新型ドラムマイクロフォン
Micro-D発表


DRUM!誌 Vol.11
AUGUST/SEPTEMBER 2002
    AUDIXMICRO-D
ドラムマイクロフォン


クリップ式ミニコンデンサーマイク
Audix社の最新トランスデューサー、Micro-Dは超小型ながらパンチの効いたコンデンサーマイクです。このクリップ式ミニマイクは様々なシーンで活躍しますが、その中でも高いSPL性能(140dB)を考慮すると、ドラム、パーカッションに使用するのが最適といえます。外見はただの小型マイクに見えますが、そのために音質や機能を損なってはいません。


スペック
●モデル:Audix Micro-Dミニコンデンサーマイク
●付属品:ADX20ミニコンデンサーマイク、D-Viceフレキシブル・グースネックアダ
プター(ショックマウント付き)、ファンタム電源アダプター、フォーム・ウィンド
スクリーン、専用ポーチ
● トランスデューサータイプ:コンデンサー(分極)
● 周波数特性:40Hz〜20kHz
● ポーラ・パターン:ハイパーカージオイド(通常)、カージオイド(オプショ
ン)
● 出力インピーダンス:250Ω
● 開回路感度:5mV(ref 1kHz@1 Pa)
● 等価ノイズレベル:24dB(A-weighted)
● 信号対雑音比:70dB(ref 1kHz@1 Pa)
● 定格電圧:9〜52Vファンタム電源
● 最大SPL:140dB
● ケーブル/コネクター:3ピンXLRオス、ゴールドプレート
● 極性:2ピン、ホット、3ピンXLR出力端子と連結
● 筐体:カプセル−真鍮、保護環−アルミニウム
● 重量:57グラム
● 黒Eコート仕上げ

商品内容

Micro-D(モデルADX20-d)の付属品として、スレデッド・ハイパーカーディオイド・カプセル(交換可能)があります。隣接した音源の分離に優れているため、ドラムなど接近した楽器のマイク収音に適しています。より広い収音パターンが必要な場合は、オプションのADX-cカーディオイド・カプセルに取り替えるだけでOKです。その他の付属品として、ケーブル、9-52V用ファンタム電源(標準XLR端子を経由)、D-Viceグースネッククリップとアルミカバー、ゴム製ショックマウント(オプションでクリップモデルx2、スタンドアダプター有)、フォーム・ウィンドスクリーンがあります。部品は全て専用のナイロン製ポーチに収納可能です(Audixロゴ入り)。
 
ケーブル、クリップ

マイクは長さ2.54cm、直径1.27cmという超小型ですが、筐体後
部から突出する長さ168cmのケーブルを内蔵しています。必然的にケーブルは細くこの手のミニマイクでは標準的なものですがが、気になるのは耐久性です。またケーブルが本体から取り外し不可能であることも難点です。取り外しが出来ないと、補修やケーブル接続、収納がしにくいからです。しかしテストの結果、その点は気にならず合格レベルのようです。クリップ式マイクの利点は目障りでないことに加え、マイクスタンドの占めるフロアスペースを節約できることにあります。シンバルスタンドが場所を取ってしまっている時は尚更です。Micro-Dは調整可能なグースネックに固定されており、グースネックを取り付けたバネ式クリップはドラムのリムに挟めるようデザインされています。グースネックはウィングナットを使って溝に固定することも可能ですが、あまりきつく締めすぎない方がいいでしょう。グースネックは調節可能なため、マイク−ドラム間の距離を約5cm〜8cmの間で調節できます。またプラスティック製のクリップは使い易いのですが、焦ってドラム・フープから取り外すと反動できつく閉じてしまうなので注意しましょう。また取付口の狭さから、Ayotteキット、JT Whitney PenguinキットにはD-viceクリップを取り付けることは出来ませんでした。その場合はオプションのマウンティング・キットが問題を解決します。D-clampはグースネックが長く、D-flexクリップは取付口が標準品より広くなっています。D-flexを使えば、通常のスタンドにマイクを取付ることが可能です。ゴム製ショックマウントの付いたアルミカバーは固定力に優れ、振動やノイズからマイクを守ります。が、繰り返し使用するうち磨耗するのは否めません(商品テスト期間内でゴムに消耗が見受けられました)。またケーブル保護用のゴム製リングも品質が高いものの、耐久性については不安があります。時間の経過と共に劣化したり、ライブなどの厳しい環境ではすることが予想されます。
 
テスト

Micro-Dの周波数特性グラフは特にフラットというわけではありません。ピークは1kHzと8kHz、8kHz以降で急なロールオフを形成し、150Hz以下で若干のスロープ、3kHz付近で5dBの落下があります。スペックでは40Hzから20kHzの間での均一な周波数特性を示していますが、重要なのは実際に耳にする音です。Micro-Dはレコーディングとライブの両方に対応するとのことなので、以下の実験をしてみました。

マイクを数本配置してダンスミュージックのタムをトラック
ドラム・トラックをADAT XT20に録音
Ex'pression Center for New MediaのMeyerホールでのライブ・パフォーマンスをテスト収音

