RODE NT1000 and NTK Microphones

■編集長 ブルース リチャードソン氏

以前私がマイクについての批評をした時、安い大口径ダイアフラムコンデンサーは悪いものばかりだ、という事を学ぶだけでした。ProRecのメールボックスがクレームのメールで何度もあふれ返りましたが、何とかそれを切り抜けてきました。今日は本当の事をお伝えしましょう。RODE NT1000とNTKは、値段が3倍もするマイクと並んで、世界トップクラスのスペックと音の滑らかさが型破りなのです。その上、見た目も驚く程良いし、スタジオにおける過酷な使用に耐えうる位の頑丈さがあります。

RODEまでの長い道のり
RODEの創設者かつ社長であるピーター・フリードマン氏によると、これらのマイクは元々NTVに搭載されている、縁のつながった1インチ・カプセルと同じものを採用しており、長期的展望にたったビジョンが伺えます。「これまでこのマイク開発にとてつもない時間をかけており、実際には大きな賭けをしている様なものなんだ。でも、人生用心深くては何もできないからね。」
その事業は小規模から始まり、中国製のマイクから安いパーツを集め、高級な部品に換えて、フリードマン氏のRODEはミュージシャンがもっと安くマイクを買える方法を探してきたそうです。NT2とNT1はその努力により、伝説に残るような結果となり、多くの類似商品が大量に出回った程です。それから密かにピーター氏は2、3年程かなりのコストをかけて、世界で最も進歩したマイク工場を建設しました。NT1000とNTKはその最高作品、かつピーター氏の"より良いものをより安く"という哲学の表れでもあるのです。これらはRODEの新しい世代の製品で、確かに以前の努力が実ったものですが、これはまた新しい出発でもあります。頑丈で格調高いケースからカプセル・マウントまで、全ての要素が経済における教訓となります。
 「NT1000はNTKと同じマイクの心臓部と言われているトランスデューサーを使っている。これはNTVで滑らかさと豪華な底域で賞賛されたカプセルと全く同じもので、あらゆる点において頂点を極めたクラシックIIと同じ位良い。同じカプセルを使っているので類似点はありますが、でも全く違うマイクです。NT1000はワイドバンドFETデザインを採用しているものとしてこれ以上ないくらいクリーンで素晴らしい音です。NTKは驚くほど低いノイズでありながら柔らかいチューブトーンが出ます。
 音を聴いてもらえれば、この話が真実であるということが分かっていただけると思います。本当です。素晴らしい音です。世界トップクラスのマイクに匹敵する程、驚くほどいい音だと言えます。私が今まで使ったマイクと同じ位良い音なのは確かです。まだあります。これらのマイクはマイクの価値を決める最も重要な部分のところに焦点を当てており、高価なコンデンサーの音と良質のエレクトロニクスを実現すると同時に実際に耳で聞くことのできる要素に対してコストをかけながら優雅なデザインを追求している為、ユーザーの投資が守られるのです。
値段のことを言えば、どうして私がこんなに驚いているかが分かってもらえると思います。NT1000希望小売価格はたった395ドル、NTKは595ドルなのです。この値段ではバービーのランチボックスかショックマウントを思い浮かべてしまうのではないでしょうか。NT1000には便利なマイクスタンドアダプターと厚いケース、そしてNTKには大きいレンガサイズのパワーサプライ(グルービーブルーと一緒)と9mのマルチピンコードもついてきます。


読むと泣けてしまう
それでは音についてお話しましょう。これがマイクのスペックです。

〔NT1000〕

感度:-36dB re 1V/Pa (16mV @ 94dB S`PL) +/-1dB
Equivalent Noise: 6dB SPL (A-weighted per IEC 268-15) +/-1dB
最大入力: +13dBu (@ 1kHz, 1% THD into 1k(load)
ダイナミック・レンジ: >134dB (A-weighted, per IEC268-15)
最大SPL: > 140dB SPL (@ 1kHz, 1% THD into 1k(load)
信号/ノイズ比率: 88dB (A-weighted, per IEC268-15)
〔NTK〕

感度: -38dB re 1V/Pa (12mV @ 94dB SPL)+/1dB
Equivalent Noise: 12dB SPL (A-weighted per IEC268-15) +/-2dB
最大入力: > +29dBu (@ 1kHz, 5% THD into 1k(load)
ダイナミック・レンジ: >147dB (A-weighted, per IEC268-15)
最大SPL: > 158dB SPL (@ 1kHz, 5% THD into 1k(load)
信号/ノイズ比率: > 82dB (A-weighted, per IEC268-15)


