MIX誌1999年11月

RODE NTV

オーストラリアでデザイン・製造され、米国・EVENT社より発売されているRODE社製マイクは、ほんの数年前に市場に登場して以来、レコーディングのプロ達の間でかなりの好評を得てきました。同社がこれまでに発売している3モデル、"CLASSIC""NT1""NT2"は有名スタジオにて採用されており、またカーディオイド・チューブ・コンデンサー・マイクロフォンである新発売モデル"NTV"も既に発売中の3モデル同様、高い支持を得ています。

デザインおよび構造について

NTVはこのマイクが本格的な録音用マイクであることを証明する様なしっかりとしたパッケージで送られてきます。
箱を開けてみると、頑丈な作りのアルミ製フライトケースが目に入りました。内部には保護用のスポンジがあり、電源、電源コード、約9mの二重構造の真空マルチコア・ケーブル、特製の高品質金メッキコネクター、スタンドマウント、ショックマウント・サスペンション、そして当然ながらマイク本体を含んだ様々な部品が収納されています。
NTVは頑丈なマイクです。マイク本体は高品質のステンレスを加工したもので、グリル・メッシュが2つ付いています。内部のヘッド・スクリーンはしっかりと縫い付けられていて、ポップ・フィルターを使わなくても至近距離での使用の際に生じる破裂音をある程度、保護することができます。
NTVは直径約3cmの金色に施したマイラー製ダイアフラムを採用していて、そのエッジでカプセルの中央に置かれています。このサスペンション構造は大変重要で、中央のワイヤーがないのでカプセルが自由に動き、より自然なロー・フリーケンシー(低周波)を得ることができるのです。これは他の製品では得ることができない大変暖かみのある透明な音を再現できるRODE NTV独自のデザインです。
すべての点で、NTVのデザインに簡略化した部分はありません。厳選された低ノイズのツイン・トライオイドのECC81真空管とSolen &Wima製のハイマンドなキャパシターを組み、Jensen製のカスタム・メイドの出力トランスフォーマーに信号を送ります。これらの部品を合体させると、幾つかの驚くべき数字がでてきます。最大プレッシャーレベル130dBで、マイクの感度は15mV/Paとなり、NTVのノイズ率は19dBA以下、出力のインピーダンスは200Ωとなります。

セッション準備

NTVの電源は頑丈、かつ美しい仕上げになっています。ユニットは120Vと220Vの電源供給において作動します。ユニットに電源を入れる前に設定を確認することをお勧めします。電源とマイクをつなぐケーブルはすべての点においてしっかりした構造になっています。ケーブルの両側はマルチピン(光信号の品質を保つ為に金メッキが施してあります)となっており、しっかりと締め付けるまで回していって確実に固定できるように縫い付けてあります。NTVの電源にはアース・スイッチがついており、グランド・ループ時の極性変換に使用します。マイクを電源につないだら、高品質なキャノンケーブルを電源からコンソールやプリアンプに接続するだけです(そのケーブルはできるだけ短くするのが理想的です)。電源を入れると電源ユニットのフロント・パネルにある青いLEDが点灯します。
(補足:LEDのドライブ回路はマイクバルブのフィラメント電圧を情報源として利用しているのでマイクが操作レベルに近づけば近づくほど明るくなります。これにより、NTVの準備が完了したことを目で確認することができます。)

既にふれましたが、NTVはスタンド・マウントとショック・マウント・サポート両方一緒に届きます。どちらも、ヨーロッパ規格のマイクスタンドに合う変換ネジが付属しています。これらは共に生産基準のPVC型プラスチックで作られていますが、標準よりも大きめのショックマウント・ユニットが、通常のスタンド・マウントアダプターよりもさらにマイクを安定した形で固定します。以前、ケーブルと電源を自分のコンソールに接続しようとした際に標準のスタンド・マウント・アダプターを使用して、わずかにマイクの位置をずらしてしまったことが2回ほどあるのです。機材にお金をかけても、スタンドマウントの効果はあまり満足のいく結果を得ることができませんでした。それからは、そのスタンド・マウントの使用をあきらめ、より安定した固定を約束してくれるショックマウント(完璧に効果のある)に頼るようになったのです。

