RODENT1-A
オールジャンルに使える低ノイズのスタジオマイクが低価格で登場!  Electronic Musician 誌
2003年12月

NT1-A
私はここ数年でRODEマイクの虜になってしまったことを認めざるを得ないでしょう。その理由はRODEのエンジニア達が常にプロ仕様の音質を持つマイクを手頃な価格で提供し続けているからです。私は今までにNTVとNTKのレビューを書き、他に様々なレコーディングで何種類ものRODEマイクを使ってきました。そしてRODEのマイクはいつでも見事な働きをしてきました。
レビュー用に2本のNT1-Aが届いた時、私は本当に興奮しました。その時すでに新しくなったデザインと製造技術について話を聞いていたので、実際に自分の耳でその性能を確かめたかったのです。

OUTSIDE AND IN
 
ニッケル・サテン加工の施されたNT1-AのボディーはNeumann U87を思い起こさせます。さわった感触はしっかりとしていますが、重量は驚くほど軽量です。他のRODEマイク同様、ボディー上部に金の印があり、こちら側を音源に向けて設置します。NT1-Aは他のコンデンサー・マイクと同様外部のファンタム電源が必要です。
NT1-Aにはパッドやハイパス・フィルターは内蔵されていません。RODEは、そのような機能を省き、単一指向性にする事によって、手頃な価格で音質の高い大口径ダイアフラム・コンデンサーマイクを実現しました。NT1-Aは持ち運び用のソフトケースとショック・マウントも付属しています。
私はNT1-Aが届いてからすぐにボーカルとギターのレコーディングに取り入れ、それ以来他のマイクは使っていません。どのような用途にも対応でき、NT1-Aでうまく音が拾えない場面はまだ一度もありません。

MATCHED SET

私はThe Coppolasという双子のパワフルな女性ボーカル・グループのプロデュースをしています。私は今まで彼女達のレコーディングで何種類もの大口径ダイアフラム・コンデンサーマイクを試して来ました。それらはうまく、すばらしい音が録れましたが、時々彼女達の声量にマイクの回路が耐え切れず、オーバーロードしてしまうので私はいつでも細心の注意を払っていなければなりませんでした。しかしNT1-Aを使い始めてから、マイクがオーバーロードしてしまう心配をする必要がなくなりました。結局、彼女達のレコーディングにはNT1-Aを使っていくことにしました。音量の大きいパーカッションや、エレキギターのレコーディングにもNT1-Aを使ってみましたが一度もオーバーロードしませんでした。私がプロデュースする他の女性シンガーにもNT1-Aを使っていますが、彼女の声質との相性は抜群です。彼女もU87よりもNT1-Aを好んでいます。中域をそれほど増幅しないので彼女の歌声に合っているからです。もちろんNT1-Aは女性ボーカルにだけ相性が良いというわけではありません。男性ボーカルのボイスオーバーでエフェクトを狙った時もNT1-Aを使用してみました。シンガーをグリルにできるだけ近づけ、マイクに角度を付けて設置し、破裂音を抑える事で素晴らしい音を得ることができました。
INSTRUMENTTALES
スタジオでは高音質のコンデンサー・マイクはいくらあっても足りない位です。過去数ヶ月NT1-Aをパーカッション、アコースティック・ギター、ギターアンプに使ってきました。アシコ(アフリカの木製で長いハンド・ドラム)の低音を録る為にNT1-Aを床から15cmほど離し正面に設置して、オーバー・ヘッドにはAKGの小口径ダイアフラム・コンデンサーマイクを配置しました。NT1-Aは低音域をたっぷりと拾い、結局後に他の音源と合わせる為にEQで抑えなければならない程でした。
更にNT1-Aはアコースティック・ギターのレコーディングでもそのすばらしい機能を発揮します。NT1-Aをギターのボディーから30cm程離して設置し、サウンド・ホールにマイクを向け、それに加えて小口径ダイアフラム・コンデンサーマイクを第15フレット(大体ネックとボディーの接合部辺り)へ向けて設置します。NT1-Aはスイート・スポットが広いため設置に時間と労力をかけずに済みます。レコーディングから2〜3日後に一部ギターのコードを変えたい時も、前のレコーディングの設定と同じ音質を容易に再現できます。その時私はNT1-Aを初めのレコーディング時と比べ、ネックよりに10cm程近づけていた事に気づきましたが、新しいコードは前回録音したトラックに見事に溶け込みました。
エレキギターの録音はいつも使っているVoxとMarshallのコンボ・アンプにNT1-Aを使用しています。通常ギターはペアのSHURE SM57で録りますが、明るく、力強く、クリーンな音がほしい時はNT1-Aを使います。NT1-Aは、単にきれいに録れるだけでなく、ショック・マウントのおかげで設置が非常に楽です。
ART OF NO NOISE
主な特徴
カプセル シングル・ダイアフラム、1インチ
指向性 単一指向性
周波数特性 20Hz〜20kHz
出力インピーダンス 100ohm 5mA
感度 -31.9dB re 1V/Pa (25mV@94dB SPL)±2dB
ノイズ 5dB (per IEC651, IEC268-15)
最大出力 +13.7dB (@1%THD into 1kohm)
最大SPL 137dB (@1%THD into 1kohm)
対応電源 ファンタム48V、24V
寸法・重量 5.0cm (直径)×19.0cm (全長)、326g
付属品 専用マイクホルダー(RM-1)、専用ソフトケース、
サスペンション・ホルダー
 
RODEは原型であるNT1の電子回路を大きく進歩させ、NT1-Aを完成させました。RODEによると、エンジニア達がマイク設計を改善し続けたとしても同社の優れた製造技術の進歩によってコストを更に減らす事ができるそうです。NT1-Aの新たな改善点について特筆すべきは使用時の発生ノイズの低さです。この5dBAという数値は他の高級マイクと比較しても一番低いレベルに入ります。
NT1-Aの低ノイズ性はオーケストラのレコーディング等、たくさんの大口径コンデンサー・マイクを使うセッションで役立つでしょう。残念ながらまだそのようなセッティングでNT1-Aを使う機会はありませんが、NT1-Aは必ず素晴らしい成果を出すと感じています。ポップ・ミュージックのレコーディングですら、プリアンプに大量のゲインが足されているにも関わらずNT1-Aのノイズの少なさに感心させられています。
VERSATILE AND SOLID
NT1-Aを、使い始めて数ヶ月、大口径ダイアフラム・マイクを使う場面ならどんなケースでも素晴らしい性能を発揮しています。パッド無しでも高い音圧レベルに耐えられ、更にノイズの少なさは大きな特典でしょう。周波数特性は20Hzから20kHzまでスムーズで、唯一12kHz付近で小さなプレゼンスの隆起があるだけです。
現状、すべての録音された音楽はハイ・パス、又はロー・パス・フィルターだけにしろ何らかのEQが施してあります。(確かに少数のクラシック・レコーディングに限ってはマイク、セッティング、プリアンプだけの工夫で演奏を録音しているかも知れません。しかし私の業界では、幾重ものイコライジングを加えて複数のトラックを1つにするのが当たり前です)NT1-Aは音源のすべての周波数を捕えるだけでなく、他の高価なマイクの音と比較してもEQ加工に対して優れた特性があります。そしてもちろん極めてノイズの少ないマイクです。NT1-Aは用途を問わない素晴らしいマイクであるため、レコーディング・スタジオがたくさんのNT1-Aを購入するのも不思議ではありません。
by Rob Schrock

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