音響業界のパイオニアでSennheiser Electronics社の創設者として著名な Fritz Sennheiser博士が5月9日に95回目の誕生日を迎えました。Sennheiser博士は1945年に、当時見捨てられた存在だったHanover's 工業大学に自身の"Laboratorium Wennebostel"を設立し、新しい電気音響技術の研究に取り組んでいました。しかし、突如としてその科学者はやり手のビジネスマンへと変身したのです。Sennheiser Electronicsは今日、全世界合わせて1,650人以上の従業員とドイツ、アイルランド、アメリカに生産拠点を持つ大企業へと成長しています。

ヨーロッパにおける電気音響の歴史はSennheiser博士抜きでは語る事ができません。ベルリンにて生を受けたFritz Sennheiserは幼少の頃より技術的な事全般に強く興味を示していました。95歳になるSennheiser博士は思い起こします。「1924年にはスライド・コイルやクリスタルなどを使ってラジオを組立てました。」この新しい発見への情熱は生涯を通して失われる事はありませんでした。「私達はいつも最新鋭の技術に満足できませんでした。そして常に新しく、より良い物を求めていました。新しい物を作り出す喜びを知っていましたし、多くのアイデアもありました。他の人達が私達の製品のコピーに精を出している時にはもう次の新しい開発を行っていたのです。」

最も重要な開発として、1950年代のショットガンマイク、60年代のオープン型ヘッドホン、70年代の赤外線通信技術、80年代初頭の革命的なマルチチャンネル・ワイアレス技術が挙げられます。Fritz Sennheiser は1982年に現在会長に就任している息子のJorg Sennheiserに経営を引継ぎ引退しました。しかし、Sennheiser Electronics社はFritz Sennheiserの "開発者には自由に提案してもらう。どんなに突拍子もないアイデアでも構わない"というモットーに守り続け、今日でも研究、開発の分野で大きな影響力を持っています。