マイク本体は大変大きく頑丈です。スタンド・マウント・アダプターは下部から付属ケーブルをつなげているベース部分のサポートに委ねていて、マイクを定位置に固定します。これは確かに効果がありますが、マイクを保護するもっと確実な方法があります。SHURE,AKG等にもよく使われているショックマウント・サスペンション・システムえお使う事により、マイクの取扱いを更に慎重かつ、丁寧にすることができます。

セッションでの使用について

私は会話のレコーディングでこのマイクを使い、評価をすることにしました。信号を確実に受け取っているかを確認してから、配置を変えながら実験してみたのです。するとNTVが驚くほど敏感でこのマイクのシングル・カーディオイド・パターンがはっきりと分かることが即座に明らかになりました。至近距離での会話レコーディングにおいて、このマイクは大変素晴らしい性能を発揮しました。特に、機材が斜めの位置に置かれ、ボイスオーバーをするナレーターがマイクに向かって話をする時など絶妙でした。
既に前項でふれましたが、NTVのヘッド・スクリーンは内側と外側がメッシュ構造になっており、内側のメッシュはポップフィルターのような役目をします。ここで本格的なポップフィルターを使わないで行った場合と、このポップフィルターとヘッドスクリーンの両方を使った場合とでレコーディングを試み、どのぐらい破裂音を減らせるのか見てみました。どちらのセッティングでも必要以上の効果があったと思いますが、私は結局、ポップフィルターを使ってのレコーディングを選びました。ポップフィルターを使ったレコーディングでは破裂音はほとんど見られず、不快な破裂音を簡単に取り除くことができました。

音質についてですが、ローエンドの音色の豊かさに満足させられました。そしてミッド・フリーケンシーおよび、ハイ・フリーケンシーを損なうことなく、会話を暖かく高品質に仕上げます。NTVは音に色付けなどしなくても均等したバランスのいい音をつくり出すことができます。
また、私は小さい室内ホールでこのマイクを使ってみる機会を得ました。そこで私はアコースティック・ギターとフルートを別々に、そして一緒に演奏したものをそれぞれレコーディングしました。NTVをギタリストから約1.8m〜2.5mの位置に設置して、音をダイレクトに十分捉えることができ、尚且つフローリングの床からの反射音を拾うこともできました。この環境のもと、NTVはギターのハーモニックスで有名なHEITOR VILLALOBOSの曲においてとてもクリアに音を拾いました。この部屋の性質である広大感を捉えながら、フィンガー・ピッキングまではっきりと分かります。
フルートのレコーディングにおいても同様に成功しました。この場合、NTV内部のメッシュのおかげで、この楽器にありがちな破裂音や息の音などに邪魔されることなくマイクを至近距離に設置することが可能でした。NTVは大変正確に楽器とホールのアコースティックな性質の両方を捉えながらも、多少の耳障りな音を取り除いてくれました。ここでは、低域の音質における豊かさが、このレコーディングを大きく、フルなものにしました。

RODE NTVは様々な環境において模範的なパフォーマンスをする大変バランス感のあるレコーディング・マイクです。アンサンブル・レコーディング、ボーカル・ワーク、ピアノ録り、その他の楽器の音録りに関して、パーカッションの上にマイクを設置した時と同様、自信を持って使うことができるでしょう。音に着色をせずして、低域を少々丸くするこの特性は、多くの人が求めている音の"深み"を与えてくれます。このマイクには極性パターンが1つしかないことを、初め少し残念に思ったのですが、手ごろな価格で生産するためのトレードオフです。一般的なマウント方法や、スタンドマウントの経験を踏まえた上でRODE NTVはとてもよく作られていて、あらゆるレコーディング・スタジオのマイクのストックに追加するにはとっておきの高品質機器となるでしょう。


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