PURE RELIABILITY
PILOT 150 & PILOT 300
SONO
WORLD EDITION
#27
Test Bench MOVING HEAD PROJECTOR

 PILOT150/PILOT300はイタリアのディストリビューター、Omni Systemが販売していた商品です。製造元は中国の楽器/照明メーカー、Pearl River Light & Acoustics Industrial Ltd。アナログ照明機材の有名な中国メーカーです。米国のハイエンド照明機材の元主任エンジニアであるSteve Sulk氏を抱えていることからも、Pearl Riverの照明機材に関する思い入れの強さが伺えます。Sulk氏はCyberlight、Data Flash AF 1000、Studio Seriesなど、多くのヒット商品の生みの親です。東洋と西洋の製造技術を結集したPearl River製品に、最近は老舗の照明ブランドも脅威を感じていると言います。
 ここで紹介するPILOT150/300は初心者向けのローエンド商品です。Pearl Riverのカタログにはローエンドからハイエンドまで、あらゆる用途に対応するムービングヘッドが掲載されています。

PILOT150

 PILOT150はHTI150電球をガラス製ダイクロイック反射鏡に搭載した小型のムービングヘッドです。外装は鋳造されたプラスティック製で、ゴムのような感触が新鮮です。また汚れがふき取りやすく、傷がつきにくいのも利点と言えるでしょう。
 全体的には伝統的なムービングヘッドの設計に基づいて製造されています。内蔵された運搬装置はプレス加工された薄鋼板と支柱で構成されています(通常複雑過ぎで敬遠されるデザイン)。この運搬装置の上にモーター、エフェクト部品を全て搭載。全ての部品が2つのケースに格納され、正確に組み込まれています。従って本体を解体しても、組立が非常に簡単です。組立前のPILOT150は長方形のシャーシにヨークが付属しているだけのシンプルな形です。ヨークには卵形のヘッドが取り付けられています。カバー下部が突出しており、エフェクト・ホイール用にスペースが確保されています。
 PILOT150で堪能できるエフェクトは非常にシンプルです。2つのホイールはほとんど重なり合い、各々のモーターシャフトは互いの方向に向き合っています。カラーホイールは9色+白色(オープン)。カラーホイールの台形フィルターは厚さ2mmの金属片で区切られています。他に搭載されているのはホイール(回転ゴボ用に8種類のゴボホルダーを装備。本体に装備されているゴボ数は7です)とシングル・ブレード・ストロボです。
 ストロボは専用ファンクションによって制御します。最初は連続的な白色発光、次にストロボが点滅します。残念なことにブレードとホイールの距離が短い為、あまり美しいディマー効果は得られません。月面のように見えてしまうのが実際のところです。
 カラーホイールの選色も見事です。しかし赤とダークブルーのみホイール本来の色が出ていないようです。ゴボはシンプルなネジ式クリップによって固定されており、ガラスやメタルゴボも使える仕様になっています。ただし取扱説明書では、高温対応のシリコン接着材の使用を避けるよう記載があります。ゴボは目盛付きで360°回転します(逆回転にも対応)。ただしDMX値の範囲が狭い為、設置は難しいのが難点と言えるでしょう。スピード範囲も狭い為、バージョンアップ時にはもっと低速のバラエティを増やして欲しいところです。
 ダイクロイック反射鏡がマウントされたスポットは、角度調整さえしっかりすればそれなりの出力があります。ただしスポットの調節できる範囲は限られています。標準(3ネジ)アジャスターの照度計を830〜290に調節する程度しかありません。ちょうど良い出力が得られるまで、調整に一時間以上を費やしました。おそらくPILOT150はナイトクラブを対象に製造されたシンプルなムービングなのでしょう。
 ヘッドの動きに関してはプリセット・プログラムが搭載されており、サウンドアクティブでトリガー可能です。ただし取扱説明書にはプリセット・プログラムに関する記載がほとんどありません。マスター/スレーブ設定は不可能のようです。
 最後に気になったのが、稼動ノイズです。本体底部に格納されたファンの回転ノイズははっきりいって耳障りです。また150Wの本体に対して排気温度が40℃以下というのも気になるところです。おそらく排気量が少なすぎるのでしょう。
 結論として、ナイトクラブ向けのシンプルなムービングヘッドとしては優れた機材です。ただし搭載機能の質素さを考慮すれば、もっと販売価格を下げてよいのでは、と感じました。

PILOT300

 PILOT150の大出力版です。外観、内蔵部品ともにそれほど違いはありません。2色ホイールと回転ゴボホイールは全く同じですが、配置が違います。PILOT300では各ホイールが直線状にならんで配置されています。ホイールの性能についてはPILOT150と同じ印象を受けました。PILOT300にはディマー機能、調整可能なフォーカス、回転プリズム(アームマウント)が搭載されている為、再現できるムービングエフェクトの数は300に拡大されています。従ってステージ照明として開発された製品であることが分かります。
 本体と光を投影する面との距離は短いほうが良いエフェクトを得られます。PILOT300に使用されている電球は300-W HTI(120-W HMIのエコノミー版のような感じ)で、反射鏡の中に格納されています。また2レンズコンデンサーが装備されていますが、光の出力はあまり強くありません。取扱説明書の照度3500という記述には疑問があります。こちらで試したところ、設定によって1100〜1300の照度を出すのがやっとだったからです。ランプホルダーを開き、電球が正しく設置されているか確認しましたが、照度は変わりませんでした。電球はネジ(3つ)を緩めたり締めたりすることで角度を調整します。調整作業は経験のないユーザーでも簡単に行えます。スポットの照度は継続して利用しても変わりません。また出力レンズは非常に高品質で、様々なコントラストが楽しめます。またガラスゴボも綺麗に投射されます。
 PILOT300の鎌形のディマー・ストロボ・ブレードはスポットエリア全体にディマー効果を発揮します。光の出力が弱い状態だと、コントロールチャンネルに装備されたステップによる効果を実感できるはずです。またPILOT150と300にはソフトウェア面の類似点もあります。ゴボおよびディマー・コントロールの構造が全く同じです。
 相違点としては、スタンドアローン機能の数はPILOT150より300のほうが少なくなっています。特筆すべきは、PILOT300にサウンドアクティブ機能が搭載されていない点でしょう。しかしPILOT300のフォーカス・コントロールには特別機能も装備されています(スイッチがCUTに設定されている場合、レンズは即座に設定ポジションに戻ります。一方レンズを手動で動かすと、新規のポジションにゆっくりと移動します)。
 残念なことに、換気用ファンのノイズはPILOT300でも改善されていません。PILOT300には3台のファンが搭載されています(ライト・ステージの両側と底面)。ヨーロッパの製造技術に造詣が深く、照明市場に新しく参入するPearl Riverが、ファンノイズに対する配慮を怠っていると言う事実には正直がっかりしました。
 結論として、PILOT300は大出力ではありませんが、スポット照度の安定性とエフェクトの素晴らしさによってステージ照明として活用できる機材です。搭載機能と品質を考えれば、小売希望価格も妥当と言えるでしょう。


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