AmericanDJ
PRO SCRATCH 1
Wired 誌2001年3月号

 20年前、友人とバットマンの映画の中でバットマンが車に飛び乗ってCDを投げ、そのディスクをレコードのようにスピンさせた場面を見て笑ったことがある。映画の音響編集者がレコードを針でスクラッチした音を完璧にオーバーダビングさせたのだが、ハリウッド仕込みのナンセンスに騙されることはなかった。レーザーは針とレコードの音感を真似ることはできなかった。しかし今は違う。
 American DJ製のProScratch1は、CDにレコードの感触とほぼ同等の機能を与えた最初のデジタル・アナログ・コンバーターだ。ProScratch1の鍵は直径10cmのゴム製ダイアルであり、CDに直結しているわけではないが、これを使うことによりDJが些細な音のコントロールをすることを可能にした。他のメーカーも過去にスクラッチ機能を盛り込んだことがあったが、それはあくまでシミュレーションであり、実際にプレイバックされている音楽からのものではなかった。それと違って、このマシンは手と指の動作のスピードと方向性を察知してそれをデジタル化された音楽データに応用するのである。
 実際2kgの箱から取り出した本機を近くのクラブで使ってみたところ、既存のシステムにすぐにとてもよく溶け込めたのは、この10cmのCDサイズのホイールがしっかりとビートをつかむことができるだけでなく、ポーズする際にも何ら雑音がないからだ。数分もするとターンテーブルとともにProScratchを使いこなすのに慣れてしまった。そして踊っている観衆は、その音と普段のターンテーブルの音とを聞き分けることができなかった!
 これだけではない、シームレス・ループやサンプル・リコール、ダイナミック・エフェクト・プロセッシング(エコー、フランジ、フェード、パン)等のDJトリックはこのマシンをおもちゃとは比較できない物にしている。ルーピング・オプションはデジタル信号をプロセスすることにより現在プレイバックされているトラックをリアルタイムで途切れなくループさせることができる。オーディオ・エフェクトはベーシックにりミックスされた音楽でさえも、いとも簡単にかっこ良くできるし、更にフラッシュ・スタート・ボタンを使って同じディスクから2つのトラックをミックスすることができる。(今まではディスクをまずダビングしなければならなかった)。インスタント・リコール機能を使うことによりDJの忙しさは半減する。384のユーザー・プリセットがあるため、何百時間もの音楽をカテゴリー別に分けたり、その晩に使うプログラムの全てを保存するのに活用できる。DJのビギナーでも練習中に針を折ったりレコードを傷つけたりすることがないのでこのマシンを愛用してしまうだろう。もっと単刀直入に言うならば、殆ど見つけることのできないGang Starrの"Step in the Arena"を差し替えるために何時間も探す必要が無くなったのだ。
 ProScratchはビニールレコードのスタンダードであるTechnics1200の時代を塗り替えて、リアルタイムのデジタル・リミックス・マシンの到来をもたらしたのである。


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