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誌上レポート RODE M3

RODE サウンドハウス 誌上レポート RODE M3
by Nick Casares / Recording誌 2008年 4月

スタジオからステージまで、マイキングを容易にするコンデンサーマイク

RODE M3M3はあらゆる用途に対応するRODEの新しい小型ダイアフラムコンデンサーマイクです。
スタジオ、ステージ、そして放送など様々な用途に対応できる万能型のマイクロフォンとしてM3は位置づけられます。
私はスタジオ作業が多いのですが、ライブレコーディングやラジオ放送の仕事をすることもあって様々な用途でマイクへの要求が異なる事も判っていたので、200ドルにも満たない価格ながら「何でも録ってみよう」というアプローチを持つM3に興味を持ちました。

What it is


RODE M3の特徴は、頑丈なメタルボディー、3つのPADスイッチ(0,-10dB,-20dB)、そして切り替え可能なハイパスフィルター(80Hz, 12dB/Oct)です。マイクプリアンプからの24V-48V、もしくは9Vバッテリーで電源を供給します。頑丈なキャリングケース、マイクホルダー、そしてウインドスクリーンが付いてきます。

In use

私はM3をドラム、ギター、ボーカル、パーカッション、そしてトランペットなど様々な音源と共に、まずはスタジオで試してみました。音質的にはハイエンドが若干あがっていて、ミッドレンジのレスポンスが良く滑らかなキャラクターのサウンドです。レスポンスは完全にフラットと言うわけではありませんが、どの楽器、音源に使っても、簡単に素晴らしい音をとることが出来ました。M3は、そのピックアップパターンから音源から遠ざかると、周波数特性がすぐに下がっていきます。高域も低域も0ポイントから均一に落ちていき、オフアクシスで変にピーキーになる事もありません。
優れたトランジエントレスポンスも特徴で、聴きづらい、貧弱なサウンドになりがちなシンバルやアコースティックギターの音をくっきりと捕らえることができました。特にタムとスネアで使用した時はスティックの違いまではっきり聞き取る事が出来、気に入りました。音の大きいエレキギターとトランペットのレコーディングをした時でも歪むことなく、均一なレスポンスを維持することが出来ます。

ボーカルに関しては、特にミッドレンジの抜けが良いと思います。録音したボーカルは過剰にEQで調整したりする必要も無く、クリアーで、簡単にミックスすることができました。声の種類によっては歯擦音が気になる事がありましたが、少しディエッシングをする事で簡単に取り除くことができて、全体のボーカルトーンは良くなりました。一つだけ注意しておきたいのが、RODE WEBサイトでは、ウインドスクリーンを使用すれば、ハンドヘルドマイクとして使用するのにも適しているデザインだとしていますが、私の意見では、人間工学的にM3はその様な用途には適していないと思います。いざと言うときに使うことは出来ると思いますが、最適な用途ではないと思います。


Suited for live

RODE M3 実際にライブ、またはブロードキャスティングにM3を使用する機会はありませんでしたが、これらの用途でM3を使ったとして、いくつか考えた事があります。まず私が様々なライブの環境で録音してきたなかで、期待するマイクのひとつの特徴としては、ステージ上で他の音源、楽器からの音を拾ってしまわない様、タイトな指向性を持っていることがあげられます。M3は単一指向性と、優れたオフアクシスのリジェクションにより、まさにその条件に当てはまっていると思います。

9Vバッテリーの電源オプション、軽くて頑丈なデザインは、フィールドレコーディングの環境にもうまく合います。M3はライブやプロダクションなど様々な環境で使用できるマイクとして私の中では高いランクをつけたい一本です。一点だけ些細な不満があるとすれば、その見た目に対する個人的な好みの問題です。抑え目の黒のメタルボディーとグリルはライブエンジニアやビデオグラファーには好意的に受け止められるかもしれませんが、スタジオエンジニアにとっては地味で驚きのないデザインとも思えます。繰り返しますが、これは個人的な主観の問題であり、その素晴らしい性能とはまったく関係のない事ではあります。

What's not to like

全体として、M3で気に入らない点を探すのは難しいと思います。もちろん、音源に極上の色を加える事が出来るようなビンテージのチューブマイクにとって代わるものではありませんが、クリーンでリアルなレコーディングを行う事ができる非常に素晴らしいマイクです。高額なプライスタグはついていませんが、使い込むことの出来る便利な一本となるでしょう。RODEがリーズナブルな価格でよいサウンドを持つマイクを目標としてM3を作ったのだとしたら、彼らはその目標を達成したと言えるのではないでしょうか。スタジオでの1本目に、ツアーでのバックアップ用に、そしてフィールドレコーディング用のマイクとして、M3は手の届く価格帯で最良のサウンドが欲しい時、どこでも歓迎されるマイクです。
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