Lexicon 960L
マルチチャンネル・デジタル・エフェクト・システム


技術スポット・ライト

by Geoege Peterson


世界初の業務用デジタル・オーディオ製品であるDELTA-T101が30年程前に発売されて以来、LEXICON社はシグナル・プロセッシング・デザイナーの第一人者としての地位を不動のものにしてきた。100msという短いディレイ・タイムと10kHzというバンド幅にも関わらず、DELTA-T101はその当時においては真新しいものだった。レキシコン社は今日においてもスタジオで世界的に高い評価を得ているPRIME TIMEシリーズやPCM41/PCM42などに代表される革新的なディレイ機器を開発しつづけている。
1978年のAESショーで同社は世界初の業務用デジタル・リバーブ"224"を発表した。やがて"224"はLARC(Lexicon Alphanumeric Remote Control)を搭載した新モデルの"224X"、"224XL"へと改良されていった。これらの製品には、ファンクション・キー、6つのデータ・スライダー、そして24文字表示のLCD画面が付いていて、プログラムやパラメーターへ指先1つで簡単にアクセスできる。
レキシコン社の次なる自信作は1986年に発表された。"480L"と名づけられた2IN/4OUTのリバーブ・ボックスにはサンプリング機能、取り外し可能なメモリー・カート、そしてコンパチ式(現行のLARC)が搭載されていた。
市場に長く生き残っているデジタル機器の中で、発売14周年目を迎える480Lは成功を収めており、ABS/EBU I/Oオプションや、最近では5.1環境の製品向けの新しいアルゴリズムを用いたサラウンド・カートなど日々のバージョン・アップのおかげで、今後も市場に生き残っていくだろう。

960Lについて

先月パリで開かれたAESショーで、レキシコン社は自信作の座を引き継ぐ製品を発表した。960Lはその前作である224XTや480Lと同様、LARCにリンクしている外付けリバーブCPUに基盤をおいている。しかし960Lは最先端の機能を持ち、放送・映画・ビデオ・音楽アプリケーション用に開発された新しいアルゴリズム、3DPM Perceptual Modeling、高度な新LARC2リモート、24ビット・8IN/8OUT構造を有している。
4UサイズのメインCPUには多彩なDSPカードのスロット(それぞれ、特許を取ったLEXICHIP IIIプロセッサーが4つ装備)が付いていて、カードのアレンジによって環境の拡張が可能。44.1又は48kHzで2サラウンド または 4台のステレオ・リバーブを使用あるいは、96kHzでステレオ・リバーブ2台を使用できる。8つのバランス入出力は標準フォンで、4組のAES/EBUのデジタルI/O、BNCのワード・クロック入力/出力/ループ、MIDI 入力/出力/THRU、3.5インチ・フロッピー・ドライブの保存機能/構造、ソフトのバージョン・アップ用CD-ROMドライブが付いている。
960Lには500のユーザー・プリセットと100の工場設定済プログラム(ホール/会議場/部屋/ステージ/環境/野外など向け)が内蔵されている。製品の改良及び向上を継続的に行っていく(480Lの場合と同様)といったレキシコン社の方針にのっとり、今後、960Lの機能拡大やプログラム及びソフトのバージョンアップが予定されている。

NOT YOUR FATHER'S LARC

960Lの最も印象的な機能はLARC2ユーザー・インターフェースだ。業界の標準となったLARCの流れを追って(数多くのコンソール・トップがMIX誌の表紙を10年半もの間飾った)、LARC2は次段階に向け実用的なリモートを開発した。
その小さな下段部分(約20cm×約26.6cm)に、8つのタッチ・センサーで動くフェーダーや周辺音楽のパン/配置用に使用する2軸ジョイスティック・コントロールなどの数々の新機能が付いているにも関わらず、LARC2の操作は大変敏速、かつ直感的なのである。これは、ユニットのすっきりとしたデザイン、8つのソフト・キー、そして256色バックライトのLCDによるところが大きい。これにより状況、プログラム・データ、パラメーターを一目で確認することができる。
LARC2の29個のファンクション・キーには、カーソル・ナビゲーションの矢印ボタン、高低ボタン、数字入力用の10キーパッド、そしてフェーダー・レベル、数値、ミュート、バイパス、テンポ、タップ・コントロール等のパラメーターへのクイック・アクセスが付いている。ジョイ・スティックの様々な組み合わせ、フェーダー類、入力キーがある特殊な製品や個人的要求に応えた製品化を実現するのだ。
960Lのデザイン・チームにはプロジェクト・エンジニアのポール・マギー氏とマイケル・カーンズ氏、エンジニアVPのジャン・ウィスミュラー氏、そしてレキシコン社の科学者主任でハーバード大の博士号を持ち、22年程前、レキシコン社のヒット作となったMODEL224の商品開発に一役かったデビッド・グリーシンガー氏が参加した。にも関わらず、96kHzものクリアさと8IN/8OUTのルーティング(将来的には拡大可能)により、この新製品はその原型となるステレオの製品よりもかなりリバーブに近いデザインに作られている。
レキシコン社のウェイン・モリス社長は"960Lのアルゴリズムはモノラル・リバーブのミックスよりも多い。マルチ・チャンネルをサポートする目的で作られた周囲のアルゴリズムの為に開発されたのだ。"と言う。
"これはコンピューター2000問題における新技術の基盤である。幅広い市場の中で将来出てくる数多くの新製品を抜きんでていく製品になるだろうと確信している。"とも言っている。

レキシコン 960Lは2000年春に発売予定だが、現時点で価格は未定。

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