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Pioneer DJ モニタースピーカー VM SERIES

Pioneer DJ モニタースピーカー VM SERIES 開発者インタビュー

DJプレイや楽曲制作に求められる、低音から高音までクリアで正確かつ迫力のある音質を実現したモニタースピーカー

明瞭でハイスピード、なおかつローエンドまでしっかりと伸びた低音再生を実現するアクティブモニタースピーカー「VM シリーズ」が2021年4月に発売開始。既に高い評価を得ている「S-DJ Xシリーズ」の特徴を継承し、トップDJ機器ブランドならではの、まるでクラブにいるような臨場感、ダンスミュージックのDJプレイ・楽曲制作に適した音響環境を実現している。
新機能「DSP CONTROL」採用、クラスDアンプを搭載した点やアラミドウーファーコーン振動板を採用するなど、高音質を追求した設計が施された本モデル。開発にはどのような思いが込められてきたのか、開発チームに伺ってみました。

Pioneer DJ モニタースピーカー VM SERIES 開発チーム
インタビューにご協力いただきましたAlphaTheta株式会社VMシリーズ企画、開発チーム
鈴木さん(写真右)、湯浅さん(写真中央)、井上さん(写真左)

従来シリーズから進化したポイントは?

「VMシリーズ」はDJプレイや楽曲制作に求められる、 明瞭でハイスピードかつローエンドまでしっかりと伸びた低音再生を実現するアクティブモニタースピーカーです。
DSP CONTROL機能を搭載したことにより、さまざまな用途や設置環境に応じたお好みの音響に調整できるようになりました。DJプレイ時は低音を持ち上げることでよりクラブの臨場感を演出し、楽曲制作時はフラットな音に調整して音の構成を正確に聴き分けるなど、簡単かつ直感的に使い分けることができます。

また、近年SNSを介した個人での画像や映像の投稿・配信が普及していることから、自宅で使用するモニタースピーカーのデザイン性の高さも重要視し、精緻な音像やパワフルなグルーブ感を表現したシンボリックな六角形のアルミニウム製フロントバッフルを搭載しています。また、この厚さ4㎜の強固なアルミニウム製フロントバッフルは、不要な振動を低減し正確な音を実現します。

他シリーズとの比較をまとめると、「RMシリーズ」は高解像度の音源を正確にモニタリングできる楽曲制作用モニタースピーカー、「DMシリーズ」はDJや楽曲制作を自宅で楽しく行えるコンパクトサイズのホビーDJ向けアクティブモニタースピーカーとなっています。

S-DJシリーズから受け継がれた点というのは?

「S-DJシリーズ」から受け継いだのは1インチのシルクドームツイーターのみで、スピーカーキャビネット、4㎜厚アルミニウム製フロントバッフル、ボルテックスバスアクセラレーター、ウーファーコーン振動板、電源、アンプ、DSP処理といったすべてを、一から見直して開発しました。

動画にも登場する「FIND YOUR FREQUENCY」とは?

背面の2種類のノブにて周波数特性の切り替えが可

まず、スピーカーの設置の仕方や室内音響が悪いと、その性能が十分に発揮されない場合があります。そのうえで、楽曲制作とDJ演奏では求められる音が異なります。さらには、お客様それぞれの好みの違いもあります。DSP CONTROL機能を搭載することで、さまざまな用途や設置環境に応じたお好みの音響に調整できるように開発しました。

楽曲制作では、ニアフィールドで使用し、原音に忠実なサウンドを解像度高く再生して、音量・バランス・定位・エフェクトのかかり具合などを正確に確認できることが求められます。
一方で、DJとして演奏する場合は、しっかりとしたパンチの効いた太い低音域の再生と、強調されたベースライン、ゴージャスで豊かなサウンドが求められます。全体的に厚みがあり、フェスやナイトクラブでオーディエンスを高揚させるような鳴りです。

以前のモデル「S-DJシリーズ」ではツイーターのレベル変更(+1~-2dB)ができましたが、それは単純なアッテネーターで、音響調整には限界がありました。
今回の「VMシリーズ」では低音と高音でそれぞれに独立した4種類の周波数特性パターンをプリセットしています。実際に使用される現場を考慮し、また、国内外の多くのプロデューサーやDJの意見を参考にし、EQカーブの設定、音質チューニングには多くの時間を費やしました。
世界中のフェスやナイトクラブを知り尽くし、また楽曲制作機器も開発している我々がもっとも得意とするところです。

そもそもDSP CONTROLとはどういった仕組みで行われているのでしょうか?

