ギターやアンプのように機材同士を接続するために欠かせないケーブル。機材から機材へと音の信号を伝えるという重要な役割を果たしています。ケーブルの両端にはコネクタと呼ばれる金属製のパーツが取り付けられており、そのコネクタを機材の入出力コネクタに挿し込むことにより、コネクタ内部の端子から受け側の機材の端子へと、信号の伝達が行われます。右図は一般的なマイクケーブル等で使用されるキャノンコネクタです。コネクタ内部に見える金属が各端子です。この端子間の信号の伝達はとてもシンプルな方法で行われており、単に端子同士を物理的に接触させ、電気信号を伝えているだけです。
コネクタに限らず、エレクトリックギター等のアナログな機材に使用されているボリュームをコントロールするパーツ類も同様に、そのコントローラーの内部で物理的な接触による信号の伝達を利用し、ボリュームを制御する構造になっています。接触による伝達が使用される理由は、この方法が一番安価で、信頼が置けるからに他なりません。くっつけば信号が流れ、離れると信号が止まります。当たり前だからこそ確実というわけです。
ところが端子の金属表面は酸化することがあり、更に、埃や汚れが蓄積して、導通が悪くなるといった事態に遭遇することがあります。いわゆる音切れや、ガリといった症状です。接触による信号の伝達の不良のため、これらの症状を総称して接点不良、接触不良と呼びます。このような接触不良が発生した場合、どうすればよいのでしょうか。
もちろん、状態がひどいものになると、コネクタやポットといったパーツ自体の交換が必要になります。ある程度、軽度なものであれば自分で修正することができます。まず、確認したいことは、接点を動かしてみることです。コネクタを何度か抜き差しする、ボリュームのノブを何度か回してみる、といった方法がこれにあたります。この方法で接触が復活する場合がありますし、状況の確認や音が出ない原因が、本当にそこなのかの判断をする材料にもなります。とは言いましても上記の方法では、直っても一時的でしょう。
恒久的に接触不良を改善させるための有効な方法としてお勧めするのが、接点復活剤の活用です。
コネクター部分に接触不良が生じている場合では、まず、オスのコネクタの端子に接点復活剤を塗ります。接点復活剤にはさまざまなタイプがありますが、スプレー式が非常に便利です。スプレーを少量、吹きつけた後、端子に接点復活剤が塗られた状態で、コネクタの抜き差しを行います。 次に、ポットやフェーダーに接触不良が生じている場合、まず、ゼロの状態か最大の状態にし、内部の抵抗体に接点復活剤を注入します。注入後、シャフトやノブをまんべんなく動かします。
これらの作業を接点の状況に応じて何度か繰り返します。接点復活剤によって接点が洗浄され、接点の保護皮膜が形成され、接点が復活します。
※ポットやフェーダーにおいて、この方法が使えるのは、パーツ内部の抵抗体にアクセスできる構造である場合に限ります。モールドで密閉されているようなポットは、交換以外に方法がありません。
また、エレクトリックギターやベースに使用されているフォンコネクタ、端子がむき出しになっている開放型(SWITHCHCRAFT製のものが代表的)の場合は別の方法もあります。このタイプの端子は金属を折り曲げて成型されており、スプリングのような構造になっています。使用しているとスプリングの効果が甘くなって復元力が低下し、端子自体が変形していく場合もあります。つまり、端子の位置や変形により接点が失われる事になります。この場合、細いプライヤーを使用し、端子自体の曲げなおしを行うと、接点が復活する場合があります。
力加減や端子の角度、曲げ方等かなり繊細な作業となりますので、場合によっては症状が悪化する場合もあります。接点復活剤で直らない場合、あきらめる前に応急処置として、試してみる程度で行うのがよいでしょう。ちなみに、修理の現場では、この方法も実際に行われています。
新品のプラグやジャックでも接触不良が起こる場合があります。例えば、普段は問題ないのに、特定の機材を使用する時だけ、音切れが発生するというような問題です。これはプラグとジャックの相性というもので、まれに発生してしまう問題です。どちらも良品のため単体では修正のしようがなく、特定の状況以外では症状が再現しませんので、厄介なものです。こういったリスクを減らすために、プラグとジャックのメーカーを一致させるという考え方が存在します。プラグやケーブルを選別する先、そういう事情もあることを覚えておくことにより、適切な対処を考えることができます。
カテゴリーから探す
ブランドから探す
ブランド一覧を見るアフターサービス
© Sound House