 聞くことのできるワイドレンジの信号においても、聞きたくないノイズレベルにおいても世界トップクラスの内容です。測定器もないことだし、市販の明細書にあるスペックをしらみつぶしに分析したくはなかったので実際に聞き比べてみることにしました。
 リップの家にある新しい、おもしろそうなマイクを探してみました。Shure KSM-44とAlesis AM-62がありました。どちらも間違いなく人気のあるマイクで、音も良く、先ほどのRODEよりもかなり値のはるものでした。Shureは1340ドルでAlesisは1499ドルです。公平に見て、ShureとAlesisはマルチ指向性マイクで、RODEは単一指向性のマイクである為、一概に説明するのは難しいかもしれません。 しかし、今回比較試聴をするにあたってとても都合が良いものでした。パッドやロール・オフを使わず、単一指向にして、(RODEのマイクにはスイッチも何もありません)、同じプリアンプに4つつなげて並べて、叫んだり、歌ったり、ささやいたり、叩いたり、口笛を吹いたり、強くたたいたりしてみました。
 その中でRODEは群を抜いて良く、はっきり言ってベストでした。 NT1000は明らかにノイズ面においてトップであり、既に静かだと言われているShure KSM-44よりも明らかに静かでした。すごい。NTKはShureと数デシベルも違わぬ程、殆ど同じノイズレベルでした。またまたすごい。思い出して下さい、今比べているのは実際に加熱される真空管マイクと、もともと静かなFETデザインのマイクです。当然のことながらShureの方がかなり静かであるはずです。その為NTKは驚異的に静かな真空管マイクということになります。これは殆どノイズののらないNT1000より、もっと注目すべきことかもしれません。
 Alesis AM-62は他の3つと比べると全体のゲインが小さい割にはるかにノイズが多く、実際、比較の対照になりませんでした。その音は決して見事だとも洗練されているとも言い難く、RODEやShureが誇示している"格調高い滑らかな音"を持っていません。私は"ビンテージ"のGroove Tubes MD-1を持っており、Alesisの"GT"はそのトーンにさえも及ばず、ゴージャスで精巧にマシーンで作られたステンレス製の前モデルと比べると全く救いようがありません。値段を考慮するとがっかりしてしまいました。
 Lloyd Bentsen氏が、「僕はGroove Tubeを知っているんだよ。Groove Tubeと仕事をしてきたし、それはGroove Tubeじゃないよ。」と言うのが聞こえてきそうです。 しかし、それはまた別の話です。今回の優れたマイクの話へ戻ると、印象的なパフォーマンスも一つの魅力ですが、私が注目したいのは、そのマイクの音質なのです。言葉で表現すると、すごい、の一言です。NT1000は素敵なしっかりしたプレゼンスがあり、中高域においてKSM-44よりもとても落ち着いたいい感じです。ヴォーカルには輝きと素晴らしいプレゼンスがあり、録音したいくつかのハンド・ドラムは澄んだ、パワーのある音になりました。このマイクをペアで使ってドラムのオーバーヘッド用として使用することに全く躊躇はしないでしょう。音が良すぎて照明も吹っ飛んでしまう位です!
 メロディカでソロを録音してみると、迫力ある厚いミックスでも音抜けが良く、通常のマイクだと発生してしまうかん高い音が出ませんでした。このマイクで録音した音は全てミックス上における理想の音であり、耳で聞き取れるようなトーンの変化はありませんでした。そして、コンプレッションとエフェクトとしっかりとかけることのできる素敵な音でした。 もしNTKにつないだ場合に異なるタイプのアンプが作り出す音を調べるのであれば、NTKの同じカプセルと高級真空管回路スペックを見れば分かります。NT1000サウンドがニュートラルできれいなように、NTKも同様に音に火をつけます。すぐに気付いた事は、広範囲の透明感と躍動感のある音質でした。NT1000でモニターすると私の声がそのままで出てきますが、NTKは本物の声よりも良い音になります。あたかも空気が扁桃腺をすり抜けて歯にまでかかるような感覚です。きつい音というわけではなく、現実よりも音が少し大きくなり、パンチを少しもなくさずにヴォーカルの音がワイドで豊かになります。
 真空管デザインのいくつかはほとんどコンプレッサーをかけたような音になります(NTKは違います)。しかしNTKは、大声で叫んだり、乱暴に扱ってもできるだけその音を取り入れて信号を送ります。このマイクの真空管回路は異常にスレッシホールドのレベルを超えない限り問題は生じません。 大袈裟な音の話をしている、などとは思わないで下さい。事実、もしNTKの特徴を一言で表現するなら、それは"滑らか"です。正確には「滑らかーーーー」です。このマイクを使ってBarry Whiteを聴きたいです。このマイクを使うと私がBarry Whiteのように聴こえてしまう位です。私の変な声がつやのある旋律となり、そしてエネルギッシュだったにもかかわらず、モジュレーションのかかった"S"音等は何日も全くありませんでした。めまいがしてビールが欲しくなるまで立ちながら蛇のようにヒス音を出したのですが、何も問題は起こりませんでした。 75cm位離れた所からのNTKを使ったフルーゲル・ホーンのサウンドは、甘美でつやがあり、全く濁ってなく、驚くほど美しい音でした。少し寄りかかってやさしく演奏すれば、素晴らしく穏やかな音が聴けました。これは素晴らしいです。何故ならフルーゲルは扱いが難しい楽器のうちの一つであり、美しい音がするにもかかわらず、マイクには最悪の音が流れるからです。遠すぎればミックスで細い音になってしまいますし、近すぎても、音の臨場感を正しくする為に離すことによってまたミックスが細くなるからです。NTKはミックスを作る為に必要な音をとらえます。これは、普通高価なマイクのみが実現できる機能です。

