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誌上レポート EVENT OPAL

史上最も優れたモニタースピーカー?

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前回多くのモニターを聴き比べ、議論に明け暮れた日々から早くも数年の月日が経ち、再びその時期が訪れました。以下のモニターテスト記事をご覧いただければ、その白熱した様子がわかると思いますが、まずはそのテストについて読んで頂く前に、新製品EVENT OPALに対して受けたインスピレーションについて述べておきます。

Event Electronics社の代表取締役Peter Freedmanが、「妥協のない」デザインとはどんなものか、そして3年間に渡る調査・開発の結果、どんなものを生み出す事ができるかを世界に知らしめる使命を持って取り組んだこの野心的なプロジェクトは、大変大掛かりなものとなり、スピーカーのドライバーについては申請中の物を含めいくつもの特許技術を生み出すことになりました。このOPALの型破りな発想がどんな物か、そして最高の3ウェイスタジオモニターシステムをも凌駕するというEVENTの主張が果たして本物か、我々自身の手で確かめることにしました。事実、OPALには特筆すべき箇所が多くあり、デザインにも非常に力が入っています。それでは、前置きは抜きにして本題に入りたいと思います。

Aural Truth

OPALのサウンドはレビューするのに使わせてもらったモニターを返したくなくなるほど、素晴らしいものでした。どのように素晴らしいかと言うと、まずその可聴域において、驚くほど正確な周波数特性を持っているということです。低域のロールオフは60Hzから徐々に始まり、バニッシングポイント、つまり消失点はおよそ30Hz位ですが、それはまったく問題にならない程度です。正確に、また微細な音までクリアに発音してくれるので、今まで、何から何まで知り尽くしていると思っていた曲を聴いても、新たな魅力を発見する事ができます。オフ・アクシスでの反応もまったく素晴らしい物で、非常に広いスイートスポットと最高のステレオイメージの再現性があります。モニタースピーカーが音を正確かつ味付けを行わずに出力したとしても、実際にはリスナーの耳が位相の歪みや、室内の音響効果によって影響をうけることが時々あります。それは短時間の試聴でも、疲労を感じることからも明らかです。

EVENT OPALのサウンドは、後から人為的に手を加えられておらず、どのような音が録音、あるいは再生されているのか、驚くほど正確に出力してくれます。OPALを実際に使ってみましたが、これまでに無かったほどスムーズに、レコーディングやミキシングを行うことができました。また、他のスピーカーを必要とすることもありませんでした。さらに透明なそのサウンドのおかげで作業の効率が上がっただけでなく、耳の疲れも減り、それだけでも投資に値すると思います。

OPALは、そのサイズから到底想像できない程の、大音量でのモニタリングにも対応しています。

私が少し敏感過ぎるのかもしれませんが、OPALがそのリニアなパフォーマンスを保てる域を超える前に、私の耳や、脳がひずみ始めたように感じてしまいました。

50立方メートルから100立方メートルぐらい十分な広さのコントロールルームであれば、わずかな時間しか耐えられないような大音量になる直前まで、一定の周波数特性を保持し、電気的/音響的な歪みを低く抑える事が出来るでしょう。

低音が効いたサウンドもOPALのパワーの前にはまったく問題になりません。実際これほど低域の反応が良いアンプはほとんど見たことがありませんし、ミックスの中でも低域をしっかり捕らえて微調整することができます。OPALの中域と高域の正確さは、例えばボーカルを音数の多いオケにミックスする場合や、あるいはリバーブレベルのセッティング作業がとても簡単である、と言えばわかりやすいでしょうか。一つ一つのトラックのバランスをはっきりと聴き取ることができ、マイクのかぶりの問題もはっきりとわかるようになります。また、低音域の異常(例えばマイクスタンドから伝わるノイズ)も簡単に聴き取れるため、マイクプリアンプの選定にも時間を掛けずに済み、より効率的に作業が出来るようになります。

Black Mass

これらを実現するためのキーワードは21.2kgというその質量にあります。インジェクションモールドのアルミキャビネットは木製の物よりはるかに値が張りますが、性能の上での利点は大きく、正に妥協することなく音響面での向上を考慮したデザインだと言えます。金属のキャビネットはその堅牢性ゆえ低域をよく反響させるので、低域の増幅に必要なキャビネット内の空間を確保する事ができます。キャビネット正面の両脇に縦長の2ヵ所に開けられたバスレフレックスポートは、対応する周波数が固定される、標準的なバスレフレックスポートと異なり、より広いレンジの低音に対応します。

このポートデザインは低域の増幅を補助していますが、その優れた低域再生を行なっているのが、中低域のドライバー(ウーハー)EX8です。EX8は、ネオジウム磁石と特許取得済みのボイスコイル(X-Coil)を備えた8インチスピーカーです。技術的に深く掘り下げる事は避けますが、カーボンと紙がミックスされたコーンは他の一般的なドライバーよりも素早く、また大きく振動します(リニア・エクスカーションは36mmというとても大きな値となっています)。また許容入力は最大720Wあり、そのパワーは正確な中低域を生み出します。最大100Wの許容入力を誇るツイーターのULD1もまた独特で、ネオジウム磁石を使って1インチのベリリウム銅ドームを振動させることで、歪み防いでいます。このツィーターは、アルミ製のウェーブガイドに取り付けられており、90度回転させることができるので、モニター本体を横向きに置く事も可能です。

パワーアンプ部は伝統的なクラスA/B仕様で、低い歪み率と電気効率のバランスを図っています。このキャビネットの性能はEX8とULD1の二つのドライバーによって最大限に引き出され、フラットな周波数特性を持ちながら、ハイパワーかつ歪みの少ないサウンドに仕上がっているのです。

