PEAVEYXR684
パワードミキサー

 
 
SONO mag World Edirion誌(カナダ)
2002年 #21

機能

XR684の横には持ち運び用のハンドルがついており、移動はバランスよく楽に行うことが出来ます。しかし、強力なパワーを生み出す内部構造と頑丈な厚めの木材で作られている箱を使用している為重量があります。また、足が4ヶ所にあり、角は金属で補強され、木材のケーシングにはフロントパネルとリアパネルがしっかりと固定されています。フロントパネルにはミキサーコントロール、そしてリアパネルには電源サプライとパワーアンプの端子が設置されています。電源はIEC 320端子を使用し、アンプ出力はフォン端子を使っています。各チャンネルには2つのフォン端子がパラレル接続され、5つ目の端子はブリッジ出力専用端子となっています。ブリッジ出力の場合、一方のチャンネル信号は位相が反対に出力され、接続方法では一方の信号がフォン端子のチップに送られ、もう一方の信号はスリーブに送られます。リターン接続はその正反対になります。スピーカー接続は通常のケーブルを使用し、片方の端子の+/−を逆に接続することにより位相の反転を元に戻すことが可能です。ブリッジ接続は当然、両チャンネルが同じ音を流すことになります。

1. エフェクトのコントロールはグラフィックEQの上に設置されています。
2. レベルを調整するつまみは各チャンネルに1つ装備されています。ステレオ・チャンネルはテープ・デッキの接続などに使用します。

フロントパネルは縦にチャンネルが分かれている構成で、入力系統が左側、出力やマスター系統が右側に設置されています。各入力チャンネルの一番下にXLRとフォンの入力端子が設置されています。XR684にはモノラルチャンネル6つとステレオチャンネル2つ装備され、ステレオチャンネルにもマイク入力があり、信号は左右均等に分かれます。モノラルチャンネルとステレオチャンネルにもバランスポットが装備されていないため、ステレオ(LR)調整を行うことは出来ません。マイクからの信号はXLR端子で受け、マスタースイッチでファンタム電源のOn/Offを切替えることができます。

モノラルチャンネルの内4つは高インピーダンス入力で、残りの2つは通常の入力となります。また各チャンネルにはよく見られる20dBではなく25dBゲインを下げるボタン(パッドスイッチ)があります。このボタンとレベル調整のつまみを使用してゲインの調整を行います。また各チャンネルには3バンドEQが装備されています。

二つのAUXセンドはとても簡単な仕様になっています。一つはモニター用、もう一方は内蔵エフェクト用です。外部機器は使用できないため6つのモノラル入力に対し、一つのフィルターしか無いことになります。ステレオ入力はチャンネル7と8のラインレベル入力のみが可能で、1つのステレオ入力に対し2つの端子を使用します。ステレオ入力をモノラルとして使用する場合はマイク入力または左チャンネルのみの使用で可能となります。またこのチャンネルにはミッドレンジEQやエフェクトセンドは装備されていません。
16ポジション・セレクターで選択される総合エフェクトは、モニター回路へのセンドレベルの調整つまみとマスター出力を調整するつまみがあります。LEDはピークレベルを超える信号を表示します。そして信号はここから直接ミキサーと内蔵のパワーアンプへ送られます。


このクラスのパワードミキサーでおなじみのグラフィックEQも装備され、音響全体の補正をここで行うことができます。そしてこのEQでハウリングを防止することもできます。このEQの各スライダー上には赤のLEDが設置されていて、LEDが点灯したスライダーを下げることでフィードバックを防止することが出来ます。この機能はとても実用的です。


A.
入力時の周波数特性。最小と最大のゲイン値の間で極わずかな差がある。

B. ミキサーのトーン・コントロールの周波数レスポンスです。コントロールを最大限まで上げた状態ですとEQは800Hzが中心になります。
C.モノラル・チャンネルの低域EQのプログレッション・カーブです。Peavey社は標準スケールで表示し、両端の数値も同じ効率を持っています。

D. テープデッキ・チャンネルのトーン・コントロールはBASSとTREBLEです。
E. ローカット・フィルターのレスポンスです。レスポンスはとても鋭く、変化率は最も低い周波数帯で12dB/オクターブまでに達します。

F. グラフィックEQの各フィルターのレスポンスです。このうち一つがやや低域にシフトしています。
G. ミキサーのグラフィックEQ内のフィルターを調整した際のプログレッション・カーブです。EQの振幅が少ないほど安定感が増します。

H. Peavey XR684の方形波レスポンスです。上段は8 W抵抗負荷に対して滑らかなカーブが映し出されています。下段では抵抗と1-mFコンデンサーを介した複雑な負荷をアンプがドライブしています。
XR684と他のパワードミキサーの大きな違いとしてアンプへの接続方法があげられます。フロントパネルに設置されている2つの端子を使用して、アンプへ直接接続したり、一ヶのアンプを左チャンネルに割当て、もう一方を右チャンネルに割当てることでステレオ効果を生み出すことや、左右の信号を組み合わせて、片チャンネルをその信号の為に使用して、もう片方をモニター信号として使用したりすることが可能です。この左右の出力端子は両方ともフロントパネルに設置されています。レベルを表示するLEDは装備されていません。このアンプにはDistortion Eliminator Circuit(歪み防止回路)が装備されているので、アンプ段の前にまずミキサーがピークを検知するほど優れています。


