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誌上レポート AUDIX MICROシリーズ

MODERN DRUMMER 誌
by Mark Parsons/ 2006 11月

 
AUDIX Micro Series “Tiny, But Mighty”

 AUDIXよりドラムやパーカッションのマイキングに最適な新しいミニチュアコンデンサーマイクの登場です。写真を見れば「あぁ、またクリップオンのミニマイクが出るのか」と思うかもしれません。ところが、これはただのミニマイクではないのです。

新世代のクリップオン・ドラムマイク

 AUDIX Microシリーズは一見、昔ながらの伝統的なマイクのように見えますが、実はとても革新的なマイクです。まずこの小さいマイクが製品の全てであるという事。つまり、電源アダプターや電気回路を別途ケーブルで接続する必要がないのです。ケーブルに関して言えば、Microに付属するケーブルは、マイク側にミニXLRメス、反対側に標準XLRオスコネクターを装備しています。これだけで、Microシリーズは独自の新しいカテゴリーに入るマイクであるといえます。Microシリーズは取り外し可能なケーブル、内蔵プリアンプを搭載した世界最小のコンデンサーマイクです。AUDIXのラージダイアフラム・コンデンサーマイク、SCX25Aは発売後すぐにピアノやドラムのオーバーヘッド、アコースティックギター、そしてボーカル用マイクとして、プロのレコーディング現場でのスタンダードとなりました。このSCX25Aで使われているプリアンプ回路と同じものがMicroシリーズにも使用されています。
 
MODEL VARIATIONS
AUDIX Micro Series
 Microシリーズには3種類のベーシックなモデルがあり、さらに各モデルに指向性の異なるバリエーションのマイクが用意されています。M1245は直径1/2インチ以下で、長さ1と7/8インチ。その名の通り、約12mm x 45mmというサイズで、カーディオイド、ハイパーカーディオイドのバージョンがあります。外観の違いはカプセル上にグレーで記された小さなシンボルだけです。
M1290は長さが2倍である事を除けば、見た目上はM1245との違いはありません。カーディオイド、ハイパーカーディオイド、スーパーカーディオイド、そして無指向性のバリエーションがあります。M1290はより低音部が拡張されるようなデザインになっています。(M1245の周波数特性が最低80Hzなのに対し、M1290は最低40Hzとなっています。)
 いずれのモデルも充分に感度が良く、SPLは最大138dBとなっていますが、最大144dBのSPLに耐える低出力タイプ、1244も用意されています。このモデルは特にドラムのクローズマイキングや、音圧が高いソース用にデザインされています。ボディに刻まれたモデルナンバー以外はM1245と見た目は同じくなっており、カーディオイドとハイパーカーディオイドの2種類が用意されています。
 Microシリーズは全て同じ構造をしており、ブラス・ボディにマットブラックのフィニッシュはプロフェッショナルな雰囲気を醸し出しています。カプセルはボディに装着されており、フィールド交換が可能です。
 M1245はナイロンのポーチ、M1290には木製ケース付いてきます。両製品ともにマイクスタンド用アダプターが付属します。M1244は、特別な用途に向けてデザインされている事から、Dvice-MicroとDclamp-Microが付属しています。前者は簡単に取り付けができるスプリング付きフープ・クランプにグースネックとミニチュア・ショックマウントが付いています。後者は同じくグースネックとショックマウント付きで、ハンドドラムのテンションフックにマイクを取り付ける事が出来ます。またMicroシリーズの各モデルには3.6mミニXLR-標準XLRのケーブルが付属します。