このほか興味を惹かれる点は、背面の大きなヒートシンクの4ヵ所に開けられた、マウント用のM8ネジに対応したブラケットホールや、前面に取り付けられたシグナルライト(スタートアップ/シグナル/オーバーロード/エラー及びオーバーヒート)、また背面に用意された25ピンD-Subコネクターなどです。現在のところ対応するモジュールは発表されていませんが、このコネクターにデジタルインプットやサラウンドアダプタなどを接続し機能を拡張することができます。

The Weigh-Up

EVENT OPALはまさしく衝撃的な傑作で、今まで耳にした中でも最高の二アフィールドモニターです。ペアで2,495ポンド(市価予想2,100ポンド)という価格は決して安い物ではありません。しかしそのパフォーマンスが、4,000ポンドクラスの、更にはそれ以上の3ウェイシステムにも匹敵することを考えれば、特価品と言っても過言ではないでしょう。他のメーカーにもブランド名に頼った売り方をするだけでなく、製品にこそ力を入れて欲しいものです。

物の価値を判断する場合、その製品が自分にとってどのように役に立つのかということを良く考える必要があります。OPALの場合、聴いている正にその音が信頼できるので、多くの時間を節約することができます。耳の疲れも少なく、楽しみながら音に聴き入ることができるので生産性もあがります。OPALが誇る正確な周波数特性やトランジエントレスポンス、ステレオイメージ、これらを生み出した高品質なデザイン、そしてその圧倒的なパワー、全てが価格以上の性能であり、驚嘆に値します。OPALには使用する部屋で最高のパフォーマンスを発揮できるよう、測定用マイクや分析用ソフトウェアが付属しています。その魅力を十分に語りつくせないほど素晴らしいEVENT OPAL。もし経済的に余裕があるのでしたら迷わず購入されることをお薦めします。もし余裕が無かったとしても節約してでも買うほどの価値がある逸品です。

The Big Test

ここまでお読みいただいた読者の皆様は、私たちがEVENT OPALにこれほどの高評価をつけていることに驚かれたことでしょう。正直、私達も新しく登場したこのモニターのパフォーマンスにとても驚かされました。そこで、その驚きが誤解ではないことをはっきりさせるため、他のとても評価の高いモニターと比較する必要があると感じたのです。

私たちはたくさんのモニターと箱一杯のCDを持ってTetburyのModern World Studioに向かいました。最初にバンに積み込まれたのはもちろんEVENT OPALです。数々の賛辞を浴びていますが、果たしてその実力は本物か?そして次に選ばれたのが、多くのレビューやインタビューにおいて、2,000ポンドクラスでは最高と評価された昨年の覇者、FocalのJM Labs Twin 6 BEです。信頼の置けるスタンダードなモニターとして、PMCのTB2S-Aも加えました。利用しているスタジオが多く、妥当な選択であるというだけでなく、他のモニターと比較する際の良い指標になるので、的外れな議論を避けることができると考えたのです。意外性のあるモニターも加えようという話になり、数ヵ月前のレビューで好評を博したEquator AudioのQ8も加えました。最後に選んだのは、これもレビューで良い評価を得たKRKのVXT8sです。ダンスミュージックの製作となれば、このモニターは経済的なことも含めて強くお薦めできるものです。

Choose Your Weapons

私たちはまずテスト用の曲を流しながら聴き比べることから始めました。全モニタースピーカーのスイートスポットのレンジを知ることと、曲に関わらず頭一つ抜き出たパフォーマンスを発揮する製品を探すことに注力しました。選択した曲をPro Toolsで読み込み、スタジオ備え付けのSSL Dualityの各チャンネルを介して、曲とモニターを素早く切り替えることができるようにしました。これは各モニターをつき合わせて調べるには欠かせないシステムです。また、録音された音源だけではなく、実際の楽器の音にどのように反応するのかを調べるために、ピアノとドラムキットも用意しました。私たちは一度に二つのペアを設置して比べることにしました。こうすればどのモニターもポジションによって不利になることはありませんし、簡単にA/B比較を行うことができるので、順次モニターを入れ替えて詳しく調べることができました。

PMCはすぐに、他のモニターと比較する上での基準、ベンチマークとなりました。モニターとしてのパフォーマンスには意外性はありませんでしたが、全ての曲とライブ演奏のサウンドを期待したとおりに再生してくれました。Equatorは間違いなくボトムエンドを強調していて、一連のテストではこもったような不自然さを感じる事もありました。もっともテスト結果にばらつきがあったのはKRK VXT8’sです。Daft Punkのダンス曲での鳴りは一級品でしたが、Marilyn Mansonの Tainted Loveでは中域の成分が多く、耳に付く感じがしました。

The Final Throwdown

ここまでは全てにおいて優れているモニタースピーカーはありませんでした。ここで、期待の2機種、昨年の覇者Focalと、その座を狙うOPALの登場です。どちらも良く似た心地よいサウンドで、評価は非常に難しい物となりました。スティービーワンダーとAC/DCの曲は突然、空気感をまとったようになりました。特に低域が強調されたD’Angeloの曲では、OPALの堂々としたボトムエンドが見えてきました。ますます甲乙つけがたくなり、長めの休憩をとった後、FocalとOPALの位置を入れ替えて最終的なテストに臨むことしました。OPALの低音は強すぎるのか、あるいはFocalではTainted Loveの迫力を表現しきれないのか、結論を出すのは非常に困難を極めましたが、最終的に一つの質問が決着をつけることになりました。もしも私たちテストチームがどちらか1つのモニターを、今日持って帰ることができるとしたらどちらを選ぶか。答えは全員一致でEVENTのOPALでした。こうして勝者が決まったのです。

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