レコーディングテストにはMackie 社製VLZボードを使用し、Crest製 V12コンソールを使って音声信号を送信しました。ライブテストにはMeyer社のスピーカーを使いました。
レコーディングキット:10"x8"、12"x9"、14"x11"のタム付きDWメープルキット(トップにRemo Emperor、ボトムにAmbassadorsヘッドを装備)14"x5"ソリッド・メープルCraviotteスネア(ヘッドにRemo Coated Ambassadorを装備)ダンスミュージックのテストでは、CB700kitの16"x16"フロア・タム(トップにRemo Pinstripe、ボトムにcoated Ambassadorを装備)を加えました。
一方ライブテストでは、ハウスドラムセット、つまりDrum Workshopキットのラウド・パシフィック(12"x10"、13"x11"、16"x16"タム、トップにRemo Pinstripe装備、Remo Coated Ambassador付きの14"x5"ウッド・スネア)を使用しました。Audixマイクの音質に狙いを定めるため、Micro-DとShure社製Beta98ミニ・スーパー・カージオイド・コンデンサーの比較を行いました。更に調査を徹底するため、コンデンサーマイクとダイナミックマイクの差異はありますが、AudixマイクとSM57ダイナミックとの比較も行いました。結果は下記のとおりです。
 
Whopper Sound

Micro-Dはライブ環境でかなりのゲインを発揮し、コンソール・プリアンプのゲイン出力はBeta98に比べ、-20dBも少なく済みました。Beta98に比べMicro-Dの音質は厚い一方、アタックの明度は弱まります。Micro-Dの高音部は特に軽快ではないものの、原音に忠実で温かみのある音を出します。ミッド、ロー・タムに関しては、Micro-Dはローエンドの多い、良く響く音を出しましたが、低音はしまりの無いものでした。200Hz周波数を5dBほどマイナス調整すると、ローエンドの引き締めが可能です。Micro-Dの全体的な評価として、大半のサウンド強化用マイクより大きく、豊かなサウンドが堪能できると言って良いでしょう。しかし個人的な感想としては、Pacificタムの音が頼りなく、ミッドレンジ・リングを強調し過ぎるようです。一方スーパーカーディオイドBeta98の音はより引き締まったものでした。Micro-Dのハイパーカーディオイド収音パターンはかぶりが少なく、ダイナミックマイクに比べてトーン、再現度の高いオープンなサウンドを提供します。レコーディングテストでの成績は各マイクとも優秀なものでした。Cravittoスネアに関して、Micro-Dは歯切れの良いアタックと共に温かみのある音を出します。しかしながら音の厚みに関しては、SM57(ダイナミックマイク)に劣るようです。またコンデンサーの感度が高いため、スネアのミッドレンジが強調されがちですが、若干のイコライジングで問題は解決します。Micro-Dの収音は再現度が高い一方で、スネアノイズも他のマイクに比べて多く拾うようです。タムタムの収音に関しては、2種類の手法を試しました。双方別々に録音する方法と、ADX-20を一台、ドラム2個の間約8cm上に設置し、同時に録音する方法です。1個のマイクでドラム2個を同時に収音する方法では、別々に収音する手法に比べて音の拡張性、共鳴の点で劣りました。が、同時録音でも両方のタム、トーン、そしてアタックは十分にピックアップされました。フロア・タム上に設置したMicro-Dはキック・ドラムのブームを深く拾います。この性質はミックスでのキック・ドラムの低音を強調する点では有効といえますが、適切なイコライザーがないと、サウンドが不明瞭になる恐れもあります。
 
Small Dog, Big Bark

結果的に、Micro-Dはドラム・パーカッション用トランスデューサーとして素晴らしい製品と判断しました。規格的な面においては取り外し可能なカプセル、目障りでない小型デザイン、ファンタム電源アダプター、そしてフレキシブルなマウンティングオプションといった利点が沢山あります。しかしドラムクリップのデザインは丈夫で便利ではあるもの、バネ式クリップの扱いやゴム製ショックマウントの耐久性について若干の心配はあります。音質的な面においては、ライブ、レコーディング双方で豊かな音質と歯切れの良いアタックを実証しました。Micro-Dミニコンデンサーマイクは見かけによらず、ドラム録音についてはパンチ力のあるマイクと言えそうです。




関連記事:
 http://www.audixusa.com/micro_d.html
SPECIFICATIONS MICRO-D
Transducer Type Condenser(pre-polarized)
Frequency Range 40 - 20 kHz
Polar Pattern Hypercardioid (stock)
Cardioid (optional)
Output Impedance 250 ohms
Open Circuit Sensitivity 5 mV (ref 1k @ 1 Pascal)
Equivalent Noise Level 24 dB (A weighted)
Signal to Noise Ratio 70 dB (ref 1k @ 1 Pascal)
Power Requirements 9 - 52v phantom
Maximum SPL 140 dB
Cable/Connector 3 pin goldplated male XLR connector
Polarity Positive voltage on pin 2 relative to pin 3 of output XLR connector
Housing Capsule housing is brass Protective ring is aluminum
Finish Black E-coat
Weight 2 oz. / 57 grams (mic and ring)