IN USE

AUDIX Micro Series 以前私たちはMicroシリーズの中から最もドラムに適したモデルをテストしてみました。それはM1244のカーディオイド、ハイパーカーディオイドタイプ、そしてM1290のカーディオイドタイプです。M1290は同じくAUDIXの新商品Microboomを使ってテストしました。Microboomは両端にコネクタを内蔵した革新的な超軽量カーボンファイバー製のマイク・ブームです。(このアイテムに関しては後で詳しく説明します)。ドラムセットの様々な部位でMicroシリーズをテストするに当たり、我々は同じような用途で用いられる他のマイクの隣でもテストしてみました。オーバーヘッド用を除けばそれは概してダイナミックマイクでした。
 まずはDvice-Microを使って、カーディオイドのM1244を12インチ・タムにマウントしてみました。このクランプを使えばマイクをドラムに取り付けることも簡単です。スプリングの付いた開口部をフープに引っ掛けるだけで、取り付けは終了です。グリップは手で締め付けるタイプのものほど強力ではありませんが、それでもレビューの間、滑り落ちることなくしっかりと固定されていましたし、この取り付けの簡単さがこの製品を特に魅力的なものにしていると思います。
 我々はヘッドの数インチ上、フープ上から斜めに下を向くようにM1244をマウントしました。そのサウンドはクリアーでナチュラルなものでありながら、力強くリアルな低音と、ほどよいトランジエントを持つ高音を伴っています。もう一つのMicroの優れている点は、サウンドに存在していないものに隠されています。Microでは他のダイナミックマイクで聞かれるような人工的なブーミーさが低音部になく、また、小さなエレクトレット・コンデンサーマイクの高音部にみられる、耳障りでベチャッとした感じもありません。ドラム用として使われる従来の小さなダイナミックマイクは通常もう少し中低域がブーストされていますが、M1244の明瞭さに比べるとメリハリにかけるものです。その他のミニ・コンデンサーマイクについて言えば、低音に頼りすぎている事があると思います。
 この小さなコンデンサーマイクの透明度と忠実さは、ドラムセットの他楽器の被りからも明らかです。例えば、M1244をタムにマウントした際のキック、スネア、ハットの被りはとてもナチュラルで音楽的なものです。(軸外特性が真っ直ぐで、トランジエント特性も良いです)ドラムセットのほぼ全てのマイクが、ある程度はセット全体の音を拾ってしまうことを考えると、これは全体のサウンドをプロ・クオリティーに仕上げるために極めて重要な要素であるといえます。
 16インチのタムでも同じように、力強く且つ自然な音とスティックのアタックが良く効いた、良質で透明感のあるサウンドを得る事ができました。ハットの足元の”チッ”という軸外の静かなサウンドもリアルに、忠実に再現されます。スネアに関しても同じです。ドラムに近づけたマイクで、スネアの鳴りを完全に再現するだけでなく、ボトムのサウンドも得る事が出来ます。
 さらにDCLAMPを使ってM1244をコンガにマウントしましたが、これもまるで魔法のようにうまくいきました。正直言って、私はこの小さなコンデンサーマイクがいつも使用しているお気に入りのダイナミックマイクにかなうとは思ってはいませんでしたが、M1244は決して引けをとりませんでした。Microは期待通りメリハリのあるサウンドが録れるだけでなく、ほどよく暖かな低音を生み出す事が出来ました。
 いくつかのテストで私たちはM1244のカーディオイドバージョンとハイパーカーディオイドバージョンを比較してみました。両者の違いは僅かなものです。ハイパーカーディオイド・カプセルのマイクはサイド、主に60゜から120゜の軸外域のサウンドに若干強くなっています。音質に関しては両者はとても似ているので、一つのセット内で2つのタイプを使う事によって一つのサウンドを目立たせたり、違いを作り出す事は難しいでしょう。ハイパーカーディオイドの方がほんの僅かに低音から中低音域が乏しく、若干高音があるかもしれません。以上の事より、私はこのバージョンをスネアドラムに使用し、ハットの被りを除去するようにするのが良いと思います。

