C-451B
MIX (America/Canada)
APRIL 2002 VOL.26, NO.5
蘇るクラシックカーディオイド Reworking Classic Cardioid
 
AKG C-451Bは、名機C-451への敬意をもってデザインされたマイクですが、単なる「復刻版」ではありません。完全に新しい製品として、最新鋭の構造技術を駆使し、より洗練されたサウンドを再現しています。
 
A Little History
オリジナルのAKG C-451Cコンデンサー・モジュラー・システム(CMSシリーズ)は 1960年代後半から80年代中期にかけて生産されたベストセラーマイクです。様々な用途に柔軟に対応できるようにデザインされました。ファンタム電源を供給するN-46EデュアルACパワーサプライと2ポジション切替の低音ロールオフ・フィルタースイッチを搭載していました。
C-451BはAKGにとって初のソリッドステートコンデンサーマイクで、真空管の代わりに当時としては新しいFET(フィールドエフェクトトランジスタ)を採用しました。C-451の登場により、AC701K真空管を使用したAKG/Norelco C-60ペン型コンデンサーマイクと小型RCA7586 Nuvistor真空管を使用したC-61は、世代交代の時期を迎えたのです。C-451EBやC-452EBなどの新しいタイプが次々に登場し、1994年には経済的な問題もあり、CMKシリーズとCK-1カプセルは販売終了になったのです。

What's NEW?
AKG R&D開発部は、新しいC-451Bの開発にあたり「Creme de la Creme(精華、最高のもの)」とされる12個のビンテージCK-1カプセルを世界中から取寄せ、オリジナルの音響特性を測定しました。新しく採用されたカプセルは、CK-1と同じ単一指向性パターンを持っています。
CK-1カプセルが蘇った後にはマイクのボディーにSMT(表面実装技術)パーツを使用することでアップデートし、小型の印刷回路板と金メッキXLRコネクタ、金メッキカプセルなども使用しました。




The SOUND
比較テストの結果では、C-451Bの新型トランスレス出力は高い音圧レベルでの低域再生において優れています。C-451E、C-451EB、C-452E、C-452EBと比較してもC-451Bの出力レベルの方が高いことが判明しました。細かなデータを抜きにすれば、比較されたマイクサウンドはいずれも最高のものだと言えるのですが、C-451Bのサウンドはどのマイクよりも「心地よい」音を再生します。C-452より暖かみもあり、低音のロールオフサウンドも優れています。
C-451Bはステレオペアでの販売も行われています。シングルマイク(1本)の場合、マイクホルダー、ウィンドシールド、ソフトバッグが付属しています。
この誌上レポートのために、コンピュータによりマッチングされたステレオペアタイプ(2本セット)が送られて来ました。本体には2つのマイクホルダーと2つのウィンドスクリーン、ステレオマウンティングバーH-50、専用キャリングケースが付属しています。「マッチングされた」と簡単に表現されてはいますが、届いたマイクの周波数特性グラフ(20Hz~20kHz)を比べてみると驚くことに全く同じだったのです。実際に2枚のグラフを重ねてみても寸分の違いもありません。
AKG社では、生産されるマイクの周波数特性のデータをコンピュータデータベース上で管理し、最も近いペアをピックアップするのです。ペアとなるマイク間での周波数特性と感度測定結果の誤差は、わずか±0.5dB以内で抑えられています。(下のグラフを参照して下さい)
 

In the Studio
スタジオ内でのC-451Bの最もポピュラーな使用法は、ドラム・オーバーヘッドとアコースティックギターの録音です。小型ダイアフラム仕様のマイクが優れている点は、ドラムやアコースティックギターなどの「パーカッシブサウンド」の忠実な再生です。ドラムの場合、ハイハットとスネアドラムの音はとてもシャープで「広がり」さえも感じられます。アコースティックギターでは、以前のモデルよりもタイトで低域にかけてクリーンな印象を受けます。

そんな優れたC-451Bを使ってみると、懐かしいC-451Eの思い出が蘇ってきます。


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