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優れたステレオ録音は、洗練された左右のイメージを創り上げる技術をもった優れたエンジニアの腕にかかっているというのが通説でした。ステレオ録音には「マッチした」2本のマイクが必要とされますが、単純に同じモデルのマイクを2本用意したところで「マッチング」が成し遂げられる訳ではありません。どれだけ厳密に制御されたメーカー技術であっても、周波数特性、感度、SPL特性などは同じモデル間でも微妙に異なる場合があります。「マッチした」マイクというのは、本当の意味で「マッチ」していなければなりません。
Centre Image
人間には耳が2つあることがステレオ録音テクニックの大前提となります。人間の耳は左右の音を聴き分け、その音が来る方向を感知します。優れたステレオ・イメージを生み出すとされる「マッチした」2本のモノラル・マイクでも、その2本の相対的な位置によっては結果は異なってしまいます。音源が真正面にある場合(音響的環境も整った状態で)、音は均等に左右の耳まで届きます。つまり、厳密なステレオ録音はこの結果を反映しなければなりません。同じ音響効果を捕らえるには角度も重要な要因です。これにより左右のイメージバランスに加えてセンター・イメージも忠実に再現されます。
Why
XY?
ステレオ録音において最も使用される方法は、「XY」方式によるものです。これは高音質な2本の単一指向性マイクを用意し、2つのダイアフラムをできるだけ近い位置に、そしてお互いに90°に傾けた位置に設置する方法です。
XY方式を採用する一番の利点は、2つのダイアフラムの間隔が狭いことで位相差のズレをなくし、ステレオ録音をモノラル対応にできることです。真正面にある音源は同じレベルで捕らえられ、2本のスピーカー間でもファンタム・センターイメージを再現されます。しかしながら、単一指向性マイクは軸に対する正確な周波数特性を持つため、ステレオフィールド内の最も左右にあたる音はセンターに比べると輪郭も薄れてしまいます。XY方法でのマイクの角度は、通常80〜130°とされ、その中でも90°がよく使われていますが、この設定にすることで170°の幅をリアルにカバーすることができます。XY方式では、いかに全体の音がしっかりとステレオイメージを捕らえても、モノラル対応に優れていても、遠近感と深さ(depth)に欠けることがあります。一般的にXY方式とは音の漏れを最小限に抑え、モノラル対応とするためのセッティングなのです。
NT-4の印象
NT-4を初めて目にした時、印象に残る外観にインスピレーションを感じました。
従来のステレオマイクは、高価であるために入手困難なカテゴリーに位置するか、70/80年代に出回っていた2トラックレコーダーに使用する安価なものしかありませんでした。ポータブルDATやMDが発売された頃、高品質でしかも手頃なステレオマイクはほとんど市場になく、DAT用オプションとして今まで販売されているものはプロ機材の基準には達してはいなかったのです。しかし、このNT-4はポータブル・レコーダーに使用する時に優れた威力を発揮します。5
PINマイク端子にはステレオ・ケーブルとステレオミニ端子ケーブルが付属しており、様々なポータブル・レコーダーにも対応します。Sony D8
やTascam DA-P1などはステレオミニ端子とXLRオーディオ入力を両方装備しているので、どちらでもNT-4を使用することができます。 |
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