中身を見てみよう
 音に関しては、どちらを買っても失敗はありません。安い価格で世界クラスの音を出します。しかし、これはまだこのマイクの魅力の一部にすぎません。一言でまとめれば、このマイクはマイク産業が学ぶべきものであり、世界的標準になるほどのものです。
 全ての部分においてこのマイクはその価格からの印象を裏切り、また説明もするのです。例えばシュルそのものが技術者の芸術であり、そのデザインと構造がブラス質のスイッチクラフト・フォンプラグ(絶対に壊れないもの)を思い出させます。"百聞は一見にしかず"なので、とりあえずこの写真を見てください。
 この秘密にはちゃんと順序があります。普通のコンデンサーマイクをパカッと開けると、手作りの部品の組み立てが見えると思います。この部分は音とは何の関係もありません。それではこの新しいRODEを見てみましょう。中身がこういう風になっているマイクは他にあまりないと思います。

これが節約
 NT1000とNTKは徹底的に大量生産の為にデザインされました。ヘンリー・フォードはこのマイクに惚れるでしょう。驚く程効率の良いデザインです。両方とも似たような内蔵キャスト・ユニットを使っていて、ここに他のパーツが全て付属するようになっています。これはとても頑丈なので、傷つけるにはスチーム・ローラーが必要でしょう。外側のシェルの質は最高で、スレッドは絹のように滑らかなので完璧に役割を果たしています。外側のシュルを外すにはねじを回すだけで簡単に緩みますし、シャンペン色のニッケル仕上げでおしゃれに作られています。素晴らしい輝きがありながらも、れんがの様に固いのです。
 スタンド・マウント用のリテイナーは程よく重さもあって、簡単に取り外しができます。このマイクの密かに素晴らしい利点の1つに、全てが頑丈でしっかりしているということが挙げられます。とても丈夫なのです。このマイクが壊れることを想像するのが難しい位です。マイクの頑丈さを比較する為にAlesis AM-62を分解してみました。Alesis AM-62の中身はゴチャゴチャしていて貧弱でした。手首のひとひねりで完全に二つにねじりはずせてしまいそうです。それもいとも簡単に。小さな女の子でも引きちぎれそうです。
 同じことをRODEの商品で試そうとしたら、それは手の皮をねじり取る程難しいです。そしてこの製品の素晴らしいポイントは、ピーター・フリードマンがこのシェルを作るのにおそらく1/3の値段で実現できるということであり、それは彼が良く考え抜いたからです。パーツのボードを外す事は簡単で、バターをぬるようなものです。何度も繰り返しましたが、壊れるんじゃないか、とか傷つけるんじゃないかなどの心配は無用でした。
 中身を見るにつれ、カプセル・マウントはさらに素晴らしいデザインであるという事が分かります。ポップ・スクリーンは4つのネジで内部キャスティングに固定されています。それを取ると、スクリーン・ユニットがスムーズにスライドします。それを取れば、カプセル全体を本体から隔離している黒色のゴムで縁を囲まれたダイアフラムが見えます。しかしそれだけではありません。写真を見ると、ダイアフラム・マウントのてっぺんに白くて小さいスポンジがあるのが分かると思います。スクリーン・ユニットを本体に置くとこのスポンジが先端に当たり、黒ゴムが少し押される為、レゾナンスから完全に隔離されたアイソレーション・システムが構築されたわけです。
 全く、このマイクについて大変感心した事の一つは内蔵のローカットが無くても、低域のレゾナンスをとても良く避けた事です。もう一度言いますが、シンプルなデザインながら十分に機能し、費用をセーブできるのです。
