JOSE RAMIREZ ( ホセラミレス ) / MEDIUM TENSION

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2010/07/12

デリケートな大人の弦

投稿者名Reviewed by：クリーク 【埼玉県】

ラミレス1aユーザーとして、初めて本家の弦を試してみました。
ネットでは「よくできた個性のない弦」という感想が目に付くけど
申し訳ありませんが、自分は真逆です、むちゃくちゃ個性的だと思う。
なによりもデリケート。
「音色がつやっぽい」のではなく「反応がつやっぽい」のです。
ポルタメントやビブラートが面白いように決まり
音楽に深みのないアメリカ弦とは全く別世界。
楽譜どおり弾いて喜ぶ子供の道具ではございません、大人の音楽の世界です。
ただし、それが良し悪しなところはあって、
例えば最初は「調弦しずらいなぁ、音が合わないなぁ」と感じましたが
それは左手の押さえ方の微かなブレを、弦が音にしてしまっていたからなんですね。
爪のコンディションも、美音になったりカチカチしたり、どんどん音に出てしまう。
そのくらい繊細です。
こんなことはプロアルテやオーガスチンではあり得ませんでした。
プロアルテやオーガスチンが、あつかいやすいFFスポーツとすると
ラミレス弦は往年のスポーツカーの名車のよう。
手はかかるけど、しかしうまく操れたときの快感・表現力はすさまじい、という。
音のエッジの繊細さが、じつはテクニカルな曲にもあいます。
あいまいだった部分が明確になる、弾けなかったところが弾けてしまう。
音色はソフトな甘いトーン（ロマニロスのような澄んだ音色ではない）でありながら、
コンクール御用達のハイスピードな機動力もある、そんなラミレスらしさそのもの。
ただ、これも一様には言えなくて、低音弦にはまた別の個性がありますね。
録音するとわかるのだけど、特にアタックを強くしないで普通に弾くと
コンプレッサーが効いたような、安定した持続するベース音を提供してくれます。
まさに「ベース音」です。
こういう高音低音の自由で明確な役割分担こそ、
なにかと均一で窮屈さすら感じるハウザータイプとは対極の思想、
ナチュラルで大胆なラミレスらしさですね。
総じて、素晴らしい個性をもっているけれど、あつかいやすい弦ではない。
でもチャレンジしがいはある、と思いました。

レビューIDReview ID：17406

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