SONIC BOOMS

 オーバーヘッドのマイキングでは前述のMicroboomを使用しました。マイクロブームは長さが50”で超細身(直径1/4”)、重さも2.5オンスしかないカーボンファイバー製のマイクブームです。両端にミニXLR端子を搭載、二つの端子はマイクロブーム内部で高品質なモガミ製シールドケーブルでつながっています。Microboomはスイベルアダプタを使って、どのような、マイクスタンドにも着脱可能、マイク側は短いグースネックとなっており、マイクポジション、角度も自在に調整する事が出来ます。とてもよく考えられたデザインで、Microシリーズの全マイクをどんな場所でも、様々な方法でマウントする事が出来ます。レビュー用のMicroboomを使って様々なテストを行う事が出来ました。まず我々はMicroboomを標準のマイクスタンド2本に取り付け、2本のマイクをドラムセット上で、AB方式とXY方式の中間辺りの距離で、充分に音が分離するよう、お互い逆向きに角度を付けてセッティングしました。他には、AUDIX D6をキック・ドラムの約16インチ手前の位置にセッティングしただけで、他に位置取りの微妙な調整は全く必要ありませんでした。セッティングは全部で1-2分程しかかっていません。その後、より細かいテストを行う前にレベルの調整を行うべく、数分間の録音を行いました。
AUDIX Microboom
GETTING MORE WITH LESS

 ハイグレードなドラムサウンドを得るための言い伝えの一つに、”Great drums, great room, great mics, and don’t mess with it too much” 「素晴らしいドラム、素晴らしい部屋、素晴らしいマイクが揃っていれば、余計な手を加えるな」というものがあります。M1290はこの言い伝えをテストする機会を我々に与えてくれました。テストで使ったドラムセットはヘッドを張替えたばかりのもので、しっかりチューニングされており、テストを行った部屋は比較的良く響く部屋でしたがコントロールできない程ではなく、サウンドの”息吹”を充分感じる事が出来る大きさでした。
 マイクはどうでしょうか?再生する時は、EQ、コンプレッションその他一切のエフェクトを除去し、完全にフラットでドライなサウンドになるようにしました。3つのフェーダーを上げて出てきたその音に我々は驚愕しました。タムはブーミーさの無い、強力かつ深みのあるサウンド、シンバルもトップに潰れがなく、クリアーで明快です。そしてスネアはまさにそこにあるかのようでした。もしあなたがラウドで幾分アンビエントなドラムサウンドを求めているのであれば、これら3本のマイクだけで、他に何のプロセッサーも無しにプロ・クオリティーの録音ができるでしょう。
 他の人からのセカンド・オピニオンも聞いてみたいと思い、他の人達(シンガーとドラマー1人ずつ)にもそのサウンドを聞いてもらいましたが、まるでドラムが”ロック”しているように聞こえる、という事に対して二人から異論は聞かれませんでした。私自身あまりにそのサウンドに惚れ込んでしまったので、真偽の程を確かめたかったのです。私が良く知るもうひとつのオーバーヘッド用マイクで、M1290の3倍高価なドイツ製のスモールダイアフラム・コンデンサーマイクとも比較してみました。その結果はどんなものだったかというと、品質なレベルの違いは全く見られませんでした。その違いは、”どちらが優れている”という類のものではなく、好みの問題といえるようなものでした。M1290の方がほんの僅かに低音が押さえ気味で、マイルドな高音だったかもしれません。ただフルミックスでその違いを聞き分けることは難しいでしょう。
 もちろん、音楽のスタイルによっては1組のオーバーヘッドとキック・ドラム用のマイクだけでは取れないような、よりコントロールされたタイトなサウンドが必要とされることもありますが、バリエーション豊富に取り揃えられたMicroシリーズは、全てのオプションを与えてくれます。M1244をクローズマイクとして使用して各ドラムサウンドをコントロールし、それにオーバーヘッドを追加することも出来ますし、基本的なサウンドを録る事からスタートして必要に応じてクローズマイクを足していくこともできます。

FINAL IMPRESSION

 今までにも数々のミニ・コンデンサーマイクのサウンドを聞いてきましたが、それらのマイクに対していつも抱く印象は『こんな小さなマイクなのに良いサウンドだな』程度のものでした。Microシリーズに関しては全く異なる印象を持っています。もしあなたがAUDIX Microを見なかったとしたら、とても高品質な標準サイズのマイクで録った音だと思うでしょう。しかしMicroシリーズはこれだけの小ささでそれを可能にしました。ですから、素晴らしいサウンドを得られるのに加えて、取り回しのきくサイズのおかげで大幅な利便性も実現しているのです。AUDIX Microはこのクラスのマイクで最も安い訳ではありませんが、今まで聞いてきた限りでは、ベストなマイクかもしれません。
AUDIX Micro Series

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