DHRシリーズは、固定設備や仮設用途などあらゆるアプリケーションに対応するように最適化したパワードスピーカーをラインナップしています。10インチモデルは、回転可能な高域ホーンを備え、リギングポイントを装備し、専用のUブラケットUB-DXRDHR10も用意していますので、固定設備をはじめ多様な用途に対応します。12インチモデルはヤマハスピーカーでは初の同軸ドライバーを備えており、フロアモニターとして、よりスムースな周波数特性を実現し、明瞭性を向上させました。シリーズ最大の15インチモデルは、2つの設置角が選べるスタンドソケットと固定設備や仮設システムで使用する際のリギングポイントを装備しています。
高出力ウーファーは、精確でパワフルな低域を最少の歪みで出力し、精密な1.4インチコンプレッションドライバー*は精確な中~高周波数域を生み出します。
* DHR12Mは1.75インチ同軸コンプレッションドライバーとなります。
DHRシリーズは、定評のあるDZRシリーズと同様の合板製キャビネットを採用し、優れた耐久性と音響性能を実現しました。
DHRの全モデルはヤマハ独自のFIR-X tuning™を用いたリニアフェイズFIR *フィルターをクロスオーバーネットワークに使用しています。このFIR-X tuning™は、周波数特性と位相特性を最適化しながら、低域と高域トランスデューサー間の時間差を補正します。これによりクロスオーバーポイント近辺の周波数の特性が非常にスムースになるため、一般的なクロスオーバーと比べてより高い明瞭性と定位感を生み出します。
全ての信号は、高性能プロセッサーで精確に制御され、高い分解能と優れた高音質を実現します。また全モデル高精密な24ビットディスクリートAD/DAコンバーターを採用し、優れたS/N比とダイナミックレンジを生み出します。
* FIR = Finite impulse responseの略
DHRシリーズは、優れたマルチバンドコンプレッサー機能「D-CONTOUR」を搭載しているため、どんな音量時でもパワフルで一貫性のある音質を実現します。これは複数の周波数帯の出力をモニタリングし、それぞれに最適なEQを計算して補正します。これによって例え最大出力時でも優れた明瞭性と音楽性を維持することが可能です。DHRシリーズの「D-CONTOUR」は、使用用途に合わせてFOH/MAINモードとMONITORモードの2種類の設定が可能です。FOH/MAINモードは、スピーカースタンドに取り付けての使用時や、吊り下げて使用する際に通常減少してしまうローエンドを補完するために低域周波数をブーストします。MONITORモードは、低周波数域をモニターアプリケーションに最適化するために減少し、広範囲渡る周波数帯を滑らかにすることでモニター使用時に優れた明瞭な音質を提供します。これらのプリセットは、熟練したエンジニアによる幾多のリスニングテストによって完成し、動的に動作するマルチバンドコンプレッサーを最適化することであらゆる出力レベルでも低歪みな一貫性のある音質を実現します。
パッシブスピーカー、パワーアンプ、シグナルプロセッサーで構成される一般的なシステムでは、各コンポーネントに最適なパラメーターを設定することは困難な作業になる場合があります。パワードスピーカーの利点の1つにトランスデューサーとアンプの組み合わせを完全に最適化出来ることがあります。DZR, DXR mkII, DHR, DBRそしてDXSシリーズの開発中に非常に多くの屋内外でのリスニングテストを通じて、各トランスデューサーの耐久性と全体的なアンプ出力を測定、テストを行いました。そのテスト結果に基づく精確なDSP制御を用いて、各モデルに最適なリミッターポイントを設定しました。
最適なリミッティングに加えて、ヤマハのスピーカーは、ハイエンドモデルのヤマハPC-Dシリーズパワーアンプで使用されているものと同様な保護機能を多く採用しています。マイクロプロセッサーと高性能DSPは、電源、パワーアンプ、トランスデューサー及び動作中の信号のステータスを監視して、各コンポーネント全ての要素を保護します。その結果、これらのスピーカーは過酷な条件下であっても信頼性の高い動作を保証しながら、最大限のパフォーマンスを発揮することができます。
DHRに搭載している軽量で高性能なClass-Dアンプは最大1000W*の出力で、優れた明瞭度と動的特性により、最大131dB(DHR15)の音圧レベルを生み出します。
* DHR10は出力レベル700W
DHRシリーズのスピーカーは、2つの入力チャンネルを備えています。CH1は、XLRとTRSフォーンのコンボジャックを装備しており、マイクやライン入力信号のどちらも入力が可能です。CH2はXLRとTRSフォーンのコンボジャックの他にCDプレーヤーのようなステレオラインレベルの入力ソース用にペアのRCAピンジャックを備えています。
内蔵のミキサー機能により、CH1とCH2をミックスする「CH1+2MIX」と信号をCH1のみに制限する「CH1 THRU」を選択できます。
天井が低かったり、会場の形状などの影響によって、ミックスしづらかったり、オーディエンスのリスニング体験を大幅に損なってしまう場合があります。DHR15に搭載されているポールマウントソケットは、0°または-7°の2つの設置角度が選べるため、反射を避け、オーディエンスに音響エネルギーを向けることができます。