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RODE / NT1-A レビュー - Andy Stewart

PRODUCT REVIEW

NT1-Alarge-diaphragm condenser microphone

AudioTechnology誌

by Andy Stewart

オリジナルNT1に大幅な改良が加えられました。

オーストラリアに本社を置くRode社には、2000年に開催されたシドニーオリンピックの熱狂がいつまでも続いているような、刺激的な雰囲気があります。それがいまだに社員に影響しているように思えます。Rhodesの郊外にあるオリンピック会場の敷地内に拠点を移動してから、Rode社は将来のマーケットをあまり考えず、新しい製品を次々と生み出してきました。そして金メダル級の性能を誇る新製品が、Rode社の陸上トラックスターNT1をアップデートして生まれました。それがNT1-Aです。

まず最初に、オリジナルのNT1を知らない方のために、NT1-Aの基本性能について説明します。NT1-Aはラージダイアフラム、サイドアドレス・カーディオイド・パターンを持つコンデンサーマイクです。ゴム製のハウジングに固定された1インチ金メッキカプセルを、頑丈な金属ボディーにうまく安定するよう収納しました。NT1-AはローカットやPadスイッチを装備しないシンプルなデザインです。

ちょっと見たところNT1とほとんど区別がつきませんが、内部に細やかな改良が行われています。従来の抵抗、コンデンサー、ICがどのようなものか知っている方は、オリジナルのNT1に搭載されている部品が、普通のコンデンサーマイクのプリント基板に載っているものと代わり映えしないと思うでしょう。見慣れた部品が通常のやり方で配置されているだけです。しかしながら、NT1-Aはちょっと違います。

NT1の設計を見直し、新しいサーフェスマウント・テクノロジーを採用した結果、音質と性能を大幅に改善したのです。両方のモデルにプリアンプを使用して60dB増幅した簡単なテストでは、NT1に若干のセルフノイズ(13dB)がありましたが、NT1-Aにはほとんどありませんでした。実際は5dBの固有ノイズがありますが、5万円以下のマイクではセルフノイズとして最低レベルです。Neumann U47と比較しても5倍程度低いです。NT1からNT1-Aに変えると、オーディオトラックにノイズリダクションを加えるのと同じような効果が得られます。違いは明らかで、「サー」というノイズがなくなります。着ているシャツのすれる音や包装紙がガサガサする音が聞こえるまでボリュームを上げてヘッドフォンで聴いていたとしても、セルフノイズはほとんどありません。NT1-A最大の特徴は、十分低いセルフノイズであるにもかかわらず、感度が高いという点です。静かなサウンドソースのレコーディングやバックグラウンド・ノイズが出ているような環境(非常に静かなスタジオ)に最適です。

さらに外観においても、NT1-Aには違いがあります。NT1で使われていた、病院をイメージするようなグレイをやめ、サテンニッケル仕上げに改善しました。グリルは二つ並べて見比べないと分からない程ですが、少し大きめになっています。

音質的にはNT1より高域が強調され中域が抑えられています。よりスムーズで使い心地の良い、ボーカルと弦楽器に最適なマイクに仕上がっています。個人的には全体的なサウンドに成熟性が欲しいところですが、この価格帯でそれを望むのは少し難しいかなと思います。価格はNT1と同等ですから、予算にも合い、これから急速にNT1に置き換わっていくのではないかと思います。

新しいサーフェスマウント・テクノロジーにより改善された点がいくつかあります。ダイナミックレンジが広がり、少し高めの最大SPL(137dB)と感度が上がった点です。1つ指摘するとすれば、マニュアルにある周波数特性グラフの縦軸の最大値が±40dBであることです。このスケールでは大きすぎてレスポンスカーブが一見フラットに見えてしまい、グラフとしては意味の無いものになっています。これはRodeだけの問題ではなく、他のマイクメーカーにも言えることです。

シンプルでコストパフォーマンスの高いコンデンサーマイクを求めている方に、NT1-Aはぴったりの選択です。幅広いレコーディングに対応できる高性能マイクの1つとなっています。ノイズが少なく、比較的安価で低レベルのサウンドソースをデジタルフォーマットで録音するのに最適です。レコーディングにノイズを乗せたくないなら、ノイズレベルの低いマイクとプリアンプが必要ですが、マイクにはNT1-Aを使用してみてください。おそらく、ノイズはほとんど聞こえないでしょう。

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