周波数特性の種類は高域・低域で各4

DSPのメモリー領域の中に、低音と高音でそれぞれに独立した4種類の周波数特性パターンをプリセットしています。
そのため、組み合わせで16通りの設定が選べます。選択できる設定の種類があまりに多すぎると、自分の望んでいる音がどのようなものなのかわからなくなってしまうので、低域・高域それぞれの選べる特性は4種類としました。

また、音楽を楽しんでDJするときと楽曲制作に対峙するときであったり、大きな音の出せる昼間と低音が出せない真夜中といったりと、一度設置した後も一人のユーザーが設定を切り替えることが想定されます。
スピーカーを設置した状態のままでも背面に手を伸ばしていただければ、シンプルでわかりやすいセレクターノブを回すだけで、音響バランスを切り替えることができます。

搭載しているクラスDアンプについて教えてください。

クラスDアンプは一般的に電流ロスが少なく、電気変換効率が90%を超えます。一方で、クラスABアンプは50%程度しか電気変換効率がないため多くの電力が熱となって消費されてしまいます。すなわち、限られた電源パワーの中で出力できるオーディオエネルギーはクラスDアンプの方が大幅に大きくなります。そのため、近年、ハイパワーアンプや高い温度環境(カーオーディオ)での採用が増えてきました。

「VMシリーズ」のクラスDアンプは、低ノイズフロア、高効率を特長とする新世代設計です。スイッチング用FET内蔵のシンプルな回路構成で、高出力低歪み高音質を実現しました。また、ノイズレベルを大幅に下げたことで、クラスABアンプ同等の音質を実現しています。さらにDC保護、短絡保護、過熱保護及び過電流保護を内蔵した高品質設計ですので、安心してお使いいただけます。

ウーファーコーンに格子状の編み目が入っているのが特徴的ですね。

アラミド繊維を採用した新開発ウーファーコーン

コーン振動板の素材として、高い剛性と適度な内部損失を実現する理想の素材としてアラミド繊維を採用しています。以前のモデル「S-DJシリーズ」のアラミドファイバー・ウーファーコーン振動板では、振動板内部の共振を減衰させるために重量を重くしていましたが、そのために音の反応が遅いというデメリットがありました。

今回、「VMシリーズ」スピーカーで新たに開発したアラミドファイバー・ウーファーコーンでは、コーン形状とダストキャップの設計によって振動板内部の振動を減衰させつつ、振動板重量を30%軽くしたことでレスポンスを大幅に向上させることができました。これにより、小音量でも大音量でもレスポンスが早く、正確で豊かな中低音の再現が可能になりました。

従来機と比較して、ツイーターのホーンが大きいように見えますね。

ツイーターには新設計の定指向性ホーンを採用しました。定指向性ホーンとは、水平・垂直方向ともに、指向特性が周波数によって変化せず、均一な放射パターンが得られるホーンスピーカーのことです。これにより、前方の空間において均一でナチュラルな音で聴くことができます。

また、ツイーターのホーン部分の幅をウーファーコーンと同じ幅にすることで、低音と高音の交わるクロスオーバー帯域の滑らかな繋がりを実現しました。まるでフルレンジ・シングルスピーカーのようなフォーカスされた音像を作り出します。

バスレフポート(背面の穴)に凹凸があるのは、どういった目的ですか?