 これらのマイクはダイナミックの中でも一番程度の低いものと同じ位シンプルに組み立てられていると言う事ができます。NT1000には7つ、NTKには8つのわずかなパーツがはめ込まれているだけです。早い組み立ては労働が安くなり、そしてその分より多くの費用を重要なパーツに費やせるのです。どんなマイクも平凡と崇高の複雑な方程式の組み合わせなのです。限られた費用の中でその費用を崇高な方に使いたいと思うでしょう、NT1000とNTKは全てがありふれた平凡な部品で作られた崇高な製品なのです。
 馬鹿でも組み立てられる程、このデザインはロジカルでシンプルなデザインになっていて、どちらのマイクもあっという間に分解、組み立てができました。この3つの大切なパーツはソリッド・キャストのシェル内に簡単に取りつけられるようになっています。またGTと比較すると、GTは一度離して元に戻す時、絶対どこかを壊すんじゃないか、ととても恐くなってしまいます。ただふたを戻すだけで、チーズのようにもろいプラスチックのスイッチを2つ3つ壊してしまうと思ってしまいました。RODEはどのマイクでも「チーズのようにもろい」と呼べるものは一つもありません。まるでタンクのように固いのです。
 回路ボードはサーフェス・マウント技術にロボットのように組み立てられています。ところで、NT1000の回路ボードは見た目とてもシンプルです。もともとCIAの為に開発された賞賛されているFET設計を搭載し、とても印象的なサーフェス・マウント配列となっています。

あなたの為に
 私の元の考えに戻りますが、これらのマイクはマイク産業で何が正しくていいのかを示す素晴らしい例なのです。私が"搾取マイク"と呼ぶひどいマイクの全く正反対のものです。どこを見てもみかけだけ素晴らしく、でも音はそれ程良くない大口径ダイアフラム・コンデンサーマイクでいっぱいです。まるで病気です。みな高級マイクのプロフィールをただ真似るだけで、人に気づかれないだろうと思って安汚いパーツで代用したマイクを売ろうとしているのです。
 このマイクは違います。全く違うのです。NT1000とNTKは素晴らしいの一言につきます。RODEはただ応年の定番を搾取する代わりにマウストラップや構造をエレガントで賢くデザインすることによってお金を節約し、最高の音を生む為の最も優れたパーツを本体一杯に埋めて、より良い製品を作り出しました。
 これが全てです。これが、全てのメーカーがすべき事なのですーはじめに芸術家と科学者そして、ミュージシャンも製品を見た時に品質を識別できるのです。RODEのお陰で荒廃しかけていたマーケットにクラッシーな光が再び灯り始めました。
 誰かがこのマイクを見逃すなんて考えられません。全てが素晴らしいマイク・デザインでありながら、まだあります。私のような評価に厳しい人間でさえもここで十分褒め切れない位すごいです。このマイクはトップレベルで、マイクそのものに声があり、品質はその値段に比べはるかに良質なのです。新地開拓です。NT1000とNTKをリストに入れずに、大口径ダイアフラム・コンデンサーを購入しようと思わないで下さい。
でも気を付けて下さい。一度その音を聞いてしまうと買わずにはいられなくなります。2本買っても1000ドルしないのですから、大丈夫です!
 音に関しては、私の言葉を信じるよりもむしろお願いですから自分でこのマイクを聴きに行って下さい。すごすぎて驚きのあまり、あごが床にぶつかって怪我をしてしまわないように気を付けて下さい。


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