KH モニタースピーカー
Neumannは、スタジオマイクロフォンで有名なドイツのメーカーですが、極めて優秀なモニタースピーカーメーカーでもあります。
NeumannのKHモニタースピーカーのラインナップは、KH 80 DSP、KH 120、KH 310、KH 420からなる4種類のパワードモニタースピーカーとKH 750 DSPとKH 810、KH 870の3種類のサブウーファーから構成されています。
Neumannは、モニタースピーカーの精度の一つをフラットな周波数特性と捉えています。KHモニタースピーカーは、全製品を無響室で測定して、決められた偏差値以内に調整して出荷しています。
下記に示すのは、4機種の無響室での周波数特性です。
極めて、フラットな周波数特性であることが確認できます。
KH 420 | KH 310 | KH 120 | KH 80 DSP | |
---|---|---|---|---|
低域再生周波数 (-3dB) | 26Hz | 34Hz | 52Hz | 57Hz |
KHモニタースピーカーは周波数特性がフラットであるだけでは充分でありません。フラットな特性と同時に、歪みも排除しなければなりません。
KHモニタースピーカーはフラットな周波数特性ですが、残念ながら、無響室でない限り、設置するルームアコースティックやスピーカーを設置した環境で生じる反射や干渉で、リスナーへ届く周波数特性は大きく変化してしまいます。
この現象が原因で、音がくもって聴こえたり、楽器のニュアンスが再現できないことが起こります。
このルームアコースティックの問題に対しては、壁や天井、床に吸音素材を配置したり、スピーカーの設置場所を変更したりしますが、抜本的な解決はなかなか難しく、時間や手間が掛かります。
KHモニタースピーカーでは、それぞれにスピーカーの設置環境を補正する機能を持っています。それが、「Acoustic Control」です。
KH 80 DSPでは右図に示すように、4つの設置場所を想定しています。
KH 120では左図に示す通り、3つの帯域毎にフィルターが用意されています。
スピーカーの設置環境毎に、マニュアルに従って、フィルターの設定を変えることで、前述のルームアコースティックの影響を、軽減することができます。
「Acoustic Control」は、スピーカー本体に付属している効果的な機能です。
KH 80 DSPやKH 750 DSPに内蔵しているDSP機能を利用するために開発されたiPad専用のアプリです。アプリは無償です。
このNeumann.Control for iPadは、2つの使い方ができます。
このNeumann.Control for iPadを利用するには、iPadの他にワイヤレスLANスイッチやLANケーブルが必要です。
また、次に説明するMA 1ソフトウェアとの互換性が無いので、あくまでも別々にしか利用できないことをご承知置きください。
Neumann モニタースピーカー専用に、測定マイクロフォンMA 1とMA 1ソフトウェアを開発しました。このシステムを使って、KH 80 DSPやKH 750 DSPではオートアライメント(自動調整)が可能となります。
この仕組みを利用するには、測定マイクロフォンMA 1以外に48vファンタム機能を持つオーディオインターフェイスとWindows10/64bitか、MacOS 10.13、10.14、10.15または11.0のPC、それとPCとDSP搭載のスピーカーを接続するためのネットワークスイッチとCAT5のネットワークケーブル、また、測定マイクロフォンMA 1を設置するためのマイクスタンドが必要です。
MA 1ソフトウェアは、NeumannのWebサイトからダウンロードできます。アプリは無償です。
ただし、MA 1ソフトウェアは、測定マイクロフォンMA 1の個体データが必要です。
また、調整が可能なのはNeumann モニタースピーカーに限られます。MA 1ソフトウェアは英語版のみですが、画面表示に従うことで、調整を行うことができます。
KH 120やKH 310、KH 420の3機種はDSPを搭載していませんが、KH 750 DSPを通じて接続することで、MA 1ソフトウェアを利用することができます。
このMA 1システムは、世界有数の音響処理研究機関であるフラウンホーファーIISとNeumann社が共同で開発しました。
Neumannモニタースピーカーについては、製品担当Markus Wolfのインタビューをご参照ください。
モデル | KH 80 DSP | KH 120 | KH 310 | KH 420 |
---|---|---|---|---|
周波数特性 (±3dB) | 57Hz~21kHz | 52Hz~21kHz | 34Hz~21kHz | 26Hz~21kHz |
ウーファー径 | 100mm | 130mm | 210mm | 265mm |
低音域アンプ出力 | 120w | 80w | 210w | 330w |
ミッドレンジ径 | 75mm | 75 mm | ||
中音域アンプ出力 | 90w | 140w | ||
ツイーター径 | 25mm | 25mm | 25mm | 25 mm |
高音域アンプ出力 | 70w | 50w | 90w | 140w |
寸法 | 233 x 154 x 194mm | 277 x 182 x 220mm | 253 x 383 x 292mm | 645 x 330 x 444mm |
重量 | 3.5kg | 6.4kg | 13.0kg | 35.0kg |
スピーカーまでの推奨距離 | 1m~2m | 1m~2m | 1m~2.5m | 1.5m~3m |
モデル | KH 750 DSP | KH 810 | KH 870 |
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周波数特性 (±3dB) | 18~750Hz | 18~300Hz | 18~300Hz |
ウーファー径 | 265mm | 265mm | 265mm x 2 |
アンプ出力 | 256w | 200w | 400w |
クロスオーバー周波数 | 80Hz | 80Hz | 80Hz |
適応システム | 2.1ch ベースマネージメント | 7.1ch ベースマネージメント | 7.1ch ベースマネージメント |
寸法 | 383 x 330 x 383mm | 360 x 330 x 645mm | 735 x 330 x 645mm |
重量 | 19.5kg | 26kg | 47.1kg |
小さなスタジオには、KH 80 DSPやKH 120がおすすめです。
コンパクトなスピーカーにも関わらず、タイトでパワフルな低音をドライブします。
KH 80 DSPなら、MA 1マイクロフォンを用いてオートアライメントも行えば、よりクリアなサウンドが手に入ります。
KH 120は、KH 750 DSPを加えれば、ラージモニタースピーカーにも劣らないビッグサウンドが手に入ります。
右の写真はロンドンにあるThe Qubeスタジオの1室です。
どのKHモニターもおすすめです。
Neumannモニタースピーカーは、統一されたサウンドなのでどのモデルを利用しても、イメージが保持できます。
KH 310やKH 420は同じイメージの中、より高い解像度のサウンドを提供します。
KH 310やKH 750 DSPをおすすめします。これらのKHモニターは、低音域を密閉型です。密閉式は、バスレフ型に較べてタイトでキレの良い低音が再生可能です。
EDMの重低音やクラシック音楽での低音楽器がより魅力的に感じられます。
右の写真は、ロンドンのメトロポリススタジオのサラウンドスタジオの姿です。
Neumannスタジオモニターは極めて優れた位相特性を有しているので、没入型サラウンドシステムのモニタリングに最適です。
詳しくは、下記URLをご参照ください。
Neumann Monitors For Immersive Audio At Metropolis Studios / Londonこの他、スピーカーそれぞれにオプションをご用意しています。
https://ja-jp.neumann.com/file-finder?product=KH%2080%20DSP%20A%20G&category=monitorsオートアライメントMA 1システムをお得にご利用いただくためにKHモニタースピーカーとMA 1を組み合わせた「アライメントキット」をご用意しました。なお、このキットは予定数の販売を持って終了とさせていただきます。
※ このキットは既にKH 80 DSP、KH 120、KH 310、KH 420をお持ちの方に有用です。