SENNHEISER(ゼンハイザー)は1945年に創業されたドイツの音響機器メーカー。世界中のレコーディングスタジオや放送局でマイクやヘッドホンが使われています。世界で初めてオープン型ヘッドホンをリリースしたのもSENNHEISERでした。
現在ではオーディオリスニング向けのイヤホン・ヘッドホンで大きなシェアを占めるほか、プロフェッショナル向けのイヤホン・ヘッドホンでも多くのスタンダードを生み出しています。
このページでは、SENNHEISERの音楽制作・業務用音響向け(プロ向け)カナル型イヤホン、IE 100 PRO、IE 400 PRO、そしてIE 500 PROについて紹介します。ご自分に適したイヤホンを選んでみましょう。
SENNHEISERモニターイヤホンは音を出す部分である「ドライバー」において、「シングル・ダイナミック・ドライバー」という共通のコンセプトを採用しています。
スタジオで使われるモニタースピーカーは、複数のユニット(マルチユニット)によって広い帯域での高い再生能力を確保します。ひとつのユニットで全帯域をカバーする「フルレンジ」型ユニットは、再生能力がマルチユニットに対して劣る傾向があるため、あまり採用されません。
同様の理由でイヤホンでもマルチウェイ・ドライバーが多く採用されますが、イヤホンの小さなハウジングの中では分割されたユニットのコントロールが困難であり、ドライバー同士の共振や、音の繋がりの違和感などの問題が発生しやすくなります。
SENNHEISERのシングル・ダイナミック・ドライバーは、マルチウェイ・ドライバーの欠点を持たず、かつ、シングルながらも広い周波数特性を実現しています。
また、他社では「バランスド・アーマチュア型」が多い中、「ダイナミック型」という最もシンプルな構造を採用。ダイナミック型かつシングルドライバーという「実現できそうでできない構造」がSENNHEISER最大の特徴です。
3機種ともに素直で脚色がなく、ワイドかつフラットという、モニタリングに適した音を実現しています。
SENNHEISERモニターイヤホンは、ドライバーを耳に入れてから耳たぶの上をまわすように装着する独特のイヤーフックを採用。激しい動きでも落ちにくいイヤホンを実現しています。
ハウジングの形状も主張が弱めのデザインを採用しているため、ステージで過度にイヤホンが目立つことがありません。特にクリアーモデルはステージに最適な「目立たないイヤホン」です。
プロ用途の場合は長く使えること、汎用性があることも重要な選定基準になります。3機種ともに独自コネクターによる着脱式ケーブルを採用し、不意の断線においてもパーツ交換が可能です。
次の公演への移動中はIE PRO Bluetooth Connectorに換装してワイヤレスイヤホンに。
IE PRO Bluetooth Connector
IE 100 PRO / IE 400 PRO / IE 500 PRO に対応するワイヤレスアダプター。
IE 400 PRO / IE 500 PROについては左右のユニット単体でも販売しているため、故障・破損した場合も片側のドライバーだけを交換することができます。
比較表とともに各モデルの概要を紹介していきます。
IE 100 PRO | IE 400 PRO | IE 500 PRO | |
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ドライバー | 10mm シングル・ダイナミック・ドライバー |
7mm シングル・ダイナミック・ドライバー |
7mm シングル・ダイナミック・ドライバー |
TrueResponseテクノロジー | あり | あり | |
磁界強度 | 1.63mT | 2.0mT | 2.0mT |
周波数特性 | 20Hz~18kHz | 6Hz~19kHz | 6Hz~20kHz |
歪率 | 0.1%以下 | 0.08%以下 | 0.08%以下 |
感度 | 115dB | 123dB | 126dB |
抵抗値 | 20Ω | 16Ω | 16Ω |
カラーバリエーション | クリア、レッド、ブラック | クリア、スモーキーブラック | クリア、スモーキーブラック |
IE 100 PROは、エントリーモデルながらもシリーズ共通コンセプトを押さえたコストパフォーマンスの高いモデルです。20Hz〜18kHzというワイドな周波数特性を誇り、コンパクトなボディからは想像できないタイトでしっかりとした低音を聞くことができます。
歪率は0.1%以下と非常に低い数値に抑えられており、大音量でモニターした場合でも歪みを感じないクリアなサウンドが特徴です。イヤホンにおいて歪率は開示されないことが多いのですが、歪みの少ないサウンドはSENNHEISERの特徴でもあるため、エントリーモデルのIE 100 PROでさえ歪率が開示されているのです。
上記機種と同じオプションに換装すれば様々なシチュエーションに対応可能。弾力性の高いフォームアダプターはMサイズのみ付属しますが、S/Lを別途購入することでより高い遮音性を試すことができます。
また、IE 100 PROのみIE Bluetooth Connectorとのセット製品、IE 100 PRO Wirelessがラインナップされています。ワイヤード・ワイヤレスの両方で使いたい場合は最初からセットを購入することができます。
すべてのスペックでIE 100 PROを上回るスタンダードモデルがIE 400 PROです。最大の特徴は最上位機種IE 500 PROと同じ「7mmシングル・ダイナミック・ドライバー」を搭載していることです。
True ResponseテクノロジーによりIE 100 PROを上回る低歪率(0.08%以下)を実現し、均質で歪みのない音を実現しています。周波数特性も人間の可聴範囲を超える6Hzの低域から、19kHzの超広域までカバーしています。
シリコン及びフォームアダプターはS/M/Lの3種類、合計6種類が付属する他、キャリングケースもセミハードタイプが付属しています。まさにプロが現場に持ち運ぶためのイヤホンです。
さらに高いパフォーマンスを誇る最上位モデルがIE 500 PROです。ドライバーはIE 400 PRO同様のTrue Responseテクノロジーを備えた「7mmシングル・ダイナミック・ドライバー」ですが、ハウジングや設計に磨きをかけたことにより、IE 400 PROより広い6Hz〜20kHzという超ワイドな周波数特性を実現しています。
感度もシリーズ最大の126dBとなっており、最も大きな音量での再生が可能。最も大音量でありながら最もクリアなサウンド、それがIE 500 PROです。
ケーブルはIE 100 PRO / IE 400 PROではオプション設定となっているツイストケーブルが付属。外から見たときの質感も最上位モデルに恥じない品質を提供しています。
まずはIE 100 PROかIE 400 PRO / IE 500 PROのどちらにするかを選びましょう。IE 400 PROはすべてのスペックでIE 100 PROを上回るため、予算が許せばIE 400 PROをお勧めします。
ミュージシャンなどステージ用途の場合はIE 100 PROがお勧めです。ステージで使用していく中で遮音性を高めたい場合はフォームアダプターを追加購入して調整してみましょう。IE 100 PRO購入後にIE 400 PRO / IE 500 PROのドライバー部分だけ購入することも可能です。
PAやMAエンジニア、ミキシングの確認用など、音を作る側のプロフェッショナルであればIE 400 PROを検討しましょう。予算が許せばグレードアップしてIE 500 PROを選ぶのが良いでしょう。この2モデルはドライバーの単体販売があるため、故障時の対応が容易です。
購入後に現場以外での利便性を高めるIE PRO Bluetooth Connectorを追加購入するのがオススメです。ワイヤードとワイヤレスの双方を持ち運ぶことで、移動から現場まで、いつも同じ音でのリスニング・モニタリングを行うことができます。
ご自身の予算や用途にあわせて最適なモデルを選んでみてください。