バスレフポートに搭載した独自の凹凸構造は、今回新たに開発したボルテックスバスアクセラレーターです。意図的に空気の乱流を発生させ空気抵抗を減少させることで不要な振動を排除し、素早いレスポンスかつしっかりとしたダイナミックな重低音を表現します。同様の流体制御技術は、航空機の翼や船舶、レーシングカーにも応用されています。

フロント面のパネル(バッフル)が独特的ですね。

シンボリックな六角形のデザインは、精緻な音像やパワフルなグルーヴ感を表現しています。アルマイト処理とヘアライン加工を施し、ラウンド部にはシャープなCNC加工を実施することで、圧倒的な美しさと品格をもたらします。重厚かつ端正に仕上げたアルミニウム製の金属プレートは当社のDJ機器のデザインにマッチし、スタジオなどのプロフェッショナルな現場からホームユースまでお使いいただけます。

厚さ4mmのフロントバッフル

しかし、このフロントバッフルは単なるデザイン性のための飾り板ではなく、厚さ4mmという非常に分厚い強固なアルミニウム製金属プレートですので、バッフルの不要な共振を抑えることで原音忠実に正確な音を再生します。
この価格帯のモニタースピーカーで、ここまで重厚なバッフルを採用しているモデルはほかにありません。

単刀直入に「VMシリーズ」はDJ向きでしょうか?それとも楽曲制作?リスニング向き?

「VMシリーズ」はDJプレイに適した音も、楽曲制作に適した音も、DSP CONTROLで切り替えることで簡単に使い分けていただけます。
たとえば、出荷状態の設定「L2/H2」は、楽曲制作に最適なフラットな音にチューニングしています。原音に忠実なサウンドをレスポンス速く、解像度高く再生でき、音量・バランス・定位・ベースの音程・エフェクトのかかり具合などを精密に把握することができます。

L1を選ぶことで低音帯域を抑え、中高域の楽器音を明瞭にすることができます。
L3は低音帯域が不足する再生環境で補正できる選択です。
L4はCLUB BASSと呼んでいます。まるでクラブにいるかのような臨場感あふれる重低音再生を実現します。

H1は高域が多いと感じる環境で高音を減衰させます。
H3は高音が足りないと感じる環境で高音を上昇させます。
H4は楽器音の高音のメリハリを付けたい場合に使用します。

組み合わせは16通りにおよび、再生環境や使用用途、お客様の好みに応じて、最適な音響設定をお選びいただけます。

壁や床からの距離など最適なセッティングはありますか?

まず設置場所ですが、部屋の中心線に左右対称な配置になるようにLR配置してください。
背面の壁からは最低でも30cm以上離してください。背面も側面も壁に近いと低音が多くなる傾向があり、離しすぎると低音が減少する傾向があります。好みのバランスの場所を探すことは最初に重要なセッティング方法です。

続いて高さについて。座って試聴する場合はスピーカーの高さは90cm~120cmを推奨しますが、立ってプレーする場合はその限りではありません。

リスナーは左右スピーカーの中心で試聴してください。理想的なステレオ再生を得ることができるからです。
またそれぞれのスピーカーはできるだけリスナーの耳に向けてください。
音量は許される環境によって変わりますが、VMシリーズは小さな音量からパーソナルな大音量まで柔軟に対応可能です。
もし、より大きな音量と広い再生帯域を求めるならVM-80を推奨します。
インシュレーターは付属のクッションでも十分楽しめますが、市販されているさまざまなインシュレーターやケーブルを選んで自分好みのサウンドを完成させることも楽しみの一つです。
スピーカーの設置環境やアクセサリの選択によって、VMシリーズの性能を最大限発揮いただけますと幸いです。

VM-50-W
VM-50-W
VM-50
VM-50
VM-70
VM-70
VM-80
VM-80
ウーファー 5.25インチ (133 mm) コーン 6.5インチ (165 mm) コーン 8インチ (203 mm) コーン
横幅 198 mm 229 mm 267 mm
高さ 300 mm 341 mm 400 mm
奥行 265 mm 312 mm 325 mm
本体質量 5.5 kg 7.7 kg 9.7 kg
再生周波数帯域 40 Hz - 36 kHz 37 Hz - 36 kHz 34 Hz - 36 kHz
最大SPL 107 dB 112 dB 115 dB
アンプ出力
(ダイナミックパワー)
DSP 搭載 Class D
LF: 30 W / 4 Ω
HF: 30 W / 4 Ω
DSP 搭載 Class D
LF: 70 W / 4 Ω
HF: 30 W / 4 Ω
DSP 搭載 Class D
LF: 90 W / 4 Ω
HF: 30 W / 4 Ω
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