BLOCK DIAGRAM
XR684にはTape Deckステレオ入力を含め3種類の入力チャンネルがあります。チャンネル1~4にはダイレクト入力が、チャンネル5/6にはアッテネーターがあるため、ラインレベル信号を入力することが出来ます。チャンネル7/8はユニークな設計になっており、モノラルのマイク入力とステレオ/モノラルのどちらでも使用可能なフォン端子があります。全てのチャンネルのセンドはモノラルのためステレオ信号は実はミックスされていることになります。図面で確認できますが、Tape Deckチャンネルは大変簡単な作りであり、入力チャンネルにはゲイン調整がありません。モノラル入力チャンネルはバスに送られ、ハイパス・フィルターで低音をカットすことができ、フィルターを通った信号は左右のバスに分けられます。またもう1系統の信号はモニター回路へ送られ、信号はモノラルであっても、電子技術により見事なステレオ信号として出力されます。図面の下部にはパワー出力があります。ここでブリッジ端子から出力される一方のチャンネルが位相を逆に変換され、アンプへ送られた入力信号がミキシング・デスクに直接出力されます。またダブル・インバーターでモードの変換を行います。mono/monitorでは左右のチャンネルが組み合わされ、片方のアンプを通り、もう片方はモニター回路からの信号をアンプに送ります。デュアル・レベル・ポットの後ろにあるL/R出力はステレオ信号を出力します。
 
3. グラフィックEQ上のLEDは一定のレベルを超えた信号を表示します。これらのLEDはどの周波数帯でハウリングが起こり、どのフェーダーを下げれば良いか表示します。
4. 冷却ファンが出力ステージ・トランジスターのヒートシンク上に空気を送ります。
5. マザーボードとは別の回路盤にPeaveyラベルの付いたcodec搭載のデジタル・シグナル・プロセッサー部があります。
 


造り
電源サプライ・トランスフォーマーは直接シャシーの底にネジ止めされています。こうして部品が横の列のみに集まりすぎて負担をかけすぎてしまうことを防ぎます。パワーアンプと電源サプライのパーツ類はリアパネルの回路に設置されています。接続はコネクターやスペード・クリップで行われ、万が一問題があった場合にはリアパネルを簡単に外すことができます。パワー部は換気トンネル型の固定ヒートシンクに設置されています。ファンは空気を内部へ送り込み冷却を行います。温度が上昇しすぎた場合ヒートシンクに設置されているサーマル・カット・アウトで感知し、危険なチャンネルの出力を防ぎます。(Peaveyではこれを行うためにVCAを使用しています。) ミキサーのパワーアンプ部はサーフェス・マウントを使用する為、部品がより多くなってしまいます。場所によっては層が2重になってくるため、回路はポットや入力端子の厚さに対応できるよう製造される必要があります。難しい作業ですが、このアンプは大変上手にこの製造をこなしています。 入力回路には2068と4560を使用しています。Texas InstrumentsのDSPが使用されているスペシャル・エフェクトは個別の回路にマウントされ、変換にはCrystal CS 4218 codecが使用されています。この回路はA/D D/A回路を一つの箱に纏めています。


測定
レベル測定値を表にしました。ミキサーポットがないため、ゲインは低めの設定にしました(つまみの2番目の印)。またレベル・インジケーターがないため0dBを使用せず、外部インジケーターを使用して+2dBuで測定を行いました。 出力レベルが最低限に設定されている場合、バックグラウンド・ノイズは少なく、全体的に良い結果が得られました。マスター出力レベルのつまみが出力端子の近くに設置されます。幾つかの入力端子において少量の、バックグラウンド・ノイズがありました。 1kΩの出力インピーダンスは600Ωの負荷に対する高い出力レベルを説明しています。この低インピーダンスはアンプが内蔵されていることと、長いケーブルを使用せずに近い場所で使用することを考えて設定されています。一方マイク入力のインピーダンスは1kΩと一般的な数値です。同じく高インピーダンス入力では104kΩと通常の数値で設定されています。ギターは約47kΩですので、ある程度の信号は失われますが、ゲイン調整を行えば特に問題はありません。アッテネーターを使用することで入力インピーダンスは93kΩになります。モノラルラインのインピーダンスは78kΩでステレオは29.5kΩ、テープ・デッキ入力は20kΩと測定されました。 コモンモード・リジェクション率は50Hzで68dB、そして1kHzと10kHzで78dBまで上がりました。歪音が発生する時点での合計ハーモニック・ディストーションは0.02%以下でした。 表でアンプの測定値を纏めました。ここでのパワーはDistortion Eliminator Circuitで制限されています。インターモジュレーション・ディスとーション要素はトランジスターへの負荷がより多いため、4Ωの負荷で上がってしまいます。実験した結果ショート・サーキットの対策もしっかりしていました。複雑な負荷にも上手に対応するアンプで、ベースキャビネットにつないでも全力出し切ることが可能です。 1時間続けてオーバーヒートのテストを行いましたがレベルが下がることはなく、またサーマル・プロテクトが作動することなく完了しました。各アンプごとにサーマル・プロテクトがあり一つのチャンネルに問題が発生しても、もう一方を使用することが可能です。本当に頼もしいアンプです。


Who? Why?
このミキサーは入力の数も十分で、出力(パワー)も十分あるので、学校や公民館など幅広い人々に使用していただけます。ステレオ入力にテープデッキ等を接続しモノラル入力チャンネルにはマイクを接続するだけで使用できます。更にステージモニターを接続することもでき、内蔵エフェクトが小規模な集まり等でも力を発揮します。クラブなどの小型ステージいも最適です。

6. 出力はフォン端子を使います。

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