Peavey Kosmos Pro MIX誌 DEC2003
Kosmos Pro Front panel
KOSMOSの拡張版、KOSMOS PROは4系統のプロセッサーを装備したアナログサブハーモニック・エンハンサーです。サブハーモニックシンセサイザーQUAKE、低域をブースト/カットするTHUD、高域、ステレオイメージ・エンハンサーXPANSE、ダイナミックHFエフェクターSTRATOSを搭載。更にKOSMOSと違い、+4dBバランス仕様XLR入出力、S/PDIFデジタル入出力を装備しています。KOSMOS PROをドラム、ベース、ギター、フル・ミックスで試してみましたが、どの場面でも他のアナログプロセッサーの組み合わせでは得られない素晴らしい働きをしてくれました。

UP AND DOWN KOSMOS PRO
KOSMOS PROはダイナミック・プロセッサー用のTHAT VCAチップ、AC電源サプライ、S/PDIF入出力用の単結晶半導体を内蔵しています。S/PDIF入出力はアナログ接続と平行し、最大48kHzのデジタル信号を受信します。フロントパネルにはグローバル・バイパス・スイッチ、切替式LEDメーター、入出力レベルPOT2系統(センター・デテント)を搭載。POTの感触はやや軽めですが、ノイズもなく、正確なコントロールをすることができ、各POTで最大10dBのブーストが可能です。「CUT SUB-BASS FROM MAIN(サブ・バスをメイン出力からカットする)」ボタンを押せば、低域エンハンス信号をメイン出力から切り離し、モノラルサブウーハー端子(フォン)に送信します。この機能によってステレオ信号の通常の低域とサブ・ハーモニック・エフェクトを切り離し、サブ・ハーモニック・エフェクトのみを別のトラックで録音することが出来ます。したがって出力がひずむことはなく、ダイナミックを幅広く保てます。

IN THE STUDIO
QUAKEは、実際の入力信号より1オクターブ低い低音を再生します。入力信号をダイナミックにトラックしますが、信号処理できる範囲は最大100hzと制限があります。アクティブLEDにより、処理範囲内の音声信号の有無をチェックできます。QUAKEはバスドラ、タム、オーバーヘッドおよびルーム・マイクに最適です。私はドラムキットのマルチトラック録音において、KOSMOS PROをステレオセンド&リターン接続しました。そうすることによってトラックごとに異なるリバーブレベルを設定することが出来るのです。ドラム・ルーム・マイクのロー・エンドを引き立ててくれるところがとても気に入りました。サブハーモニックスの音質はクリーンで、トラッキングの誤差もありません。Kosmos Pro

DYNAMICSは、QUAKEが再生する音声信号のリリース・タイムを調整するダンパーペダルのようなものです。最初にレスポンスを早く設定し、徐々に緩んだ音に調整していくことができます。キックドラムの録音では、DYNAMICSを使ってサブハーモニックスのHANG TIME(サステイン)を調整してみました。アコギのソロでDYNAMICSを長めに設定してみると、まるでベースが加わったような音になりました。ギタリストがリズムカルにTHUMPを加えると、1オクターブ低い音として再生されました。

THUDはマルチバンド・コンプレッサーのようなものです。入力信号を自動的にトラックし、100Hz〜350Hz帯の周波数をブーストします。THUDはQUAKEの出力より約1オクターブ上に設定されています(オリジナルの入力音源と同じレベル)。QUAKE、THUDともに出力信号は位相同期されています。THUDは音質に重みのないアコギ・トラックに自然な低域を重ねたいときに便利です。
THUDはまたダイナミック・ベースEQとして機能し、楽器、ボーカルのどちらにも適しています。DEEPERボタンによってTHUDの中心周波数帯を変えることが出来ます。したがってTHUDとQUAKEの中心周波数帯の差異を狭めることが出来ます。

XPANSEは位相、タイムおよび周波数領域をダイナミックに調整するステレオ・フィルターです。PEAVEY社のLloyd Trammell氏によると、位相シフト角度は左右のチャンネルによって違うそうです。左チャンネルでは+3°、右チャンネルでは-7°であることもあります。位相シフト角度は入力信号の周波数レベル、振幅によって異なるそうです。BAROMETORICツマミにより、XPANSEが作動する周波数範囲を設定します。

BAROMETRICツマミを左側一杯に回した場合(DENSE)、XPANSEの作動範囲が最も広く、コントロールする位相レベルも最大になります。右側に回した場合(THIN)、作動範囲、レベルともに低くなり、高域をブーストしているような音質になります。マイクを2本使って2トラック録音したアコースティックギターにXPANSEを使ってみました。極端に左か右にPANを定位させた場合、その音質はモノラル録音のようになります。XPANSEは音質に立体感を加えてくれました。モノラルに設定した場合、フェーズ(低域)が若干失われます。

DIとアンプによるベースの2トラック録音では、XPANSEを使って立体感と音の幅を生み出すことが出来ました。XPANSEはドラムヘッドやステレオペアにも好相性で、出力に、スピーカーの性能以上に音の幅を持たせることが出来ます。BAROMETRICつまみをTHIN側に回すと、音がしゃきっとし、音の幅を狭めることが出来ます。

PEAVEYのギターアンプ特許技術TransTubeを元に作られたSTRATOSは、高域をブーストします。音質がよく、EQ独特の空気感は特にアコースティックギタートラックに素晴らしい効果を生み出します。STRATOSはダイナミックなため、通常のEQ処理をしたときのように若干ヒスノイズが強調されることもあります。

KOSMOS PROは4種類ものプロセッサーを備えた強力なエンハンサーとして、レコーディング、ミキシング、ライブにもってこいの製品です。
Kosmos Pro rear panel

詳細レポート商品一覧へ