました。
    このように主音がどこにあるかによって、付与される記号の数や種類は変わってきます。

    ニ長調の場合、曲を通して「ファ」や「ド」が登場する度に、♯をふっていては大変です。これを音部記号(ト音記号やヘ音記号)の隣に記譜することで、その曲を通して「ファ」と「ド」を半音上げるという意味になります。
    これを調号と呼びます。

    調はシャープ系とフラット系に分けられ、ドからシまでの12音全てが主音となる長調、短調があります。
    ちなみに♯は日本語で嬰(えい)、♭は変(へん)と呼びます。

    シャープ系の調号

    フラット系の調号

    このように♯が1つなら「ファ」に2つになると「ファ」と「ド」、3つなら「ファ」と「ド」と「ソ」・・・
    同じように♭も1つなら「シ」、2つは「シ」と「ミ」、3つなら「シ」と「ミ」と「ラ」というように、調号の付く順番は決まっています。

    ♯の付く順番
    「ファ」→「ド」→「ソ」→「レ」→「ラ」→「ミ」→「シ」

    ♭の付く順番
    「シ」→「ミ」→「ラ」→「レ」→「ソ」→「ド」→「ファ」

    気が付いた人もいるかと思いますが、それぞれ逆から辿ると入れ替わることになります。
    「ファドソレラミシ」、「シミラレソドファ」この順番は是非とも覚えてしまいましょう!
    ♯は「ファ」から始まって完全5度上の「ド」、またその完全5度上の「ソ」・・・
    ♭は「シ」から始まって完全5度下の「ミ」、またその完全5度下の「ラ」という規則性があります。

    そして調号と調の関係についても同様で、♯が1つ付く調はト長調(G major)、2つ付く調はニ長調(D major)・・・♭が1つ付くとへ長調(F major)、2つだと変ロ長調(B♭ major)・・・と、調号無しのハ長調(C major)を基準に♯は完全5度ずつ上へ、♭は完全5度ずつ下へという規則性があります。

    長調 短調
    0 (12)= 0 (C) (Am)
    1 (11) (G) (Em)
    2 (10) (D) (Bm)
    3 (9) (A) 嬰ヘ(F♯m)
    4 (8) (E) 嬰ハ(C♯m)
    5 7 (B)= 変ハ(C♭) 嬰ト(G♯m) = 変イ(A♭m)
    6 6 嬰ヘ(F♯) = 変ト(G♭) 嬰ニ(D♯m) = 変ホ(E♭m)
    7 5 嬰ハ(C♯) = 変ニ(D♭) 嬰イ(A♯m) = 変ロ(B♭m)
    (8) 4 変イ(A♭) (Fm)
    (9) 3 変ホ(E♭) (Cm)
    (10) 2 変ロ(B♭) (Gm)
    (11) 1 (F) (Dm)
    (12)= 0 0 (C) (Am)

    関係調

    上の表にあるように、一つの調号には長調と短調があり、それぞれの関係は長調に対して短3度下に位置する短調が同じ調号で示されます。これを「平行調」と呼びます。
    例えば調号無しならばハ長調(C major)に対して、イ短調(A minor)。
    ♯一つならばト長調(G major)に対して、短3度下の短調であるホ短調(E minor)。
    では♭一つならばどうでしょう?もうお分かりですね。
    ヘ長調(F major)に対して、ニ短調(D minor)となります。

    平行調と同じように、音階に使われている音同士を比べて、同じ音が多く含まれている調を近親調と呼びます。

    近親調には属調(ぞくちょう)、下属調(かぞくちょう)、平行調(へいこうちょう)、同主調(どうしゅちょう)があります。

    • 属調は主音が完全5度上の同種の調です。(ハ長調に対するト長調)

    • 下属調は主音が完全5度下の同種の調です。(ハ長調に対するへ長調)

    • 平行調は上に述べたように調号が同じ長調と短調の関係です。(ハ長調に対するイ短調)

    • 同主調は主音が同じ長調と短調の関係です。(ハ長調に対するハ短調)

    それでは短調の近親調はどうなるのでしょうか。イ短調を例に考えてみましょう。

    • 属調は主音が完全5度上の同種の調なので、ホ短調です。

    • 下属調は主音が完全5度下の同種の調なので、ニ短調です。

    • 平行調は調号が同じ長調と短調の関係なので、ハ長調となります。

    • 同主調は主音が同じ長調と短調の関係なので、イ長調ですね。

    このように全ての調には近親調があり、相互関係ができています。

    転調

    普段私たちが耳にする曲は、全て1つの調だけでできているわけではなく、1曲の中でも調が変わることがあります。これを転調と言います。その際にこれら近親調への転調は、最もよく使われ、曲も自然に流れていきます。最近では、あえて遠い調へ転調することによる違和感を効果的に狙った転調も、多く聴かれるようになりました。


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