AUDIX Audix D6 Bass Drum Microphone Modern Drummer
April 2003




プロセッサーを通さなくても
素晴らしいサウンド

サイズが小さいので
セッティングが楽

壊れにくい
by Mark Parsons



QuestionAudix はすでにD4という素晴らしいバスドラム用マイクがあるのに、なぜ、D6なのでしょうか。D4のニューバージョンなのでしょうか。D4の後継モデルでしょうか。それとも、D4の廉価バージョンなのでしょうか。
Answerいずれでもありません。
 D4は、音圧レベルの高い低周波音を忠実に再現する素晴らしいマイクです。しかし、忠実さのみではなくマイク本体がもつ独自の「カラー」を求めている人もいます。現在市場に出回っている真空管プリエンハンス・バスドラム用マイクを見て下さい。新しいD6は、プリエンハンス・マイクですが、他のプリエンハンス・マイクとは全く違います。プリEQマイクの中でも優れた部類に属するマイクです。
 新製品のマイクを分析する場合、スペック云々よりも個人の「好み」が優先してしまいがちです。ワインや車、シンバルのサウンドが良い例でしょう。しかし今回のレビューでは、そういった個人の「好み」で話が進まないよう、出来るだけ客観的な分析をしてみます。一言で言えば「素晴らしい」ということになります。もちろん個人の「好み」だけではなく、科学的な観点から見たD6の素晴らしさもあります。まずはこんな話から始めましょう。

History Lesson
 D6は新商品ではありますが、突然思いつきでデザインされて登場したようなマイクでは決してありません。数年前にDシリーズがデビューした頃、当時はまだ名前が発表されていなかった「D6」を開発中であるという噂は流れていました。D4と同じようなマイクをすぐに発表することも可能であったと思いますが、Audixは「これぞ完成形」と納得するまで試行錯誤を続け、このD6が誕生したわけです。
  このD6を開発するにあたって最も重要視したのは、いかに位相の面でトラブルを起こさずに音源をエンハンスするかという点でした。そして、様々なアプリケーションに対して柔軟でなければなりません(少なくても特定の楽器ファミリーに対して万能でなければなりません)。

Design
 D6は他のDシリーズと同じようなデザインですが、サイズが大きく異なっています。直径2インチ(約5cm)、長さ3インチ(約7.6cm)、細いデザインのテールピース(もちろんAudix純正マイクホルダーに対応しています)。耐久性に優れたワンピースボディーは、ソリッド・アルミニウムから削り出したものです。セミグロスフィニッシュ(黒)とニッケルの2種類があります。
  「ソリッドで機能的なマイク」という形容は、どのマイクにも当てはまる誉め言葉です。では、D6がその中でも優れたマイクであるといえる特徴は何でしょう?答えはマイク本体の「内部」に潜んでいます。周波数特性のデータを一目見れば、このD6がとても魅力的で興味をそそる1本である事実に納得できるはずです。
 バスドラム用のマイクは、通常は125Hzで低音域がブーストされますが、D6はそのさらに1オクターブ下にブースト域を集中させています。この効果により、音のヘビー感も増します。200-1,500Hzのローミッドを若干カットしています。これにより、タイトなキックサウンドをさらに際立たせることに成功しています。高音域では、アタックが強調される4kHzのブーストが予想されますが、実際には10-12kHzを強調しています。この改善により、はっきりとした輪郭が再生されるのです。
In Use
  発売前のD6がテスト用に届いたために、取扱説明書の類は一切付属されていませんでした。したがって、典型的なマイクセッティングでD6を設置し、試聴を開始しました。第一印象のメモを抜粋したものが下記の文章です。
「高音域がチューニングされているため、ビートの音がはっきりと再生されている点が特に気に入っています。他のマイクに比べて、更に高音域が強調されているように感じます。とげとげしさがなく、キックアタックの質もよりよく聞こえます。ローミッドがカットされていて、スムーズ。その結果、低音域がずっしりと重量感たっぷりです。」
  テストセッションの後、Audixからe-mailにてD6のスペックやチャートが届き、それを見た瞬間つい笑顔がこぼれてしまいました。なぜなら、スペック表が示すように、自分の耳が正確にD6の音を聞き分けられるだけの力を今だ持っていたことが分かったからです。もう1点は、聞き取ったD6の独特のサウンドが、意図的にデザインされたものと分かったからです。
  次に、D6をバスドラムの内側に設置し試してみました。D6は、バスドラムマイクとしては大変コンパクトな為、ポジショニングが楽に行えました。ここで得られたサウンドは、今までのテストのなかで一番優れていました。EQやコンプレッション抜きのコンテンポラリー・バスドラムのサウンドとしては、私が過去聴いた中で群を抜いて最高でした。そのサウンドには重みがあり、低域がはっきりと聴き取れました。またミッドレンジも非常にスムーズです。この音を聴いたとたん、きっと「D6のなかにはミキシングコンソールを操作する小人が住んでいるのではないか…」、とマイクを解体する衝動にかられたほどです。ダイナミックマイク一本でこんなに完璧な音質が生み出せるとは、驚きとしか言い様がありません。
 次に12×14タムでテストを行いました。全くシグナルプロセシングを行うことなく、フラットかつ滑らか、クリアな音質を手に入れることができました。
Now Hold On
  D6と同時に発売されたのが、Dクランプです。Dクランプはコンガなど、テンションフックを使用するハンドパーカッション用のマイク・マウント用クランプです。Dクランプはドラムにしっかりと固定でき、薄いグースネックを使ってマイク角度を調節することができます。
 コンガにD6をマウントする場合、D6をコンガ上部に設置したほうが音質が良いだろうと私は考えました。この方法で得られた音質は少しスムース過ぎ、必要なミッドレンジがD6の許容範囲を超えているようでした。
 コンガ収音の場合、私ならばAUDIX D-2やSHURE SM57のようなクセの少ないマイクを選ぶでしょう。もちろんAUDIX D6は「コンガ用マイク」ではないのだから当然の結果でしょう。
 D6で良い音質が得られた収音方法とは、ドラムの前にD6を設置しアンビエンスマイクとして使用する方法でした。D6をドラムキットから約10cm、床から46cm離して設置します。もちろんバスドラの音が目立ちましたが、D6の高度Transient機能により、その他のドラムの音も十分に拾われていました。結果として実が詰まった、再現度の高い大きなサウンドを出すことができました。典型的なドラムミックスにスプラッシュ感を加えたいので、このミックスをコンプレッサー処理して使おうと思っています。
Conclusion
 結論 D6は妥協を一切許さない、優秀なコンテンポラリー・ドラム用マイクとして設計されています。
 音源を忠実に再現するリニア・バスドラ用マイクを探しているのであれば、AUDIX D6はその要望には応えられないかも知れません。しかし、どっしりとした低域と輪郭のはっきりとした高域を無理なく取り入れたいのであれば、D6以外にお勧めするマイクはありません。
 WillRoger氏の言葉を借りれば、「使いものにならないマイクに出逢ったことはない」ということです。しかし、ただ単に「使えるマイク」と「使い方に苦労せず、仕事を正確にこなしてくれるマイク」では大きな差があります。D6は間違いなく後者のタイプです。

Audix D6 バスドラム用マイク
仕様
周波数特性 30Hz-15kHz
最大SPL 144dB
ボディー アルミニウム
フィニッシュ 黒/シルバー
寸法 直径5cm、長さ11cm
重量 230g


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